学習障害(LD)がある子どもはどのような状態で、何に困っているのかご存知ですか?イラスト図解とポイント解説で、学習障害とはどんな障害なのか、定義や特徴、症状、原因について分かりやすくご紹介します!(LITALICO発達ナビ編集部)
学習障害(LD)とは?
例えば、通級による指導の対象を示す場合など、教育現場で使われることの多い、文部科学省の学習障害の定義は以下の通りです。
特定の学習にだけ困難がある場合、周りから理解されにくく、「怠けている」などと誤解され、苦しんだり、不登校やうつなどの二次障害に陥ってしまう子どもも少なくありません。
障害の名称や診断の有無などにこだわりすぎず、一人ひとりどのような特性や困りごとがあるか理解し、対処していくことが非常に重要になります。
学習障害(LD)の3つのタイプと特徴・症状
※以下で紹介する症状・困りごとは年齢や学習の習熟度などによって、誰にでも見られるものもあります。当てはまるからといって学習障害であるとは限りません。
■ 読字障害(ディスレクシア)…「見た文字を判別し、音にして読むのが苦手」
学習障害と診断された人の中で一番多く見られるタイプで、見た文字を判別して読んで理解したり、音にするのが苦手です。読むことに障害があると、結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。
「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難があるタイプです。文字が読めるのにもかかわらず書けない場合もあります。
数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害のタイプを算数障害・ディスカリキュリア(dyscalculia)と呼びます。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。
「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっていることもあります。
学習障害の原因は?
学習障害の症状・困難の理由を理解しよう
じっと見つめたり、視線を上手に動かすことが困難で、行を飛ばして読んだり黒板の文字を写すのが苦手な場合があります。見た情報を脳が処理する視覚認知の機能が弱く、文字を認識するのが難しいこともあります。
また見え方に特性があり、文字がぼやける、黒いかたまりになって見える、逆さまに見える、歪んで見えるなど違った見え方になってしまう人もいます。
文字と音を結びつけるのが難しいため、音声を聞いて文字を書いたり、文字を見て即座に読み上げるのが難しいことがあります。
■ 書く動作が苦手
文字を書くという動作自体が苦手です。脳内で身体に指示を出し手を動かすという伝達機能がうまくいっていないからだという説が有力です。
文字を揃えて書く、バランスを考える、筆圧を調整する、文字間の距離感を取るなどが苦手です。そのため、筆算の際に桁がずれることも多くなり、間違えやすくなることもあります。
■ ワーキングメモリーの弱さ
一度にいろいろなことをするのが苦手で、聞きながら書く、読みながら意味を考えるなどが難しいこともあります。記憶するのが苦手な場合、漢字の形や読み方をなかなか覚えられないこともあります。
記憶や推論することが苦手だと、数字そのものの概念、規則性、推論が必要な図形の領域を認識するのが難しかったり、文章題を読み、意味を理解することや、グラフや表、図形などからイメージすることが苦手だったり、算数障害につながることもあります。
視覚過敏があって紙の白さが眩しく見えるなどで、文字が見えづらいことも。聴覚過敏・鈍麻のために話が聞き取りづらかったり、集中できないケースもあります。
その子の困難の背景を考え、寄り添ってサポートを
現在は、見分けやすいチョークやユニバーサルフォント、音声読み上げ機能のある電子教科書、タブレットやキーボードなど、学習障害のある子をサポートする道具や機器もあります。その子がうまくいきやすい方法があれば、学校での合理的配慮を求めることもできますので、ぜひ、学習障害について理解を深め、サポートしていきましょう。
学習障害をもっと知るためのリンク集
通級指導教室について知る
https://h-navi.jp/column/article/35026326
障害者手帳の取得法、利用できるサービスを知る
https://h-navi.jp/column/article/761
障害児が受けられる福祉サービスを知る
https://h-navi.jp/column/article/35025518
障害者が受けられる福祉サービスを知る
https://h-navi.jp/column/article/35025820
合理的配慮の受け方、具体例を知る
https://h-navi.jp/column/article/589
■ 子育ての対処法やヒントを知る
学習障害の子どもへの接し方
https://h-navi.jp/column/article/60
親子のヒント
https://h-navi.jp/teaching
■ 参考資料
発達障害者支援法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=416AC1000000167&openerCode=1
LD、ADHDの教育|文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008.htm
参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)
https://www.amazon.co.jp/dp/4260019082
参考書籍:『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店)
https://www.amazon.co.jp/dp/4521737056
参考書籍:「怠けてなんかない! ディスレクシア~読む書く記憶するのが困難なLDの子どもたち」品川 裕香
https://www.amazon.co.jp/dp/4265801269/
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