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#3 コミチ漫画コラボ

「心細かったよね」小1から不登校の私 「救うつもりで」描く漫画

「学校にいると苦しくてしんどくて、とっても不安になってしまうーー」。コルクBooksとwithnewsがコラボし、「#学校がしんどい君へ」というテーマで漫画を募集しました。入賞したのは、学校に行けず心細い思いをする、小さな小さなかっぱの物語。

りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典: コルクBooks

目次

 「学校にいると苦しくてしんどくて、とっても不安になってしまうーー」。コルクBooksとwithnewsがコラボし、「#学校がしんどい君へ」というテーマで漫画を募集しました。入賞したのは、学校に行けず心細い思いをする、小さな小さなかっぱの物語。描いたのは、小学校1年生から高校3年生までの不登校だった女性です。当時を「嫌な思い出ばかり残っている」と振り返る作者が、自身の経験を「かっぱ」に託した理由とは……。
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「#学校がしんどい君へ」描いたマンガ、結果発表 ウニュ×コルクBooks

学校がしんどい君へ

 「不登校の自分を否定してあげないでほしい。1番自分を守れるのは、自分だから」

 そう語るのは、「学校がしんどい君へ」という漫画を投稿した、奈良県在住のりゃこさん(28)。「かっぱ」が主人公の作品は、不登校だったりゃこさんの体験がもとになっています。
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典:コルクBooks

 学校に行きたくない自分に、親や先生は困った顔をする。困らせたくないけど、学校には行きたくないーー、「どうして学校に行かなきゃダメなの……?」。やわらかいタッチながらも、幼いかっぱが心を痛めている様子に、きゅっと胸をしめつけられます。そんな中、りゃこさんが実践するのは、昔の自分を「セルフケア」するということでした。

少女が感じた「もう頑張れない」

 りゃこさんが「学校に行きたくない」と感じたのは、小学校1年生のとき。

 学校のにぎやかな音、教室のにおい、友だちに怒っている先生の表情……、どれも自分が攻撃されているようで怖かった、とりゃこさんは振り返ります。

 「別の人が怒られているのに、自分が怒られているような気がする。ずっと緊張している状態でした」

りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典:コルクBooks

 ある日、風邪で学校を休んだことをきっかけに「何かがはじけてしまった」と話します。

 「もう頑張れない」

今でも「思い出すとつらい」

 学校に行こうとすると、頭が痛くなったり、トイレが近くなったり。親に車で学校に送ってもらうも、車から降りられない。迎えに来た先生に半ば無理やり連れ出され、泣きながら見た景色が鮮明に思い出されます。

 「誰もわかってくれない心細さ、不安……、ふとしたときに思い出すと泣きそうになります」

りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典:コルクBooks

 「ダメなことをしているという意識がずっとあった」というりゃこさん。主人公を「かっぱ」にしたのも、「人間で描くと、当時のことがリアルによみがえってきてしまうから」。大人になっても不登校の頃の罪悪感が、心に影を落としていました。

過去の自分に「大丈夫だよ」

 転機は2年ほど前、子どもの頃からお世話になっているカウンセラーの言葉だったといいます。

 「これまでの、昔の自分も大切にしてあげてね」

 すぐにカウンセラーの言葉を受け入れられた訳ではありませんでした。でも少しずつ、学校に行かなかったことを「自分を守るための行動だったんだ」と、思えるようになったといいます。

りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典:コルクBooks

 「学校に行き続けていたら、更に追いつめられて、もしかしたら死んでたかもしれない。幼いながらに自分を守ろうと頑張っていた自分を、『大丈夫だよ』と包みこんであげたい、と思うようになりました」

 当時の自分を慈しむように、りゃこさんは話してくれました。

 漫画「学校がしんどい君へ」の最後のシーンでは、大人になったかっぱが現れ「辛かったね 心細かったよねぇ」と、子どものかっぱを優しく抱き寄せます。幼いかっぱはぽろぽろと涙を流すのでした。

りゃこさんの「学校がしんどい君へ」
りゃこさんの「学校がしんどい君へ」 出典:コルクBooks

「当時の自分救うつもりで」描き始めた漫画

 りゃこさんはこれまでも、かっぱを主人公にした4コマ漫画「不登校エッセイ」をツイッターに投稿してきました。不安な思いを投影しながらも、時にはくすっと笑えるような、やわらかいタッチの漫画になっています。



 経験を漫画にすることが、心の整理になるといいます。「当時のさみしさが浄化されるような、昔の自分を救うような気持ちで描いています」と、少しはにかみながら話します。

 入賞の連絡に「自分の気持ちが他の人の心にどう映るのか、ドキドキしていました」という、りゃこさん。

 「不登校の子に、自分だけじゃない、って思ってもらえたらいいなと思います。『学校に行きたくない』という気持ちは、自分を守ろうとしてるのだから、どうか自分を責めないで。自分のことを一番ケアしてあげられるのも、自分だから」

りゃこさんのサイトはこちらから

     ◇     ◇     ◇

 withnewsは7月、マンガのSNSを運営するコルクBooksとコラボし、「#学校がしんどい君へ」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ37作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのでしょうか。みなさんの10代も振り返ってもらいました。

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