連載
#111 夜廻り猫
発熱でフラフラ 風邪薬の前に何か食べようと思ったら… 夜廻り猫
寒気がして、仕事から帰って熱を測ったら、38.5度。風邪薬をのんで寝ようと思ったけれど、何も食べてない――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、熱を出した男性のエピソードです。
悪寒をおぼえながら、なんとか自宅にたどりついた男性。熱を測ると、38.5度ありました。
「風邪薬のんで寝るか」と考えましたが、何も食べていないことに気づき、「災害用に備蓄していたうどんでも食べるか」と考えます。
しかし……棚は空っぽ。給料日前に食べてしまったのでした。
「ダメだ俺」と落ち込む男性。しかし、猫の遠藤平蔵が現れ、「米は高騰、休めないのに給料は上がらず、おまいさんずっと災害に遭っているようなもんさ」と慰めます。
「人生が……災害……」と落ち込む男性は「そうかも」と言いながら倒れ込み、遠藤が「ごめん!俺もだ 缶詰食べて」と差し出すのでした。
作者の深谷かほるさんは、被災したときの「自己責任」と重ねあわせて描いたそうです。
「東京都の防災ハンドブックには、自宅で居住の継続ができるなら在宅避難をしましょう、と書かれていました。急いで防災用品を準備しようとしたのですが、これが大変。何が必要か、勉強して探すのには時間がかかるし、買い集めるにはお金がかかります」と話します。
しっかり準備を整えた知人に尋ねたところ、「仕事の休みを使って備え、かなりのお金を費やしてつらかった」とのこと。深谷さんは「私はその話を聞いて諦めてしまいました……」と肩を落とします。
「それですむことではありませんが、近頃は物価高でますます暮らしは逼迫しています。稼いだお金は普段の生活でいっぱいいっぱい。あるいはさらに子育てや介護もして、自力で老後の生活費と防災用品を準備する……。投げ出したくなる昨今です」と話しています。
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