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ワークショップに没頭していた頃のはたちメシ 反省と内省を繰り返し
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二十歳の頃、何をしていましたか。そして、何をよく食べていましたか?
久しぶりに食べた「はたち」の頃の好物から、あなたは何を思うでしょうか。
今回は、ワークショップデザイナーとして働く男性の「はたちメシ」です。
相内洋輔(あいない・ようすけ)さん:ワークショップデザイナー・ファシリテーター。1985年、宮城県仙台市生まれ。宮城大学卒業後、リクルートに就職。2013年に公益財団法人東日本大震災復興支援財団に転職し、2018年に独立。現在は仙台市内に妻、一児と暮らす。
ワークショップという言葉の意味を一言で説明するのは、なかなか難しい。
場合にもよるが、何かひとつのテーマをみんなで考え、話し合いながら時に共同作業をしたり、様々な立場のグループに分かれてディスカッションし合ったり……といった参加型の講座を指すことが多いようだ。
「そうですね、僕が説明するときは『対話を通じて相互理解を深めたり、アイデアを共に創り上げたりする時間』と表すことも。そんな機会の企画・提案をして、円滑にワークショップが進行するための場づくりを仕事にしています」
こう語るのは、今年41歳になる相内洋輔さん。生まれ育った宮城県仙台市に拠点を置きつつ、ワークショップデザイナーとして全国に活動の幅を広げている。
はたちの頃、まさに「ワークショップに没頭」していた。
とある英語スクールに幼児期から通っており、そこはサマーキャンプなどのイベントが活発なところだった。相内さんは高校生の頃からキャンプの運営活動にも関わるようになる。
「キャンプをよりよいものにするにはどうすべきか、というテーマでワークショップをするんです。こう促せば小さい子も恥ずかしがらずに発表してくれる、大人を含めてのディベートもうまくいく……といったことを考えるのに熱中していました」
大学時代は野球部に所属、小学生の頃から野球が大好きだった。
「ただ部といってもほぼサークルで(笑)。年に試合は20回程度、飲み会の多い楽しいところでした」
妻との出会いがこの野球部、ひとつ下の後輩だった。
相内さんの「はたちメシ」をうかがったとき、挙がったのが「妻、つまり当時の彼女が作ってくれるチャーハンと肉じゃが」で、次に「彼女と一緒によく食べた、紅虎餃子房の餃子」を挙げられた。
後にプロポーズした時も一緒に食べた思い出の一品なのだそう。
「紅虎餃子房はキャンプ事務局の社員さんが教えてくれたんです。大学の仲間はチェーンの居酒屋などに行ってる中、『いい店知ってんだぞ、俺』って感じがうれしくて(笑)」
プロポーズはめでたく受け入れられ、2011年に結婚。相内さんは大学を卒業してリクルートの営業職に就いていたが、結婚から1か月で東日本大震災に見舞われる。
「仙台支社勤務だったのですが。震災発生時はアポイントの合間で、市内のベローチェにいたんですよ。食器が落ちて、目の前の道路が割れて、ビルも倒れて」
命の危険を感じた。近くの川が見たこともない濁った茶色になっているのが忘れられないという。
だが幸いにも大きな被害を受けることはなく、夫婦共に無事だった。その2年後、相内さんは震災復興支援財団に転職する。
「復興に携わりたいのと同時に、営業職としては本当に成績を出せずにいたのもあって。環境を変えたかった。財団では元省庁の人たちなどが今後どうすべきなのかを日夜討論していて、実力と経験の違いに打ちのめされました。でもこの時期、自分が作った資料を先輩方に添削してもらえたのは財産です」
あるとき、地域の問題を解決するためのプロジェクトを高校生と共に考えるワークショップを運営したところ高評価を受けた。
仕事上の自分の強みは、十代から携わってきたワークショップなのかもしれない……。
「ワークショップのアイディアを1日ふたつ、1年を通して考えられるだろうかと考えて自分に課してみたら、できたんです。それでさらに自信もついて」
33歳になる年に独立し、各地が抱える課題や資源活用など、様々なことをテーマにワークショップを提案する活動を続けてきた。
「30代は社会の中に自分の居場所を作っていくことができた時代でした。ようやく自分の活かし方が分かってきた……というか」
仕事で特に大事に考えていることは、と聞くと、相内さんは「合意形成力」と即答した。
学生の頃、キャンプ活動で仲間から「もうお前とはやっていけない」と告げられたこともあったと教えてくれる。それは絶交的な強い言われ方だったと。
「できない奴はやる気がない、なんて考えだったんです。自分が求めるクオリティに達してない人を排除するような。当時の僕は自分勝手でしたね、人を傷つけていた」
そんな思いでは当然、人はついてこない。反省と内省をくり返して、40代の今がある。
現在は大学でコミュニティデザインの講師もつとめ、近年では「市の自然資源をどう活かしていくのか」「被災地の跡地をどう活用していけばいいか」といったテーマでのワークショップも手がけた。
ちなみに、今も紅虎餃子房の餃子は夫婦共に好物とのこと。
取材・撮影/白央篤司(はくおう・あつし):フードライター、コラムニスト。主な著書に『自炊力』(光文社新書)『台所をひらく』(大和書房)『のっけて食べる』(文藝春秋)など。2023年10月に『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、2024年10月に『はじめての胃もたれ』(太田出版)、2025年4月に『はじめましての旬レシピ』(Gakken)出版
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