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連載

#95 #withyou ~きみとともに~

うまく人と話せない子に……ルール教え、ほめて伸ばす学習塾

ジョブサU18でスピーチの練習をする大塚竜輝さん(右)=東京都立川市柴崎町
ジョブサU18でスピーチの練習をする大塚竜輝さん(右)=東京都立川市柴崎町

目次

 自分の気持ちを表現することが苦手だったり、うまくコミュニケーションを取れなかったりする子どもたちでも、人と一緒に練習を積み重ねていけば、必ず変わっていくことができます。発達障害や知的障害のある子どもたちが、コミュニケーションの取り方を訓練できる学習塾があります。(朝日新聞社会部記者・平岡妙子)

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コミュニケーションの取り方を訓練

 「あなたはかき氷を食べています。『でも』でつながる文章を考えて」

 コミュニケーション学習塾「ジョブサU18」では、接続詞に続く文章を作ってスピーチの練習をします。東京都立川市の立川南口教室に通う高1の大塚竜輝さん(16)は、「でも、食べ終わったあとのゴミ箱までの距離は500㍍以上あります」と答えました。接続詞は「つまり」「そして」と、次々と与えられ、文章を作っていきます。

 ジョブサでは、自分の気持ちを表現する方法や、周りの人とのコミュニケーションの取り方を、五つの段階に分けて訓練します。周りの状況を把握し、話したい内容を文章にします。その文章を、さらに会話を考えて適した言葉に置き換えます。相手の反応を想像してから、勇気を出して話します……。
「あなたはかき氷を食べています。『でも』でつながる文章を考えて」(画像はイメージです)
「あなたはかき氷を食べています。『でも』でつながる文章を考えて」(画像はイメージです) 出典:https://pixta.jp/

集団ルールも学ぶ

 大塚さんは小さいときから、電車の名前や聞いた話をすぐに覚え、一度聞いた曲をそのままピアノで演奏できました。ただ、自分の気持ちを言葉で表現することは苦手でした。中学はフリースクールに通って1対1で学び、同世代の子との交流はあまりありませんでした。今も習い続けるピアノの先生の勧めもあり、昨年6月からジョブサに通っています。高校は、自分のスタイルに合わせて登校日数を選べる通信制の学校に進みました。

 授業はまず、体操で身体をほぐし、声を出す練習から始めます。グループで学習し、カードゲームなどの遊びを通して、集団ルールも学びます。大塚さんはジョブサに通うようになってから、家で初めて友だちの話をするようになりました。困ったことも口に出せるようになってきました。「気持ちが落ち着いてきた。滑舌も良くなった」と笑って話してくれました。
ジョブサU18でスピーチの練習をする大塚竜輝さん(右)=東京都立川市柴崎町
ジョブサU18でスピーチの練習をする大塚竜輝さん(右)=東京都立川市柴崎町

「成長する力を必ず持っている」

 運営する「ロクマル」(本社・東京都千代田区)は現在、札幌市から千葉県船橋市や千葉市など全国10カ所でこうした塾を展開しています。うまく会話ができずにいじめられるなど、傷ついた経験を持っている生徒が多く、少人数のグループで勉強することで、安心して話ができる環境を作ることを心がけています。一方的に自分の話ばかりしてしまう子には、「人が話すときは待つ」というルールを伝え、待てたときにはその都度ほめます。ほめられる経験が増えると、自分の番を待てるようになるといいます。

 高倉秀穂社長(48)は「ダメだと指導するのではなく、先生が笑顔で話を聞くことで、子どもの心が満たされて余裕が出来てきます」と話します。

 コミュニケーション力が伸びれば、学習や就労支援にもつながります。「子どもは成長する力を必ず持っています。ただ、スピードに差があるだけ。ゆっくりでも良いんだという安心感を与えたいです」
【関連リンク】凸凹の輝く教育(朝日新聞デジタル)
何事も満遍なくできる子を評価しがちな学校や社会の中で、凸凹の輝く教育を探っていく連載です。

【お知らせ】トークイベントを開きます


10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方

 11月10日(土)、発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催しました。

 発達障害の当事者であり、自分らしく生きていらっしゃる以下3名が、小中学校のころの生きづらさや今について語りました。

動画やSNSなどで発達障害について発信している 彩乃さん
15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん  

 「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人のヒントになる話・共感できる話がたくさんあります。

 発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。イベントの詳細は、発達ナビさまのサイトをご覧ください。

 イベントの様子は、ハッシュタグ「#ハッタツトーク」を付けてツイッターで発信しました。2019年5月ごろまで動画でもご覧いただけます。
 
ハッタツ・トーク!イベント動画はコチラ
 
 

 withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。


みんなの「#withyou #きみとともに」を見る

 

いろんな相談先があります

・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト
・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト

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