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#190 #withyou ~きみとともに~

退任のとーやま校長、「不安だった」生徒からの相談 変われたのは…

とーやま校長=デザイン・野口みな子、丹治翔撮影
とーやま校長=デザイン・野口みな子、丹治翔撮影

目次

2005年からTOKYO FMをキーステーションにJFN系38局で、平日毎日放送されている、「SCHOOL OF LOCK!」(SOL)の「とーやま校長」が、3月をもって退任します。2010年に着任してから10年間、10代リスナーと向き合ってきた校長が感じてきたこと、そして見えてきた「生徒」たちの姿を、シリーズでお届けします。2回目は、とーやま校長自身がこの10年で得た「話すこと」の本質についてです。

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【シリーズ】「とーやま校長ラストメッセージ」
第1回 とーやま校長「寂しいし後悔も」 10年関わったSOL、退任決めた理由

<SCHOOL OF LOCK!>
2005年からTOKYO FMをキーステーションにJFN系38局で、月~金曜夜10時から放送。番組を「ラジオの中の学校」と位置づけ、パーソナリティーの「とーやま校長」と、「生徒」に見立てたリスナーたちが、電話やネットの番組掲示板を通じて交流。自由に書き込みをすることができる掲示板に登録した生徒は延べ50万人を超え、中高生からの人気を集める。

とーやま校長は2代目。初代はやましげ校長。教頭もいて、やしろ教頭、よしだ教頭、あしざわ教頭が番組を支えた。PerfumeやMrs. GREEN APPLE、サカナクションなども出演し、番組内に授業(コーナー)を持つ。そして、今年4月からは「さかた新校長」、「こもり新教頭」がパーソナリティーとなることが3月5日(木)の放送で発表された。

つらくてしんどくて…「怒られたくなかった」10年前

校長になったのは30歳の4月。最初は「怒られたくない」という気持ちと、「10代に向き合うって何…?」って気持ちでした。それまでは、10代に向き合う意識は全然……まったくありませんでした。

だから、本当に最初の2、3年は自分のことで精いっぱいでした。
めちゃめちゃつらかった。しんどいし、生放送に来たくなかったですね。

「(生徒からの相談に)ちゃんと答えられなかった」とか、「あの言葉でよかったのか」とか、夢にまで出てきました。そういう反省はいまでもしますけど。

10年前は表面上のことしか言えてなかったような気がしていました。
言葉をしゃべっているけど、その言葉がそのままどこかにいっちゃって、届いている感じがなかったんです。思うような会話はできていませんでした。

僕はやましげ校長からSOLを受け継ぎ、2代目として「校長」のバトンを受け取りました。
だから、どこかで次に託さなきゃいけないとも思っていたんですが、自分のていたらくで途絶えさせてしまうんじゃないかという不安もありましたね。
 
就任当時を振り返りながら話すとーやま校長=丹治翔撮影
就任当時を振り返りながら話すとーやま校長=丹治翔撮影

生徒の自信につなげるためには

10年前に始めたころは、「僕の言葉で、生徒をどうにかひっぱりあげないといけない」としか考えられていなかったんですよ。

要は、自分が何を言うかしか考えられていなかった。

でも、どこかのタイミングで変わったんです。

結局、何かに悩んでいても、向き合っているのは「自分」じゃないですか。
僕と生徒の関係で言うと、最後は生徒がやらなきゃいけない。

そうなったときに、僕の言葉で「気づかせられたらいいな」とどこかで思うようになりました。

それも、「あっちみてみろよ」じゃなくて、「なんかない?なんか見えない?」みたいな言い方になっていると思います。

同じ「右を見る」という行為でも、「右見てみろ」って言われて見るのと、「なにかあるかな」と、自分で右を見るのとでは違うと思います。

「言われたから見た」ではなく、「自分で察知して見た」っていうのが、生徒の自信にもつながるんじゃないかなと、どこかのタイミングでそういうことを思ったんです。
 
インタビューに答えるとーやま校長=丹治翔撮影
インタビューに答えるとーやま校長=丹治翔撮影

人と話すことの本質

この10年で、「人と話すこと」について学びました。

「人と話す」って、コンビニやお店の店員と「話す」だけではなく、なんていうか、なんていうかですかね……「向き合って話す」というか。

SOLでやってきたのは、言葉と言葉の中に、目に見えない信頼がうまれ、それを持ち帰ってお互いが次の場所に行くということだったと思います。ただの質疑応答ではない。

ここまで変われたのは、本当は言いたくない答えだけど、「時間」がめちゃめちゃでかいっすね。

たとえば、普段の生活で見た本、新聞の記事。
校長になる前は、読んで終わり、見て終わりだったのが、どこかから、「自分が見ているものはいつかの、生徒に届ける材料になるんだな」と思うようになった。

聴く音楽もそうです。感じたイメージを自分なりの言葉にして生徒に届けられたらいいなと思うようになりました。

最初は信念もなかったし、自分の軸がぶれて、ちゃんと生徒のことを捉えられていなかった。

でもそうやって時間を積み重ねることで、「こんな言葉を聞いた」「こんなことあったな」という経験を持った自分でいられるようになったので、(生徒に対して)ぶれずにどっしりと、「よく来たね」ってちゃんとしゃべれているんだと思います。
 
「SCHOOL OF LOCK!」のパーソナリティーとして2010年からの10年間、10代リスナーと向き合い続けてきたとーやま校長。withnewsでは、生徒たちへの思いや、この10年で得たものについてインタビューをしました。3月17日から3回に分けて、毎週火曜日にお届けします。

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