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大河ドラマ「光る君へ」深掘りしたい人へ たらればさんのおすすめ本
史実では? 藤原道長、清少納言との関係は?
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史実では? 藤原道長、清少納言との関係は?
1000年も読み継がれる「源氏物語」を書いた紫式部を主人公とした、NHKの大河ドラマ「光る君へ」。平安時代の文学作品を愛する編集者・たらればさんに、読んでおくとさらにドラマが楽しめる本をおすすめしてもらいました。(withnews編集部・水野梓)
紫式部を吉高由里子さん、藤原道長を柄本佑さんが演じ、独自のエッセンスを盛り込んだ展開(脚本・大石静さん)も話題の大河ドラマ「光る君へ」。
たびたび史実との違いを指摘する声もありますが、編集者のたらればさんは、「史実との違いに気づいたなら、『ドラマではなぜそう変えたんだろう』と考えるのが面白い。間違い探しするのではなく、史実や当時のことを調べ直したり、歴史で習ったなと思い返したり、そうやって楽しんだ方が楽しい」と話します。
そこで、「もっと源氏物語や当時のことを知りたい!」と思う人へ、おすすめの本を紹介してもらいました。
平安時代の貴族の生活から深掘りしたいのであれば、国文学者の川村裕子さんの『平安男子の元気な!生活』(岩波ジュニア新書)がおすすめとのこと。
藤原行成の1日を通して、この時代の公家の人たちのライフカルチャーが平易に分かりやすく紹介されています。
「彼らが何時ぐらいに起きていたか、どういう食事をとっていたか、なぜああいう服を着ているのか、ドラマの細かいことにも目線が行き届くようになりますよ。とっても分かりやすい副読本です」とおすすめします。
さらに、モノから掘り下げていくならば、古代・中古文学研究者の河添房江さんの『紫式部と王朝文化のモノを読み解く』(角川ソフィア文庫)をおすすめします。
河添さんは、「猫」「髪の毛」「香り」といったパーツから、その時代を読み解いていく研究者。「源氏物語」を「東アジアの文明圏の物語」としてとらえているそうです。
たらればさんは「この先、『光る君へ』にはさまざまな舶来品が出てくるでしょう。当時、高級品の代名詞だったからです。宋や渤海国から渡ってきたものですね。そういった読み解きをする上で、河添先生の著作は本当にためになるのでおすすめです」と話します。
また、紫式部はどんな人だったか知りたい人にとって役立つのは「紫式部日記」と「紫式部集」です。とはいえ、古文を手にするのはハードルが高い…。
そこでたらればさんは、平安文学研究者・山本淳子さんの『紫式部ひとり語り』(角川ソフィア文庫)をすすめます。
「この本は、紫式部の一人称で書かれています。『私がなぜ源氏物語を描き始めたのか』という語りから始まります。紫式部『日記』や『和歌』集なので、一人称なのが当然だよな、と思う読後感ですし、勉強になります」
さらに、今回のドラマの登場人物の人生を追うのであれば、歴史学者・倉本一宏さんの『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)が「ふたりの人生がいかに交錯していくか、まとまって読めます」とのこと。
倉本さんは「光る君へ」の時代考証を担当しています。
「史実を積み重ねた研究の時代考証がある上で、『光る君へ』はこんな切り口でいくんだな、ということが分かってさらに面白いのではないでしょうか」
また、第6回でいよいよ登場した、ファーストサマーウイカさん演じる清少納言。
たらればさんは「『清少納言と紫式部は面識があったのか、なかったのか』については、多くの研究者がさまざまな論を重ねてきました」と指摘します。
◆◇#光る君へ 次回予告◇◆
— 大河ドラマ「光る君へ」(2024年) (@nhk_hikarukimie) February 4, 2024
第六回「二人の才女」
2月11日(日)
[総合] 夜8時00分
[BS・BSP4K] 午後6時00分
[BSP4K] 午後0時15分
▼あらすじhttps://t.co/Krd5U78EGy
▼相関図https://t.co/C9qQN7qXuV pic.twitter.com/FNLAzxYSWP
わーーーなんでも言っちゃう清少納言!! 解釈一致!! そしてさすがに困る元輔父ちゃん(でも娘が賢いと嬉しいほうの父なのでした)!!! それに喜ぶ貴子さま!!! 黒い!! でも圧倒的に正しい!!! この「なんでも言ってOK価値観」が一条帝と定子さまに受け継がれる!!#光る君へ
— たられば (@tarareba722) February 11, 2024
そのなかで、史料と説得力のもとで「面識があった」と唱えている歴史学者・角田文衛さんの『平安の春』(講談社学術文庫)もおすすめだといいます。
この著書のなかの「紫女と清女」のなかで、情熱あふれる文章でふたりのことが語られています。
「とても興味深い小論がたくさん掲載されています」とたらればさんは言います。
「清少納言と紫式部は史実上、面識があったのか、なかったのか」というのは、多くの研究者がさまざまな論を重ねてきました。そのなかで、それなりの資料と説得力のもとで「面識があった」と唱えているのが角田文衛博士です。…
— たられば (@tarareba722) February 11, 2024
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