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丸山千枚田の保全に寄付、お前だったのか…石碑に刻まれた意外な企業

斜面に沿って広がる棚田が美しい丸山千枚田。意外な企業との組み合わせが話題になっています。
斜面に沿って広がる棚田が美しい丸山千枚田。意外な企業との組み合わせが話題になっています。 出典: やすさん(@hirayasu)提供

目次

お前だったのか。棚田の保全にお金を出してくれたのは――。
三重県熊野市の観光名所にもなっている丸山千枚田に、ある企業の名前が書かれた石碑があることがSNSで話題になりました。この意外な組み合わせの理由を聞いてみました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)

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棚田とPC機器の組み合わせ

三重県熊野市にある丸山千枚田は、白倉山(標高736m)の斜面に約1300枚の棚田が並んでおり、観光名所にもなっています。

話題になっていたのは、棚田のそばにある石碑を写した、こんな投稿です。

写真の石碑には、マウスやキーボードなどを製造・販売しているPC周辺機器メーカーのエレコムが棚田の保全のために寄付をしたことが記されています。

投稿した、やすさん(@hirayasu)によると「早朝にドライブをした後、高台から棚田の写真を撮って帰るつもりだったのですが、涼しい時間帯だったので車を降りて棚田の中を通る道を撮影している途中で記念碑を見つけました」とのこと。

この投稿に、エレコムの公式Xアカウントからは「そうだ、弊社である!」と反応がありました。

このやり取りを見ていた他のユーザーからも「いいぞ誇れエレコム」「胸が熱いお話」といった反応が寄せられました。

実は会長が……

それにしても、なぜPC周辺機器を作っているメーカーが棚田の保全にお金を出しているのでしょうか。

エレコムの広報担当者に話を聞くと「丸山千枚田がある三重県熊野市は、創業者で弊社会長の葉田順治の出身地というご縁があります」との回答が。

さらに、「ご縁ももちろんですが、休耕田の整備や水源の確保といった丸山千枚田が抱える問題を解消し、先人が築いた遺産を後世に持続させるために支援させていただいています」とのことでした。

棚田の中にたたずむ石碑。エレコムの寄付について記されています。
棚田の中にたたずむ石碑。エレコムの寄付について記されています。 出典: エレコム株式会社提供

エレコムによる丸山千枚田への支援活動は、丸山千枚田の保存会が実施しているオーナー制度を活用する形で、2015年から始まったそうです。

また、2020年には三重県熊野市と「熊野市丸山千枚田を活用した地域振興及び保全等に関する連携協定」を締結して寄付を行うなど、支援活動をさらに推進しています。

この寄付は企業版ふるさと納税制度を活用して実施され、寄付の総額は2020年度から2024年度までの5年間で約1億5千万円になるそうです。

地味で目立たないけれど

熊野市によると、丸山千枚田には、約400年前の江戸時代初期には約2200枚の棚田があったそうです。

ところが戦後、稲作からの転換や、高齢化で耕作放棄地が増えたことなどにより一時は約500枚まで棚田が減少。

1990年代に地域住民らの手で棚田の保全・復元活動が行われたことにより、1300枚ほどまで回復したという経緯があるそうです。

丸山千枚田は農水省の「棚田百選」にも選ばれています
丸山千枚田は農水省の「棚田百選」にも選ばれています 出典: エレコム株式会社提供

集まった寄付金は休耕田の整備や作業道の改修、水源の確保など、様々な用途に使われているそうです。

エレコムの担当者は「丸山千枚田を次の世代に残すこと、地域振興に役立てることを目指しています」と話します。

また、同社はこの他にも、熊野市内の児童養護施設の建設費用の一部を寄付したり、三重県志摩市や同尾鷲市などで森林保全活動を行ったりするなど、社会貢献に力を入れているそうです。

三重県尾鷲市にある森と、エレコムの寄付で保護されたことを記す看板。「エレコムフォレスト」と呼ばれています
三重県尾鷲市にある森と、エレコムの寄付で保護されたことを記す看板。「エレコムフォレスト」と呼ばれています 出典: エレコム株式会社提供

今回、丸山千枚田の投稿が注目されたことについて担当者は「今回、普段はあまり目立たない企業の社会貢献活動を知っていただいたことを嬉しく思います。他社の社会貢献や、様々な社会課題そのものへの関心が高まるきっかけになればありがたいです」と話しています。

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