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連載

#14 プラネタリウム100年

細胞世界へ入り込んだようなプラネタリウム動画、制作したわけは…

がんと闘う細胞のはたらきを描いたプラネタリウム「サイボウリウム」の試写会が開かれた
がんと闘う細胞のはたらきを描いたプラネタリウム「サイボウリウム」の試写会が開かれた 出典: ギリアド・サイエンシズ

目次

がん細胞と闘う細胞のはたらきを描いたプラネタリウム動画が公開されました。その名も「サイボウリウム」。そんな変わったプラネタリウムを制作した狙いを取材しました。

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細胞の世界へ入り込んだような体験

プラネタリウム動画は、血液がんなどの治療法として関心を集めている「CAR-T(カー・ティー)細胞療法」の啓発を目的として、医薬品会社ギリアド・サイエンシズ(東京都千代田区)が制作しました。

動画は、がんと闘う細胞のはたらきや治療法について理解を深めるアート映像で、プラネタリウムのドームに音楽とともに映し出されます。

体内を宇宙に、細胞を星々に例えていて、まるで星空映像のよう。普段は見ることのできない細胞世界へ入り込んだような体験ができる動画となっています。

細胞のはたらきを描いたプラネタリウム「サイボリウム」の一部
細胞のはたらきを描いたプラネタリウム「サイボリウム」の一部 出典: ギリアド・サイエンシズ

「CAR-T細胞療法」は、国内では白血病や悪性リンパ腫ですでに用いられている治療法。血液から免疫に関わるリンパ球を取り出し、がん細胞を攻撃できるように遺伝子を操作して細胞を作り、薬として投与する方法です。

ただ、この治療法は医療従事者以外への認知度はまだ低いといいます。

ギリアド・サイエンシズのアンケート調査によると、血液がんの患者100人のうち、約4割がこの治療法について「知らなかった」と回答したそうです。

北海道大学大学院医学研究院教授の豊嶋崇徳さん(血液内科)は「抗がん剤が効かない、骨髄移植が受けられないといった血液がんの患者さんへは新たな治療法の選択肢の一つとなります。ただ、CAR-T細胞療法は一生に一度しか使えない。また、重い副作用もあるかもしれません。専門の先生と相談しながら検討してほしい」と説明します。

CAR-T細胞療法について話す北海道大学大学院医学研究院教授の豊嶋崇徳さん
CAR-T細胞療法について話す北海道大学大学院医学研究院教授の豊嶋崇徳さん 出典: ギリアド・サイエンシズ

治療法、多くの人に知ってもらうため

このプラネタリウム動画は、認知度が低いという背景を踏まえ、多くの人に新しい治療法を知ってもらうために制作されました。

先日開かれた試写会には、動画のナレーションを担当した声優の梶裕貴さんや、以前、多発性骨髄腫を発症した俳優の佐野史郎さんが登場。

佐野さんは、「現在、僕は寛解状態ですが、再発のある病気なので興味を持って見ました。こういった治療があると知っておくだけでも、患者さんは前向きになれるかもしれませんね」と期待を寄せます。

また、今回の活動を通じて初めてCAR-T細胞療法を知ったという梶さんは、「情報を届けることの重要性を強く感じました。動画を入り口として、こういう治療法もあるんだと知るきっかけになればうれしいです」と話しています。

試写会ではナレーションを担当した声優の梶裕貴さんや、俳優の佐野史郎さんのトークショーも
試写会ではナレーションを担当した声優の梶裕貴さんや、俳優の佐野史郎さんのトークショーも 出典: ギリアド・サイエンシズ

プラネタリウム動画「サイボウリウム」は現在はネット上で公開されていて、誰でも見ることができます。

今後は関東エリアの科学館やプラネタリウム施設で、動画を流す計画を進めているそうです。

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