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連載

#215 #withyou ~きみとともに~

「学校向けの自分」忘れてた…休校明け押し寄せた「気を遣う生活」

「友だちに依存してしまう自分を変えたい。休校期間がなければ、そこまで考えることもなかったのかなと思います」

休校期間を経て、学校で「気疲れ」していた自分を自覚したといいます=写真はイメージ
休校期間を経て、学校で「気疲れ」していた自分を自覚したといいます=写真はイメージ 出典: pixta

目次

新型コロナウイルスの影響を受けた6月の休校期間明け、withnewsには「休校期間で友だち関係に配慮しながら対話することを忘れてしまい、学校やクラスがしんどい」との声が高校生から寄せられました。「無理をしない友だち関係」とはなにか。休校期間を経て「学校で気を張っている自分」に気づいた高校生の言葉から考えます。

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インスタにあがる友だち同士の写真「つらい」

6月、withnewsに寄せられたのはこんな声です。

休校中のこの1ヶ月で学校生活での基本的な感情(クラスカーストにおける自分の立場を念頭に置いてクラスの子と話す、友達関係に配慮しながら対話する、等)を忘れてしまったおかげで、分散登校や学校再開の際に学校やクラスがしんどいなと思ってしまうようになりました。本当に辛いです。

気持ちを打ち明けてくれたのは、中国地方に住む、中高一貫校に通う高校3年生、Aさんです。
Aさんは休校期間が始まる前は、女子だけの5人グループで行動していました。お弁当を食べたり、遊びに出かけたり――。
ただ、奇数グループの場合、グループの中でも2人、2人、1人に分かれてしまうことがあるなど、「結構つらいんです」と話します。

「5人みんなでいると仲はいいんですが、5人の中でも、2人だけで知らないうちに遊びに行った様子がインスタにあがったりしていると、つらくなったりするんですよね」

他にも、自分とは関係のないところで友だち同士が険悪ムードになっていても、その空気が気になってしまい、「つらい」と感じ、勉強に手が着かないことも。

そんなAさん自身は、友人関係に過敏に反応してしまっている自覚があり、「依存しているところがありました」と振り返ります。

一方で、Aさんは大学受験を控える高校3年生。「友だち関係を気にしている時間があったら勉強しなきゃ」、そして「依存してしまう性格から変わりたい」――。自分を変えたいという思いから、少しずつ、友だち同士の関係を「気にしすぎないように」と意識し始めたのが、休校の直前ごろでした。
「『自分の道を行こう』と考えるようになってきたところだったんです」

休校中は受験に向け猛進

休校期間は4月中旬から5月末までの1カ月半ほど。
受験への焦りもあって、学校が休みの間は友だちとの連絡はほとんど取らず、オンライン授業を受けることと、受験勉強に猛進していました。
「勉強動画をアップしているYouTuberの方の動画をみていると、『休校期間中は(学校以外の勉強ができる)夏休みだと思って勉強をしておいた方がいい』と言っている人もいた」と、普段なら登校するような時間まで、夜通しで受験勉強をすることもあったといいます。

Aさんは休校期間中に一人の時間の使い方を充実させられていたからこそ、学校再開後が大変でした。

「学校だと、苦手だと思っている子とかともしゃべらないといけないじゃないですか。
体育の時間で隣同士とか、放課後とかに2人きりになっちゃったとか。でも、休校期間中の1カ月半は、誰にも会わず、自分がやりたいことしかやっていなかったので『学校向けの自分』を忘れてしまいました。学校再開後はそれを取り戻すのがしんどかったんです」

「休校期間中の1カ月半は、誰にも会わず、自分がやりたいことしかやっていなかったので『学校向けの自分』を忘れてしまいました」=写真はイメージです
「休校期間中の1カ月半は、誰にも会わず、自分がやりたいことしかやっていなかったので『学校向けの自分』を忘れてしまいました」=写真はイメージです 出典:pixta

「学校ってこんなに気を張ってるんだ」

Aさん自身、学校再開後すぐは、そのしんどさの正体に気づいていませんでした。「学校に合わせた生活リズムを取り戻すことによるものなのか、それとも他に原因があるのか……自分でもなんでこんなにしんどいのかわかりませんでした」

しかし、学校が始まって1週間が経ったころ、「授業中、隣の席の子とコミュニケーションをとっているうちに、『学校ってこんなに気を張って生活してるんだ』って気づいちゃったんです」。

元々、人との関係にとても気を遣うタイプだったAさん。休校直前に、そんな自分から脱却しようと決意したところだっただけに、再開後にはなおさら、「一気に社会が始まってしまって、『そうだった、この子たちには気を遣わないといけなかったんだ』と思い出して、つらい気持ちになってしまいました」。

ただ、そこで幸いしたのは、Aさんが受験生だということです。
これまでの5人グループとは、「卒業旅行に行こうよという話くらいはしますが、いまはお弁当を一緒に食べることもありません」。授業の遅れや、受験に向けた焦燥感などもあることが、逆に過度に人間関係を気にしすぎないことにもつながっているそうで、「良い機会になったかなと思っている」とAさんはさっぱりとしています。

いまの目標は「一人でも歩いていけるように」

ただ、Aさんは、友だちのことが嫌いになったり、今後、友だち関係を一切絶って一人で生きて行きたいと思っているわけではありません。
「中高一貫で、6年間同じメンバーでした。仲が良い分、しんどいこともたくさん増えてきてしまったんです」
それは、自分以外のメンバーが知らないところで遊んでいたことをインスタで知ったときもそうだし、グループ内でケンカが起こってしまったときもそうです。
だからこそ、大学に入ってからは、新しい友だちと、新しい関係を0からつくってみたいと思っています。

「大学では、ちゃんと一人で歩けるようにならなきゃなって思っています。友だちに依存してしまう自分を変えたい。休校期間がなければ、そこまで考えることもなかったのかなと思います」

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