連載
#3 コミチ漫画コラボ
「心細かったよね」小1から不登校の私 「救うつもりで」描く漫画
「学校にいると苦しくてしんどくて、とっても不安になってしまうーー」。コルクBooksとwithnewsがコラボし、「#学校がしんどい君へ」というテーマで漫画を募集しました。入賞したのは、学校に行けず心細い思いをする、小さな小さなかっぱの物語。
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#3 コミチ漫画コラボ
「学校にいると苦しくてしんどくて、とっても不安になってしまうーー」。コルクBooksとwithnewsがコラボし、「#学校がしんどい君へ」というテーマで漫画を募集しました。入賞したのは、学校に行けず心細い思いをする、小さな小さなかっぱの物語。
学校に行きたくない自分に、親や先生は困った顔をする。困らせたくないけど、学校には行きたくないーー、「どうして学校に行かなきゃダメなの……?」。やわらかいタッチながらも、幼いかっぱが心を痛めている様子に、きゅっと胸をしめつけられます。そんな中、りゃこさんが実践するのは、昔の自分を「セルフケア」するということでした。
りゃこさんが「学校に行きたくない」と感じたのは、小学校1年生のとき。
学校のにぎやかな音、教室のにおい、友だちに怒っている先生の表情……、どれも自分が攻撃されているようで怖かった、とりゃこさんは振り返ります。
「別の人が怒られているのに、自分が怒られているような気がする。ずっと緊張している状態でした」
ある日、風邪で学校を休んだことをきっかけに「何かがはじけてしまった」と話します。
「もう頑張れない」
学校に行こうとすると、頭が痛くなったり、トイレが近くなったり。親に車で学校に送ってもらうも、車から降りられない。迎えに来た先生に半ば無理やり連れ出され、泣きながら見た景色が鮮明に思い出されます。
「誰もわかってくれない心細さ、不安……、ふとしたときに思い出すと泣きそうになります」
「ダメなことをしているという意識がずっとあった」というりゃこさん。主人公を「かっぱ」にしたのも、「人間で描くと、当時のことがリアルによみがえってきてしまうから」。大人になっても不登校の頃の罪悪感が、心に影を落としていました。
転機は2年ほど前、子どもの頃からお世話になっているカウンセラーの言葉だったといいます。
「これまでの、昔の自分も大切にしてあげてね」
すぐにカウンセラーの言葉を受け入れられた訳ではありませんでした。でも少しずつ、学校に行かなかったことを「自分を守るための行動だったんだ」と、思えるようになったといいます。
「学校に行き続けていたら、更に追いつめられて、もしかしたら死んでたかもしれない。幼いながらに自分を守ろうと頑張っていた自分を、『大丈夫だよ』と包みこんであげたい、と思うようになりました」
当時の自分を慈しむように、りゃこさんは話してくれました。
漫画「学校がしんどい君へ」の最後のシーンでは、大人になったかっぱが現れ「辛かったね 心細かったよねぇ」と、子どものかっぱを優しく抱き寄せます。幼いかっぱはぽろぽろと涙を流すのでした。
りゃこさんはこれまでも、かっぱを主人公にした4コマ漫画「不登校エッセイ」をツイッターに投稿してきました。不安な思いを投影しながらも、時にはくすっと笑えるような、やわらかいタッチの漫画になっています。
今まで上げたやつをまとめました。 https://t.co/cgrWhsFt2O #不登校 #コミックエッセイ #エッセイ漫画
— りゃこ (@ryakoko) 2018年2月26日
経験を漫画にすることが、心の整理になるといいます。「当時のさみしさが浄化されるような、昔の自分を救うような気持ちで描いています」と、少しはにかみながら話します。
入賞の連絡に「自分の気持ちが他の人の心にどう映るのか、ドキドキしていました」という、りゃこさん。
「不登校の子に、自分だけじゃない、って思ってもらえたらいいなと思います。『学校に行きたくない』という気持ちは、自分を守ろうとしてるのだから、どうか自分を責めないで。自分のことを一番ケアしてあげられるのも、自分だから」
◇ ◇ ◇
withnewsは7月、マンガのSNSを運営するコルクBooksとコラボし、「#学校がしんどい君へ」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ37作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのでしょうか。みなさんの10代も振り返ってもらいました。
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