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話題

「自分の愛し方」わかってる?それぞれがたどり着いた「自分らしさ」

アルビノの当事者、女装パフォーマーらが語り合いました

東京・下北沢で開かれた写真展「You do you.あなたらしさはあなたのもの」
東京・下北沢で開かれた写真展「You do you.あなたらしさはあなたのもの」

目次

「自分らしさは?」と聞かれて、すぐに答えられることはありますか? 自分のことは自分が一番わかっていると思っていても、言葉で表すのは難しいかもしれません。10月、「自分らしさ」や「自分の愛し方」についてマイノリティの当事者らが語り合うイベントが開かれました。「強いところだけでなくて、弱いところも認める」など、自身が大切にしている考えについて意見が交わされました。

自分のことは好き?

トークイベントに登壇したのは、女装パフォーマーのブルボンヌさん、生まれつき髪や肌の色が薄い遺伝子疾患アルビノの当事者で、アルビノ・エンターテイナーの粕谷幸司さん、社会起業家の安部敏樹さん、見た目への偏見など問題解決を目指すNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」代表・外川浩子さんの4人です。

<見た目問題とは?>
顔の変形やマヒ、傷痕など外見に疾患がある人たちが、学校でいじめにあったり、就職差別を受けたりするなどの困難に直面する問題。東京のNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」が名付けた。

イベントの冒頭、「自分のことを好きと思える瞬間はどんなとき?」という問いかけに対して、社会起業家の安部さんは「いつも自分のことが好きです。いかに自分を好きでいられるかを考えて10代から生きてきています」と自身を嫌いにならないように意識していると明かしました。

一方で、女装パフォーマーでゲイを自認するブルボンヌさんは「子どもの頃からいわゆる女性性表現だったのを変だとからかわれたり、同性を好きになった自分を隠さなきゃと思ったりしながら生きてきて、自己肯定感が低かった。自分のことを好きとは全然思っていなかった」と打ち明けました。

見た目問題の当事者でもあるアルビノ・エンターテイナーの粕谷さんは、「自分のことが好きでいられた」と話します。「幼少期は家族から『かわいい』と愛を注がれていましたし、自分としてもみんなと違うことはよく受け取れば『目立つでしょ』と楽しく考えていました」

トークイベントの登壇者。左から、アルビノ・エンターテイナーの粕谷幸司さん、女装パフォーマーのブルボンヌさん、社会起業家の安部敏樹さん、NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」代表・外川浩子さん
トークイベントの登壇者。左から、アルビノ・エンターテイナーの粕谷幸司さん、女装パフォーマーのブルボンヌさん、社会起業家の安部敏樹さん、NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」代表・外川浩子さん

求められる「らしさ」に苦しんだ過去

トークイベントは、東京・下北沢で10月に開かれた写真展「You do you.あなたらしさはあなたのもの」(メンズコスメブランド「BOTCHAN(ボッチャン)」、NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」共催)に合わせて企画されました。

写真のモデルになっているのは、生まれつき髪や肌の色が薄い遺伝子疾患アルビノや、顔のアザ、全身の体毛が抜ける「汎発性脱毛症」、顔の骨が形成不全になる「トリーチャーコリンズ症候群」といった見た目に症状のある男女ら5人です。

「多様な『らしさ』を表現することで、どんな『らしさ』も肯定できる世の中になってほしい」という願いが込められています。

【関連記事】「私を活用してくれていい」アルビノ当事者が企業に伝えたいこと

トークイベントでは、「らしさ」を巡ってメディアにおけるマイノリティの取り上げ方にも話が及びました。

メディアの取材をたびたび受けてきた粕谷さん。「マイフェイス・マイスタイル」の外川さんが「自分らしくあろうと思っても、社会から求められる姿と自分の好きな姿とギャップがあってしんどくなったことは?」と尋ねました。

粕谷さんはメディアから「幼少期にいじめを受けていたか、偏見や差別を受けてきてどうか」とマイノリティであるアルビノの「当事者らしさ」を求められ、ギャップを感じたといいます。

「求めに応じようとしたこともあるけど、それをやっていると『話したくないことを話す僕』のことを嫌いになると思って、途中から割り切りました。『僕はそういうタイプではないので、かわいそうな話を聞きたかったら別の人に聞いてもらえますか?』と。するとメディアの取材が激減して、自分らしい自分は求められていないんだなときつい思いをしました」

「僕が楽しそうに活動していると、『アルビノで苦しい思いをしている人の声がかき消されてしまう』という意見も聞きます。誰かを象徴的に出すのは難しい。僕が話すときには、『僕の場合は』と一人称をかなり強めにするようにしています。『僕の場合は楽しく生きていますよ、アルビノでも楽しく生きる方法はありますよ』と」

メディアから求められる姿に対し、ブルボンヌさんも「同じ構図が私たちにもあります」と話しました。

「私たちはお祭りキャラ的に女性性をコミカルに演じることを求められたり、全く逆のしんどさやつらい思いを求められたりしました。両極端の表現が多かったと思いますね。今はかなり変わって『多様性』が見えてきました」

また、「私というキャラクターがやっていることでも、同性愛や女装する人はみんながこうだと、そのマイノリティ全体の代表として捉えられてしまう恐怖感もありました」と振り返りました。

「自分を愛する」ということ

「自分らしさ」の肯定は、「自分を愛する」ことにもつながります。

「自分の愛し方」について心がけていることを問われた粕谷さんは、「強いところだけでなくて、弱いところも自分で認める。できないこともできないと思えていたほうが、健やかに自分のことを愛しながら過ごせるかな」と語りました。

若い世代が自分を大切にするために必要なことについて問われた安部さんは、「『身体性』のある体験をできるだけすることが大事」と力を込めました。

「例えば、プライドパレードも実際に歩いている様子を見るのと、SNSで動画を見るのとでは全然違う。『身体性』を持っていないと、物事が単純化されてしまいます。複雑なものを複雑なまま受け入れる時間をたくさん取って他者の複雑性を認めると、自分の複雑性も認められると思います」

最後にブルボンヌさんは、「日本のみなさんは私と同じように、自分を愛することが苦手な方が多いと思います」と前置きし、こう残しました。

「ドラァグクイーン文化の世界の頂点にいるル・ポール大先生のお言葉を、そのままみなさんにお贈りします」

「まずは自分を愛してね。そうしないと人なんて愛せないぞ」

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