連載
#4 #乳幼児の謎行動
イヤイヤ表現、みんな「床ゴローン」の謎 イチゴ革命は変化の兆し
0歳~就学するまでの子どもたちの、思いも寄らない行動や不思議な言葉遣いに心当たりはありませんか?編集部では「#乳幼児の謎行動」をSNSで募り、乳幼児の「なんでそうなる?」を、同志社大学赤ちゃん学研究センター長で小児科医の小西行郎さんに聞きました。3回目は、「イヤイヤ、なぜ手足バタバタで表現するの」です。小西先生は「必ずどの子にも訪れる発達の一過程。成長を見守って」と話します。
小西さん
記者
小西さん
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小西さん
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小西さん
小西さんによると、自我を「自己自意識」あるいは「自意識」というとすれば、「その目覚めは生後9カ月ごろから」とのこと。
それまでは自らが動くことで周囲を探索し、さまざまなことを学ぶ時期ですが、9カ月ごろには他人の意図に気付き、自分が見られていることを認識し、同じ行動を共有することによって、共感を得ようとしたりするようになります。
こうした時期を経て、自己主張をできるだけ強くしていくのが反抗期。
しかし、自己主張をどれだけ強くしても、思い通りにならないことが分かると、子どもはそれなりに周囲との調整、言い換えれば自制心、自己コントロールの時期に入ります。
記者
小西さん
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小西さん
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そして小西さん、イヤイヤ期の子どもを育てる親御さんに向けて、こんなメッセージを語ってくれました。
「親御さんには、こどもの行動に引き込まれて親もキレたりしないように余裕を持って接していただきたいと思います。ある時期が過ぎると育児体験のなかでほほえましい出来事として思い出話になることが多い行動ではないでしょうか」
「今、しつけと暴力が話題になっていますが、暴力は当然ですが、基本的にしつけという考え方にはあまり賛成しかねます。親の考えや方法を教えるのは『おしつけ』になることが多いのです」
そして何度も繰り返していたのがこの言葉。
「子どもが自ら考え学ぶ存在であるということをもう一度強調しておきたいと思います」
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小西行郎(こにし・ゆくお)
同志社大学赤ちゃん学研究センター長、教授。小児科医。日本赤ちゃん学会理事長。
専門は小児神経、発達神経科学。1947年生まれ。京都大学医学部卒業。
主な著書に「赤ちゃんと脳科学」(集英社新書)、「赤ちゃんのしぐさBOOK」(共著、海竜社)、「はじまりは赤ちゃんから」(赤ちゃんとママ社)、「発達障害の子どもを理解する」(集英社新書)、「今なぜ発達行動学なのか―胎児期からの行動メカニズム」(診断と治療社)など。
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赤ちゃん学
小児科学、発達認知心理学、発達神経学、脳科学、ロボット工学、物理学、教育学、霊長類学などの異分野研究の融合による新しい学問領域。赤ちゃんの運動・認知・言語および社会性の発達とその障害のメカニズムの解明から、ヒトの心の発達までを対象とする。2001年には「日本赤ちゃん学会」が設立。08年に同志社大学内に開所した赤ちゃん学研究センターは、16年に文部科学省の共同利用・共同研究拠点「赤ちゃん学研究拠点」として認定された。
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