エンタメ
プログラマー芸人ジンバさん 正社員で働きながらゲームネタで人気
正社員でエンジニアとして働きながら、自作ゲームを使ったネタで注目を集めるプログラマー芸人のジンバさん。「バイトではなく正社員」として働きながら芸人活動をするという道をなぜ選んだのでしょうか。(ライター・安倍季実子)
ジンバさんは、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)で、自作ゲームを披露して注目を集めるプログラマー芸人です。IT企業で正社員として働きながら芸人活動を続けています。
神戸大学で情報系の学科に在籍していたジンバさんは、大学2年の時に松竹芸能の養成所(大阪)に入所しました。
当初はコンビを組んで漫才をしていましたが、芸歴2年目に解散し、ピン芸人へ。
「一般的なピンネタだと埋もれてしまうかもしれない。でも、ゲーム系のネタなら自分の特技も生かせるし、芸人としても目立てるんじゃないかと思いました」
案の定、自作のゲームネタは、ライブで確かな手応えを感じたといいます。
「アンケートで、いろんなお客さんに『ゲームネタの人が気になりました』と書いてもらえました。漫才やコントの中で、一人だけゲームをやっていたので、新鮮だったんだと思います」
そんな手応えを感じる一方で、大学卒業後の進路を考える時期が近づいてきました。バイトで生活費を稼ぐ芸人もいますが、ジンバさんが選んだのは「正社員」でした。
「収入が安定していないとメンタルも安定せず、芸人活動にも支障が出るだろうと思ったんです」
生活が安定しているから、一般的な芸人のような「一発逆転」を狙うハングリー精神は出ないかもしれない。そんな心配もありましたが、マイペースにコツコツ続けられる方が、自分には合っていると思ったそう。
もう一つの理由が、「ITエンジニア」という肩書きです。
「正社員のエンジニアと名乗れた方が、芸人としてのブランディングになるんじゃないかと考えました。実際、オーディションでも『本当に正社員なの?』とよく聞かれます。ちゃんと働いているからこそ、ネタにも信頼性が生まれるんだと思います」
新卒で入社したIT企業には、ほぼ毎日出社するジンバさん。
「僕は技術検証を担当しています。ドローンを動かすスマホアプリや社内研修用のVRなどを作っています」
ウェブサイトやスマホのアプリ制作とは異なり、任されているのは「できるかどうか分からない」技術の検証です。
情報が少ない中、ジンバさんが一人で進めているため、「本当にこれでいいのかな」「失敗したらどうしよう」と、検証では毎回ヒヤヒヤしているといいます。
「その分、完成した時の達成感や喜びは、すごく大きいです」と話します。
朝10時に仕事を始め、夜7時に終業。そこからは芸人の時間です。
「ライブは月に3本くらい。2〜3カ月に1回は『芸人がキャラとして登場するゲームをみんなで遊ぶ』主催ライブもやっています。僕の場合はネタがゲームなので、1本作るのにどうしても時間がかかるんです。ネタを考えて、プログラムを組んで、実際に動かして、ちゃんと笑いになるか確認して……という工程が必要なので」
思いついたアイデアを形にするまでには、想像以上の手間と時間がかかります。
「それに、お客さんに『また同じネタだ』と思わせたくないので、ライブではできるだけ新ネタを披露するようにしています。そうすると、月に3本くらいがちょうどいいんです」
頭の中は、いつも新しいゲームネタのことでいっぱいだといいます。
テレビ出演が決まった場合は、番組用のゲームを作ります。収録前は作業が詰まってしまい、気づけば深夜になることも。
「昨年12月は特に大変でしたね。テレビ収録が2回入って、それぞれ別のゲームを用意しました。やってもやっても終わらなくて……。1本は収録の直前に完成して、本当にギリギリで間に合わせました」
そんなハードな時期を乗り越えた先にあったのが、年始に放送された「ウチのガヤがすみません!SP」です。
芸人自らが考案したアイデアを企業に直接プレゼンし、その場で採用が決まるかもしれないという新春特別企画回。ジンバさんは「くら寿司レーシング」を披露しました。
「くら寿司レーシング」とは、お皿をハンドルに見立てて操作し、回転レーン上を走るレースゲームです。その日の出演者がキャラクターとなり、それぞれ特有のボイスやアイテムを使って1位を目指します。
苦労して作り上げたゲームに、スタジオは大盛り上がり。見事に採用を勝ち取りました。
「皆さんが僕の作ったゲームを楽しんでる姿を見るのは、やっぱり嬉しいです」
IT企業でのエンジニアの仕事も、芸人としてのゲーム制作も、どちらもプログラミングが中心。ジンバさんにとって、二つの活動は互いに補い合う関係だといいます。
「仕事で詰まった時に、芸人活動でゲームを作った時の経験が役立つことがあります。逆に、ネタのゲームで行き詰まった時に、仕事で得た知識が解決のヒントになることも。経験量が純粋に2倍になっているので、両方の経験を生かせます」
さらに、正社員としての給与があることで、芸人としてのゲーム制作に必要な機材も買えるそうです。
「例えば、レーシングゲーム用のハンドルコントローラーは1個2万円します。対戦ゲームにすると2個で計4万円がかかります。正社員だからこそ、やりたいネタに挑戦できているんだと思います」
将来の目標について尋ねると、少し考えてからこう答えました。
「もちろん、賞レースでいい結果を残したいというのもありますが、それよりも自作ゲームクリエイターとしても活躍されている野田クリスタルさんと共演したいです。お互いのゲームで遊んだり、お互いのキャラをゲームに入れ込んだり、そういうことができたらいいなと思っています」
そして、「プログラミングの技術を高めていって、『あれ、どうやって動かしてるの?』って驚かせたいですし、ゲームをやってる人も、見てる人も、全員が楽しめるゲームを作っていきたいです」と語っていました。
1/4枚