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体脂肪率20%落としたダイエット 日常生活で実践〝医学的な工夫〟

体重が115kg・体脂肪率が35%と、高度肥満だった私。約10年が経過し、今は……。
体重が115kg・体脂肪率が35%と、高度肥満だった私。約10年が経過し、今は……。

目次

もうすぐ夏本番を迎える時期、ダイエットをして自分の理想の体型に近づけたいと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、世の中にはダイエットについて、効果がないばかりか、逆効果になる情報もあふれています。命にかかわる高度肥満の状態から、現在までに体脂肪率を20%以上、落とした経験のある記者が、これからダイエットを始める方に向けて、科学的根拠があり、自分でも実践してきた医学的な工夫を紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
 

体重40kg・体脂肪率20%減

そもそも、医学的に「ダイエット」が必要なのは、どのような人でしょうか。日本肥満学会が発行する『肥満症診療ガイドライン2022』では、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態」で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算される体格指数(BMI)が「25以上」を肥満と定義しています。

ちなみにBMIが25以上でも、ボディビルダーのように、脂肪の蓄積がなければ肥満ではありません。過度のダイエットは健康を害するため、注意が必要です。

2015年ごろ、私は身長175cmに対して体重が115kg(体脂肪率は35%ほど)でしたから、BMIは37.5。同ガイドラインでは高度肥満に該当します。

肥満は糖尿病や高血圧、脂質異常症、脂肪肝、高尿酸血症などたくさんの生活習慣病を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの心・脳血管疾患やがん、認知症などを発症・増悪させるリスクです。肥満の人が体重を減らすことによって、このリスクを下げるメリットがあります。

2024年現在、私は体重72、3kg(体脂肪率は15%以下)なので、健康に近づいたと言えるでしょう。

医師の診断により、実際に健康障害を伴うか、伴うことが予測され、減量が必要だとされた場合は、肥満症として治療がなされます。

実際に治療をするときに、基本になるのは食事療法と運動療法です。肥満の主な原因は過食と運動不足なので、食べる量を減らし、動く量を増やすことで、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを消費の方に傾けるように指導されます。※太りやすさには体質も関わり、肥満を伴う遺伝病もあります。
 

バランスは「食事>運動」で

では、食事と運動はどちらに重きを置けばいいのでしょうか。同ガイドラインには、明確に「食事>運動」の方針が示されています。

<体重減少のためには、食事摂取エネルギーの減量が必要である。><運動療法は減量(体重減少)にはあまり効果的ではない。>

これは改善の機会の面からも明らかです。1日3食とした場合、私たちは1週間に約20回の食事をします。一方、一般的な社会人にとって、運動は週1、2回に留まることでしょう。頻度からして、食事を改善する優先度は高くなります。

また、エネルギー収支の面でも同様です。摂取エネルギーは基本的に口から入る食事によって決まり、自分の意思でコントロール可能。逆に消費エネルギーは一般的に約6割が基礎代謝、3割は生活活動とされ、自分の意思で増やせるのは残りの1割。これを2倍にしても全体では1.1倍にしかなりません。

ただし、同ガイドラインによれば、運動療法は肥満予防や減量体重の維持に効果的とされています。できるならするに越したことはないでしょう。

おもしろいのが、ガイドラインに「食事制限が適切であるならば、運動は体重減少を促進する」とあることです。逆に言えば、より重要な食事制限ができていないのであれば、いくら運動をしても、効果は出にくいということ。

時折「運動をしているのに、やせない」「かえって体重が増えた」といった声を聞くことがありますが、そうした場合、もしかすると「運動をしている以上に、食べている」ということがあり得ます。
 

食事管理アプリ活用と趣味化

実際の治療では、肥満症(BMIが25以上35未満)では「1日の摂取エネルギーを標準体重(※)1kgあたり25kcal以下」、高度肥満症(BMIが35以上)では「20〜25kcal以下とすること」が指示されます。※身長に対してBMI22として計算した値/身長175cmなら約67kg。

つまり、標準とされる体格の時に体が必要とする摂取カロリーを維持できれば、自然と体が標準とされる体格に近づいていく、ということです。

食事の内容は、上記で指示される摂取エネルギーのうち、炭水化物が50~65%、たんぱく質が13~20%、脂質が20~30%になることが目安です。

こうした調整は大変でもあるので、最近はAIなどが必要な食事の指示を出してくれる「食事管理アプリ」を、医療現場でも勧める場合が増えています。こうしたアプリを使用することで、前述した「運動をしている以上に、食べている」という状況を客観的に認識することもできます。

運動は食事療法と併用すると効果が高まります。同ガイドラインでも紹介されている米国スポーツ医学会(ACSM)の声明によれば、150分/週以上の運動で約2~3kg、225~420/週以上で5~7.5kgの減量効果があるとされます。ハードルは高いですが、やればやるほどやせる、とは言えそうです。

長時間の運動には、どうしても意思の力が関わってくるため、ジョギングやサイクリングといった一般的な運動以外にも、より趣味に近い、ハイキングや登山といったアクティビティを取り入れることもおすすめです。

このように食事管理アプリの活用と、運動の趣味化を実践したことで、私は減量に成功、この3~4年は標準的な体型を維持できています。
 

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