MENU CLOSE

連載

13238

#189 #withyou ~きみとともに~

あさのあつこさん「今のあやまち忘れないで」日常失った子どもたちへ

今の混乱を経験したあなたたちにしか言えない言葉があるはずなんです

休校中、登校する児童。保護者の事情などで自宅で過ごすことが難しい児童を受け入れた小学校では、感染予防のため席を離して自習していた=2020年3月2日、大阪市西区の堀江小学校、細川卓撮影
休校中、登校する児童。保護者の事情などで自宅で過ごすことが難しい児童を受け入れた小学校では、感染予防のため席を離して自習していた=2020年3月2日、大阪市西区の堀江小学校、細川卓撮影 出典: 朝日新聞

目次

まもなく4月。不安な中で、進級や進学を意識し始めた人も多いかもしれません。3週間前に、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、安倍晋三首相が全国の小中学校に一斉休校を要請しました。友達と離ればなれになったまま卒業したり、家で心細く過ごしたり……、多くの子どもたちが、当たり前に続くと思っていた「日常」を失った3週間だったと思います。子どもたちへ今伝えたいことを、野球少年を描いた小説「バッテリー」で知られる作家のあさのあつこさん(65)に聞くと、「今感じていることを忘れないで」と話しました。「未来に『あやまち』を起こさない手助けになるから」と語った思いを聞きました。(朝日新聞岡山総局記者・華野優気)

思いを言葉にしてみて

今回(こんかい)(だれ)経験(けいけん)したことのない出来事(できごと)(わす)れないでほしい。

友達(ともだち)(はな)ればなれになってそのまま卒業(そつぎょう)して、()えなくなった(さび)しさ。
(いえ)()どもだけで()ごす心細(こころぼそ)さ。
イライラとか、学校(がっこう)()かなくてホッとしたなんて気持(きも)ちもあるかもしれない。

それをなんでも言葉(ことば)にしてみてほしい。()っても()いてもいい。「すごくさみしかったよ」とか「お(かあ)さんが大変(たいへん)そうでかわいそう」とか。(おも)いをちゃんととどめておいてほしいです。
岡山県倉敷市では学童保育が始まる午後2時まで、小学校が「緊急一時預かり」をした。静まりかえった学校の教室で、子どもたちは間隔を空けて座った=2020年3月2日
岡山県倉敷市では学童保育が始まる午後2時まで、小学校が「緊急一時預かり」をした。静まりかえった学校の教室で、子どもたちは間隔を空けて座った=2020年3月2日 出典:朝日新聞
(いま)()きている(こと)は、(わたし)は「あやまち」だと(おも)います。それは、二()()こしてはいけないことです。

あなたたちは大変(たいへん)経験(けいけん)をしてしまったけれど、(いま)(かん)じたことは、未来(みらい)に「あやまち」を()こさない手助(てだす)けになるということを(おぼ)えておいてください。

たとえば、戦争(せんそう)経験(けいけん)している(ひと)とそうでない(ひと)とでは、平和(へいわ)についての(かんが)(かた)(すこ)(ちが)ってきますよね。それと(おな)じで、(いま)混乱(こんらん)経験(けいけん)したあなたたちにしか()えない言葉(ことば)があるはずなんです。

この(さき)未来(みらい)のためにも、このことは(わす)れないでほしい。
第92回選抜高校野球大会の中止が11日に決まり、出場が決まっていた野球部では、泣き崩れる選手もいた=2020年3月11日午後6時10分、長崎県諫早市久山町、米田悠一郎撮影
第92回選抜高校野球大会の中止が11日に決まり、出場が決まっていた野球部では、泣き崩れる選手もいた=2020年3月11日午後6時10分、長崎県諫早市久山町、米田悠一郎撮影 出典:朝日新聞

心の内をのぞいてみる

ずっと(いえ)にいて、(ほん)()もうと()われても(なに)から()めばいいか()からない()(おお)いでしょう。

まんがでも絵本(えほん)でもいいので、()みやすい(ほん)から()んでみましょう。「まんがばっかり()んで」「6年生(ねんせい)なのに絵本(えほん)()んでいるの」とか()(おと)()がいますが、(こころ)にひびく(ほん)って、漫画(まんが)絵本(えほん)かなんて関係(かんけい)ないんです。

「どんな(ほん)をえらぶか」は、いま自分(じぶん)がどんな気持(きも)ちでいるのかという()づきにすごくつながる。「自分(じぶん)には(なに)()いているんだろう」「自分(じぶん)(いま)どんな(なが)れの(なか)にいるんだろう」と(こころ)(うち)をのぞけるんです。

音楽(おんがく)をきいたり()()いたりすることも(おな)じことなのかも()れません。

(かなら)ずしも(ほん)でなくていい。

自分(じぶん)がやりたいこと、やりたかったけどやれなかったことを(おも)()してみて。

まわりの大人(おとな)たちが()てにならないなら自分(じぶん)たちがしっかりしなきゃ。

<あさのあつこ>
大学在学中から児童文学を書き、岡山県内の小学校講師を3年務め、1991年にデビュー。少年野球を題材にした著作「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞。1千万部を超えるベストセラーになった。3児を育て、今は2歳から小6までの10人の孫がいる。

【関連リンク】「休校の間、どう過ごそう?」子どもが“30分”熱中できる「おうちでたのしーと」

連載 #withyou ~きみとともに~

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

新着記事

PR記事

コメント
CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます