自分の気持ちを表現することが苦手だったり、うまくコミュニケーションを取れなかったりする子どもたちでも、人と一緒に練習を積み重ねていけば、必ず変わっていくことができます。発達障害や知的障害のある子どもたちが、コミュニケーションの取り方を訓練できる学習塾があります。(朝日新聞社会部記者・平岡妙子)
コミュニケーションの取り方を訓練
コミュニケーション学習塾「ジョブサU18」では、接続詞に続く文章を作ってスピーチの練習をします。東京都立川市の立川南口教室に通う高1の大塚竜輝さん(16)は、「でも、食べ終わったあとのゴミ箱までの距離は500㍍以上あります」と答えました。接続詞は「つまり」「そして」と、次々と与えられ、文章を作っていきます。
ジョブサでは、自分の気持ちを表現する方法や、周りの人とのコミュニケーションの取り方を、五つの段階に分けて訓練します。周りの状況を把握し、話したい内容を文章にします。その文章を、さらに会話を考えて適した言葉に置き換えます。相手の反応を想像してから、勇気を出して話します……。

集団ルールも学ぶ
授業はまず、体操で身体をほぐし、声を出す練習から始めます。グループで学習し、カードゲームなどの遊びを通して、集団ルールも学びます。大塚さんはジョブサに通うようになってから、家で初めて友だちの話をするようになりました。困ったことも口に出せるようになってきました。「気持ちが落ち着いてきた。滑舌も良くなった」と笑って話してくれました。

「成長する力を必ず持っている」
高倉秀穂社長(48)は「ダメだと指導するのではなく、先生が笑顔で話を聞くことで、子どもの心が満たされて余裕が出来てきます」と話します。
コミュニケーション力が伸びれば、学習や就労支援にもつながります。「子どもは成長する力を必ず持っています。ただ、スピードに差があるだけ。ゆっくりでも良いんだという安心感を与えたいです」
何事も満遍なくできる子を評価しがちな学校や社会の中で、凸凹の輝く教育を探っていく連載です。
【お知らせ】トークイベントを開きます

10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方
11月10日(土)、発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催しました。
発達障害の当事者であり、自分らしく生きていらっしゃる以下3名が、小中学校のころの生きづらさや今について語りました。
・動画やSNSなどで発達障害について発信している 彩乃さん
・15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
・NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん
「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人のヒントになる話・共感できる話がたくさんあります。
発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。イベントの詳細は、発達ナビさまのサイトをご覧ください。
イベントの様子は、ハッシュタグ「#ハッタツトーク」を付けてツイッターで発信しました。2019年5月ごろまで動画でもご覧いただけます。

withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。
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