連載
#1 コミチ漫画コラボ
「#学校がしんどい君へ」描いたマンガ ウニュ×コルクBooks
派手な女の子グループの、騒がしいおしゃべりや視線にびくびくして、居心地悪くて、でもそう思われたくなくて…。まるで自分の高校時代を振り返っているようでした。
私も本の世界や図書室に救われた一人。しんどい時に、本の一節や静かな場所、誰かが自分を丸ごと受け止めてくれた経験……そんな「何か」で心が軽くなることがある。前を向いて歩こうと思えた作品でした。(水野梓)
最後のコマの、射るような視線にハッとしました。「きれいごと言ってんじゃねぇぞ」と訴えられているような、迫力のある画です。
今つらい渦中の人に、「乗り越えろ」「堪えろ」ほど酷な言葉はありません。しんどさを乗り越えた人は、今苦しんでいる人から見たら別世界の人間。明と暗ではっきり別れている2人そのものです。
正直、この作品を選ぶことで、「#withyou」は自己矛盾に陥るのではないかとも考えました。しんどい子へ本当に届いていると思っているのか? 大人の自己満足ではないのか? そう問われている気がします。
どうしたら今戦っている子どもたちの支えになれるのか。マンガに「解」は描かれていません。答えは一つではないはず。改めて考えるきっかけをくれた作品です。 (河原夏季)
りゃこさんの作品は、当事者としての「学校に行けない」不安や心細さを丁寧に描きながらも、「自分を受け入れるヒント」を示してくれました。
私は不登校になったことで、他の人には当たり前にあるはずの要素が、すっぽりと抜けている感覚があります。そんな「不足感」は、ちょっとしたきっかけで、自分を責める理由になってしまう。これは、大人になった今でもそうで、ずっと続くものだと思っていました。
でも、作品から「誰も悪くないよ。だから自分を責めないで」、そんなメッセージが感じられ、心が洗われました。不登校経験者に限らず、過去の自分が心に影を落としている人に、ぜひ読んでもらいたい作品です。(野口みな子)
本当はおサカナなのに、違う生き物として生きていたら相当しんどい。それも海と陸で違うんだから、なおさら息苦しい。例えがストンと落ちました。
子どもの頃、「派手」な仮面をつけていた自分とも重なりました。息苦しさに堪えかねて仮面を外そうと思っても、まず自分が「素の自分」を受け入れないといけません。
世の中には、「仮面」がそのまま「自分」になる人もいるでしょう。マンガではそんな人たちのことも否定せず、いろんな生き方を示しています。
仮面を外したあと、一から居心地の良い場所を探すのは不安がいっぱいかもしれません。でも、「君」が向かう先は明るい、そんなメッセージを感じました。「君」は何者なのか、最後までわからないところも想像をかき立てられます。(河原夏季)
前編、背筋がゾッとしました。カタツムリの殻をかぶった少女には、誰の声も届きません。
対人関係を表現する時、「壁を築く」という言葉がよくありますが、蝸牛に例えたうまさに思わずうなりました。
たしかに逃げ込んだ「その中」は、壁よりも全方位で安全。ただし全方位、外部から切り離されている。殻に守られすぎた素肌は刺激に弱すぎて、外に身をさらす勇気もない。その殻から出ることがまさに「社会性の獲得」なのでしょう。
こもっている時は、殻から出ることは全身をくまなく外気にさらすことだ、そんなことは耐えられないと、恐怖におののきます。でも、殻を背負ったまま社会とつながることは、可能なんですよね。(原田朱美、松川希実)
考え方によってはプラスになるということに気づかせてくれました。
自己嫌悪しても学校やめても、問題児でも友達つくってみても、どこに行っても、いいんだよ!と、エールと熱い気持ちが込められた作品です。
特に3作品目の「問題児になってよし」で描かれた学校に行けなくなった女の子。「漫画を描きたい」と父に打ち明ける時、本気なのに笑ってしまいます。反対されたり否定されたりするのを見越して自分の心を守っているんだろうな…と胸が痛くなりました。本当の思いをしっかり相手に受け止めてもらえる経験は、とても大切なんだなと感じました。
小柳かおりさんは、最多5作品を応募してくれました! 主人公(作者)の人生を通したメッセージ。一気に読んでもらいたいです。(水野梓、山本恭介)
「みんなが言ってたから」悪口を言って、「みんながやってたから」友達を菌扱いしていた過去。心の中に残っていたトゲが痛みました。きっと、同じ思いの人は少なくないと思います。モヤモヤを抱えながら周囲に流されていた、忘れかけていた痛みを呼び起こしてくれました。
「みんなが…」は自分を正当化する魔の言葉です。自分がターゲットにならないように同調することもあるでしょう。でも、本当に「みんなが言ってたからって何だよ!!」という話です。加害者の自分に向き合うことは苦しいけれど、忘れてはいけないと思います。
作者のこしのりょうさんは、締め切り後にもブラッシュアップした作品を投稿してくれています。これがまた、えぐられる。自分はどんな顔をしていただろうか……。(河原夏季)
中学校に死ぬほどいる、上にぺこぺこ、下に偉そう人間。社会にもめちゃくちゃいます。それでも、一度立ち向かっていくことで環境が変わるかもということを示唆していて、粗削りでも引き込まれます。
小さな抵抗をするには大きな勇気が必要です。「嫌だ嫌だ嫌だ」の気持ちを、主人公の男の子は小さな抵抗として表に出すことができました。それは本当にすごいことです。頭を思いっきりなでてあげたい。(影山遼、金澤ひかり)
どう見ても弱っている、という状態の人間に対して、どんな言葉をかけるのか。その人の価値観がよく出ます。
「金八」という表現が秀逸でした。「そういう時はさ、こーすればいいよ」。こちらが何も話していないのに、思い込みの助言が雨あられと降り注ぐ。言われた方は、「ああ、私は分かってもらえないんだな」と、相手との距離に絶望してしまう。そんな人間にとって、黙って見守ってくれる人は、ありたがたい存在でしょう。その視線だけで、生きていけることもあります。
不登校だった頃を引いた目で振り返っている感じも印象的。キッチンタイマーくんのその後が読みたくなりました。(原田朱美、丹治翔)
「自分もそうだったなあ。というか今もそうかも!」と共感できました。
やりたいことが分からない、将来つきたい職業がないという人もいるなかで、自分の夢がはっきりしていてすごいなぁと思ったくらいです。
夢を語ることは全然はずかしくない。背中を押された人も多いと思います。(山本恭介)
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