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大河ドラマ「光る君へ」深掘りしたい人へ たらればさんのおすすめ本

史実では? 藤原道長、清少納言との関係は?

NHK大河ドラマ「光る君へ」をさらに楽しむために、たらればさんがおすすめする本とは…
NHK大河ドラマ「光る君へ」をさらに楽しむために、たらればさんがおすすめする本とは… 出典: Getty Images ※画像はイメージです

目次

1000年も読み継がれる「源氏物語」を書いた紫式部を主人公とした、NHKの大河ドラマ「光る君へ」。平安時代の文学作品を愛する編集者・たらればさんに、読んでおくとさらにドラマが楽しめる本をおすすめしてもらいました。(withnews編集部・水野梓)

この記事は、大河ドラマ「光る君へ」第5回「告白」の放送後、2月4日にXで開催されたスペースの内容を編集して配信しています

生活やモノから深掘りすると…

紫式部を吉高由里子さん、藤原道長を柄本佑さんが演じ、独自のエッセンスを盛り込んだ展開(脚本・大石静さん)も話題の大河ドラマ「光る君へ」。

たびたび史実との違いを指摘する声もありますが、編集者のたらればさんは、「史実との違いに気づいたなら、『ドラマではなぜそう変えたんだろう』と考えるのが面白い。間違い探しするのではなく、史実や当時のことを調べ直したり、歴史で習ったなと思い返したり、そうやって楽しんだ方が楽しい」と話します。

そこで、「もっと源氏物語や当時のことを知りたい!」と思う人へ、おすすめの本を紹介してもらいました。

平安時代の貴族の生活から深掘りしたいのであれば、国文学者の川村裕子さんの『平安男子の元気な!生活』(岩波ジュニア新書)がおすすめとのこと。

藤原行成の1日を通して、この時代の公家の人たちのライフカルチャーが平易に分かりやすく紹介されています。

「彼らが何時ぐらいに起きていたか、どういう食事をとっていたか、なぜああいう服を着ているのか、ドラマの細かいことにも目線が行き届くようになりますよ。とっても分かりやすい副読本です」とおすすめします。

平安男子の元気な!生活(岩波ジュニア新書)

さらに、モノから掘り下げていくならば、古代・中古文学研究者の河添房江さんの『紫式部と王朝文化のモノを読み解く』(角川ソフィア文庫)をおすすめします。

河添さんは、「猫」「髪の毛」「香り」といったパーツから、その時代を読み解いていく研究者。「源氏物語」を「東アジアの文明圏の物語」としてとらえているそうです。

たらればさんは「この先、『光る君へ』にはさまざまな舶来品が出てくるでしょう。当時、高級品の代名詞だったからです。宋や渤海国から渡ってきたものですね。そういった読み解きをする上で、河添先生の著作は本当にためになるのでおすすめです」と話します。

紫式部と王朝文化のモノを読み解く(角川ソフィア文庫)

一人称で語られる

また、紫式部はどんな人だったか知りたい人にとって役立つのは「紫式部日記」と「紫式部集」です。とはいえ、古文を手にするのはハードルが高い…。

そこでたらればさんは、平安文学研究者・山本淳子さんの『紫式部ひとり語り』(角川ソフィア文庫)をすすめます。

「この本は、紫式部の一人称で書かれています。『私がなぜ源氏物語を描き始めたのか』という語りから始まります。紫式部『日記』や『和歌』集なので、一人称なのが当然だよな、と思う読後感ですし、勉強になります」

紫式部ひとり語り(角川ソフィア文庫)

さらに、今回のドラマの登場人物の人生を追うのであれば、歴史学者・倉本一宏さんの『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)が「ふたりの人生がいかに交錯していくか、まとまって読めます」とのこと。

倉本さんは「光る君へ」の時代考証を担当しています。

「史実を積み重ねた研究の時代考証がある上で、『光る君へ』はこんな切り口でいくんだな、ということが分かってさらに面白いのではないでしょうか」

紫式部と藤原道長(講談社現代新書)

源氏物語ってどんなお話?

ほかにも、「そもそも源氏物語ってどんなお話なの?」と知りたい人には、受験勉強で読んだ人も多いであろう漫画『あさきゆめみし』(大和和紀・講談社)を、いま一度、読んでみてはいかがでしょうか。

あさきゆめみし(講談社)

たらればさんが『あさきゆめみし』への熱い思いを、漫画家・おかざき真里さんと語り合った記事はこちらです。

▼「あさきゆめみし」雑誌黄金時代だから描けた光源氏の〝罪〟
https://withnews.jp/article/f0220210002qq000000000000000W02c11001qq000024266A

▼「あさきゆめみし」に隠された…同業者も気づかなかったトリック
https://withnews.jp/article/f0220211001qq000000000000000W02c11001qq000024267A

渡辺祐真さんが編集した『みんなで読む源氏物語』(ハヤカワ新書)もおすすめだそう。

 『源氏物語』に通じ、それを愛する国文学者や日本語学者、歌人や翻訳家などなど、多方面で活躍する人びとが魅力を語り尽くす1冊です。

みんなで読む源氏物語(ハヤカワ新書)

清少納言と面識はあった?

また、第6回でいよいよ登場した、ファーストサマーウイカさん演じる清少納言。

たらればさんは「『清少納言と紫式部は面識があったのか、なかったのか』については、多くの研究者がさまざまな論を重ねてきました」と指摘します。

そのなかで、史料と説得力のもとで「面識があった」と唱えている歴史学者・角田文衛さんの『平安の春』(講談社学術文庫)もおすすめだといいます。

この著書のなかの「紫女と清女」のなかで、情熱あふれる文章でふたりのことが語られています。

「とても興味深い小論がたくさん掲載されています」とたらればさんは言います。

平安の春(講談社学術文庫)

豊富な記録「稀有なこと」

そもそもなぜ、1000年前のことをこんなにリアリティーをもってドラマで描けるのか……。それはさまざまな記録が今に伝えられているからです。

『源氏物語』のほかにも、清少納言の『枕草子』や、藤原実資が書いた『小右記』など、さまざまな視点から「何が起こったのか」「貴族たちはその時にどう感じたのか」が記されています。

たらればさんは「こんなに豊富に記録が残っているのは、本当に稀有なこと」と指摘します。

『小右記』は、藤原道長が読んだとされる歌「此の世をば我世とぞ思ふ望月の欠けたる事も無しと思へば」が載っていることでも有名です。

「藤原実資は小右記で、日々の生活を緻密に記しています。欠けているところもありますが、そういった記録のおかげで平安時代に最も権力を極めた人たちがどのように生きたのか、一条天皇の時代も含めて何が起こったかを知ることができるんですよね。それがドラマの面白さを支えているのだと思います」と話します。
滋賀県大津市の「大河ドラマ館」では「光る君へ」の主人公・紫式部「まひろ」を演じる吉高由里子さんが撮影で着用した衣装も展示されています
滋賀県大津市の「大河ドラマ館」では「光る君へ」の主人公・紫式部「まひろ」を演じる吉高由里子さんが撮影で着用した衣装も展示されています 出典: 朝日新聞
また、たらればさんは、「時代考証の倉本さんは『この時代の人はめちゃくちゃ働く』と書いていますが、そのうえで『この時代に、後世の子孫のためにしっかり日記を残す人たちは、そもそも有能なんですよね』とも言っています。つまり有能な人だからたくさん仕事があってたくさん働いていたわけで、きっとぐーたらしていた人もいたんでしょう」と笑います。

私たちは『源氏物語』や『枕草子』の影響で、どうしても当時の男性貴族の宮廷生活を「雅で、恋にいそしみ、歌を詠んで」というきらびやかなイメージでとらえてしまいます。

「一方で、ちゃんと仕事をしている人や、政治の思惑に翻弄されている人びとの存在も、小右記で分かります。日文研というサイトで原文が検索できるので、興味のある人はぜひ。ロバート秋山さんの演じる実資が、すごく忠実にやっていることが伝わりますよ」と言います。

▼国際日本文化研究センターのサイト
https://www.nichibun.ac.jp/ja/db/category/heian-diaries/

古文はハードルが高い…という人には、倉本さんが小右記からエピソードを厳選した『小右記 ビギナーズ・クラシックス』(角川ソフィア文庫)がおすすめとのことです。

小右記 ビギナーズ・クラシックス(角川ソフィア文庫)
 
◆たらればさんの「光る君へ」スペース採録記事、前回は<「光る君へ」楽しみ方 間違い探しをするよりも…たらればさんの思い>です。
次回は、たらればさんがドラマを楽しめる「ライブ感」について語ります。
また、3月3日(日)21時~、再びたらればさんのスペースを開催します。ぜひご参加ください。

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