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連載

#9 相席なま田原

オンライン版トキワ荘を作る 日本の漫画を世界へ、コミチの野望

「マンガで稼ぐ」を実現する方法

ジャーナリストの田原総一朗さん(左)と、マンガサイト「コミチ」運営者の萬田大作さん
ジャーナリストの田原総一朗さん(左)と、マンガサイト「コミチ」運営者の萬田大作さん

目次

多くの政治家たちに切り込んできた、ジャーナリストの田原総一朗さん(86)。withnewsでは月に1回、田原さんもこれまであまり接点がないような、「次世代を担う人材」と対談する企画「相席なま田原」を配信しています。マンガサイト「コミチ」を運営する萬田大作さん(42)とは、世界で売れる作品を生み出し、出版業界の未来を切り開く方法について語らいました。対談の一部をご紹介します。

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相席なま田原
(画像をクリックすると連載ページに移ります/イラスト:はみだしみゆき)

 

田原総一朗ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経てフリー。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」(ともにテレビ朝日系)の司会を務める。86歳。

 

萬田大作(まんだ・だいさく)
漫画家の「作る」「広げる」「稼ぐ」を支えるプラットフォーム・コミチ代表。現役エンジニアでもある。スマホで読みやすい「縦スクロール」マンガ推し。無類の本好き。ナビタイムで経路エンジン開発→フューチャーでITコンサルタント→リクルートで新規事業→コルクCTO→現在に至る。

漫画家の「作る」「広げる」「稼ぐ」を支えたい

萬田さんこんにちは、萬田と申します。よろしくお願いします。コミチのミッションは「マンガのデジタル体験を良くすること」だと思っています。具体的には、漫画家さんの「作る」「広げる」「稼ぐ」を支えるサービスを取り扱っています。

まずは「作る」。例えば、マンガを開いた瞬間を「めくり」、読み終わりを「引き」というんですけれども、その瞬間のデータを分析し、作品にフィードバックするなど、作品のクオリティ向上のためにデジタルを導入することで漫画家さんを支援しています。

それから、二つ目の「広げる」という点について。マンガ作品そのもののウェブサイトなんかはあるんですけれども、作家さん自身のサイトってなかなかないんです。そこで、きちんと認知度を上げるために、ホームページのような場を無償で提供したりとか、読者層を分析するようなサービスを行っています。

三つ目が「稼ぐ」ですね。これが僕らが一番大事だと思っているところなんです。コミチのサイト上で、マンガを直接読者さんに販売できるようにしています。今だと電子ストア書店みたいなところで配信したり、電子書籍で売ったりと、いろんなマネタイズの手法が出ています。きちんと稼げるようになってもらうことで、作家さんが作品を生み続けられる。

この三つを網羅したプラットフォームを目標としています。

田原さん僕には理解できないことがいっぱいありました。いろいろお聞きしたいと思っています。萬田さんはそもそも、どういう経緯で現在の職務に就かれたんですか?

萬田さんもともと、高校時代からソフトウェアエンジニアを目指していて。大学卒業後、ナビタイムジャパンという会社に新卒入社し、経路検索エンジンのプログラミングを作っていました。

田原さん仕事は面白かったですか?

萬田さんGoogleマップができる前に提供していたサービスなんですけど、世の中を便利にする、不便をなくすというのがベンチャーの存在意義だと思うんですけど、そこにチャレンジできるところが面白かったですね。5年くらい勤めました。

田原さんその後、コルクという会社にお入りになった。

萬田さんその前に、フューチャーシステムコンサルティングというコンサル会社やリクルートに勤めた後に「出版関係ですごいおもしろい会社があって、CTO(最高技術責任者)を募集しているよ」と聞きまして、それがコルクでした。

元講談社のマンガ編集の佐渡島庸平さんが、「テクノロジーでマンガ出版の世界を変えたい」と話していて。そこに共感して、二人三脚でやっていこう、というところで入った感じですね。
対談中の田原さんと萬田さんの様子
対談中の田原さんと萬田さんの様子

「マンガに育てられた」経験が原点

田原さんコルクという会社は、どういうことをやっていたんですか。

萬田さん作家のエージェントなんですよ。

田原さん作家をどうするんですか。育てる? 売り込む?

萬田さん両方なんですけど、例えば佐渡島さんが関わっていた『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』というマンガについて、作品の契約を掲載誌『モーニング』からコルクに変えました。そして、コルク自身がいろんなメディアに売っていったり、海外展開したりというのを考えていく、というようなエージェント業務をやっています。

田原さん具体的には作家を、言ってみればメディアに売り込むわけですか。

萬田さんそうですね。マンガに特化したプロデュースです。

田原さんなんで萬田さんはマンガに興味を持ったんですか。

萬田さん:もともとは本当に本が好きで、マンガ自体もたくさん読んでいて。『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』『チャンピオン』……全部読んでいましたね。マンガによって育てられ、マンガによって学ぶことがすごい多かった。

その中で、マンガマーケット自体が海外のサービスにすごい押されてきているな、という感覚がありまして。マンガマーケットを出版社とか、日本の企業と一緒に変えていきたいな、というところもあって、注力したような形ですかね。

田原さんそこで、現在のコミチの前身である、コルクBooksをやられるようになったと。サービスに登録すると、漫画家さんにはどういうメリットがあるんですか?

萬田さん田原さんも、本を書くときは、お一人で机に向かわれると思います。漫画家の場合も、孤独な作業の中で、情報が共有されない状況があった。「みんなで描く」ということを考えたときに、コミュニティを中心にした方がいいなと。そこでコルクbooksを立ち上げました。コミュニケーション、コミュニティ機能に共感して頂けたのではと思っています。

田原さん昔、漫画家が大勢で住んでいたアパートがありましたね。

萬田さん「トキワ荘」ですね。現代版トキワ荘をオンライン上に作りたい。そう思って始めたサービスが、コルクbooksです。コミュニティ形成以外では、サイト上で作品の特集を組むといった宣伝活動に加え、登録者にマンガを描くためのアドバイスも行っています。
withnewsもコミチとコラボし、マンガ募集企画を進めている
withnewsもコミチとコラボし、マンガ募集企画を進めている 出典:コミチのツイッターアカウント(@comici_jp)

「縦スクロールマンガ」が持つ強さ

田原さん:アメリカ、ヨーロッパとくらべて日本のマンガはレベルが高いんですか、低いんですか。

萬田さん圧倒的に高いと思います。

田原さんということは日本のマンガがヨーロッパ、アメリカでも売れるわけですね。

萬田さんそれが、本来は売れるはずなんですけど、現状、ピッコマさん、LINEマンガさんなどのマンガアプリのシェアは大きくなってきているんですけど、そこは韓国資本なんですよ。

田原さんほぉ、韓国資本。

萬田さん:日本の電子書籍ストアのナンバーワンはAmazonのkindleストアなので、アメリカです。マンガでいうと、ピッコマ、LINEマンガっていうのが今は勢いがすごいんですけれども、どちらも韓国資本です。

特徴的なのが、それらのアプリでは、縦スクロールでマンガを読むんです。インターネットの記事って、全部横書きで、縦に読むじゃないですか。だから、今の若い人たちって、日本で売られている従来の紙の横書きのマンガが読めなくなってきてるんですよ。

そうなるとやっぱり縦スクロールのマンガをきちんと出していかないと、今後どんどん読まれなくなっていく。それはアメリカとか、中国とか、韓国においても同じです。海外でも今はマンガをインターネットで読むので、日本の作品を単純に翻訳しただけでは海外では読まれないんです。

だから縦スクロール型の作品を作ったり、横方向に読むマンガを再構成したりすることが課題だと思っています。

漫画家を世界に「売って」いく時代

田原さんなるほど。なるほど。ちなみに出版だけでなく今は韓国映画が海外でも大ヒットしている。なんで韓国のコンテンツは強いんでしょう。

萬田さん:「垂直統合」でやれているってことだと思うんですよ。

田原さん垂直統合とは、どういうことですか。

萬田さん:韓国の場合、音楽事務所と、芸能事務所と、マンガの事務所と、ゲームの制作会社が、全部同じ企業の中に入っていたりするんですよ。なので、一つの作品を作った瞬間に、これはどこで売った方がいいかっていうのを包括的に考えられるんですよね。きっちりと発信できる土壌や人脈がある点が大きいと思います。

日本は、出版なら出版とか、音楽なら音楽とか、縦割りで、クロスメディア(横の統合)が弱いと思います。

田原さん今、コミチでは萬田さんたちが日本のマンガ家をアメリカ、ヨーロッパにも売っているわけですか。

萬田さん:現状は売っていないんですけど、今年中にそういうことをやっていきたいなと思っていて。まず、英語と中国語に対応しようと考えています。

そしていま、韓国や中国のマンガ家さんがすごく増えています。その人たちが「日本で売りたい」と思ってくれることもあるでしょう。逆に「グローバルに売りたい」っていう日本のマンガ家さんもいるはずなので、そういった方々のサポートもしていきたいと思っています。

田原さんこれから萬田さんが世界へどう伸びていくか、大変期待しています。

萬田さん:ありがとうございます。
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