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「僕とじっと耐えましょう」悩める人が集まる古書店の「#withyou」
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withnewsは4月から、若者に「ひとりじゃないよ」と伝えるキャンペーン企画「#withyou」を始めます。個性的なツイートが光る、大阪の古書店「一色文庫」。ある日、店主のもとに「死ぬ前に読む本はないか」とメッセージが届きました。店主が勧めたのは、意外な作品でした。新学期がスタートする春。新しい環境に憂うつな人もいるでしょう。少しでも気が楽になるヒントを探しに、一色文庫を訪ねてみました。
――ツイッター上に、相談が来たことあるそうですね
「『死ぬ前に読む本って、何かないですか』。2月、ツイッターのダイレクトメッセージで、いきなりきました」
「本を読むのも大事だけど、誰かに相談してください。もし相談する相手がいなかったら、うちに来てください。コーヒーでも飲んで、お話ししましょう、と答えました」
「その日に連絡がなかったから、もう一回メッセージを送ったら、『まさか返信が来るとは思いませんでした。こんな温かい言葉をいただけて、涙、涙です』と」
「もしよかったら好きな映画を紹介させてくださいと、『男はつらいよ』を紹介しました」
「そしたら『4作、見ました』と返信がありました。はまったみたいで、元気が出たようでした」
――「男はつらいよ」を勧めたのは意外です
「明るい作品がいいかなと。あれこれ考えず、ぼぉーっと見られる。でも、なぜか知らんけど勇気づけられちゃう。主人公の寅さんはテキ屋で、放浪して、好き勝手生きて行く。泣いて笑って、最後はハッピーエンドです。苦しい、死にたいときに、難しいもの見てもね、しゃあないと思って」
――お店で悩み相談にのることもあるそうですね。悩みを抱える人たちにメッセージはありますか
「悩めるとき、本にできることは限られていると思います。活字を追うのもできないくらい悲しみのときもあるかと思います」
「そんなときは、ひとりで抱え込まず、誰かに相談してほしいです」
「近くなら、うちで温かいコーヒーでも飲みながら、僕とじっと耐えましょう。適切なことは何も言えないけど、話は聞けます」
古本屋は町の保健室です。こんばんは。今日はお客様に大雪山の新雪に埋もれて死にたいという悩みを真剣に打ち明けられました。悩みのない人生なんてないですね。書物は人間の苦悩の結晶です。現状、古本屋も大変苦悩してますが、蔵書とお悩みはまとめて古本屋へお持ちください。誠実に善処いたします。
— 一色文庫 (@isshikibunko) 2017年9月6日
――新学期が憂うつな学生に、オススメの作品はないでしょうか
「なかなか十人十色の悩みを救う本の紹介は難しいです。ただ、真っ先に浮かんだのが、詩が好きな女子高生が書いたフリーペーパー『詩ぃちゃん』です。こんな一節を紹介します」
<日常生活のふとした片隅に詩を思い出すことがあります。その時にその言葉は、時として文面に向かっている時より大きな効力を発します>
「毎日、1ページでもいいから読んでいると、悲しい時、うれしい時に聞く音楽があるように、悩める時に心に響く、自分を救ってくれる言葉を見つけられると思います」
「悩みのない人生なんてないと思います。そんなときに、本はほんの少しだけ、心の支えになってくれるかもしれません」
「本は自分では言葉にできない感情を文章にしてくれたり、誰もわかってくれない自分の気持ちを代弁してくれたりします」
子供が本嫌いになる方法
— 一色文庫 (@isshikibunko) 2018年1月21日
子供が自由に本をに選べない。
本を読んだら首相になれるよと言われる。
ワンピースが読めない。
最後まで読み切らないと、いいね!がもらえない。
最後まで読み切ったら感想文をツイートしなければならない。
同じ本を繰り返し読めない。
古本屋に寄り道できない。
――ご自身が、若い頃に影響を受けた本はありますか
「大学時代に読んだ植村直己さん『青春を山に賭けて』は、衝撃の一冊でした。古本屋でたまたま出会って、夢中になって読んだ。」
「植村さんは、世界ではじめて五大陸最高峰に登頂した探検家。最後は北米マッキンリーで消息を絶ちました。すべてを投げ捨てて、自分のしたいことに突き進んでいく生き方に、ビビッときました」
「自分には最高峰制覇は、無理やなあと。でも、日本縦断ぐらいならできるんじゃないかと思った」
「いても立ってもいられずに、休学届けを出しました。発作的な感じで。北海道・稚内市から、鹿児島まで90日かけて縦断した。テントで野宿しながら、1日40キロ歩きました」
――「発作的に旅」とは、すごいですね。当時はどんな気持ちでしたか
「大学はおもしろくなかったし、訳もなく、もんもんとしていました。縦断は現実逃避でしたが、そういう時、人を動かすような本に出会えたのは幸せでした」
学生時分、この本を読み感銘を受け、北海道から鹿児島まで徒歩で縦断しました。道中、ごはんを御馳走になったり、家に泊めて下さったりと多くの方にお世話になりました。あの時のご恩は忘れません。「こんなすごいことができる君は大物になる」と言ってくれた人、あなたの期待に応えられませんでした。 pic.twitter.com/XBpef7w3i8
— 一色文庫 (@isshikibunko) 2017年10月7日
――大学卒業後のサラリーマン時代も、憂うつでしたか
「うつうつと言うことはないですが・・・。僕ね、友達みたいな人いないんですよ。何というか、連絡する人っていないんですよ。」
「だから他人との関わりが、できないんじゃないかと思っていた。ずーっと」
――古書店を始めたきっかけは何ですか
「大学時代からずっと会社勤めとかはしたくなかった。何か自分でやるんだと考えていました。大学卒業後に会社員になりましたが、長く続けるつもりはなかった」
「その時、『ku:nel』という雑誌に、ある女性が200冊くらいで古書店を始めたと、記事に載っていた」
「その女性は本を売るだけでは足りないから、郵便局でアルバイトしていた。慎ましく生活している。『すごいな、こういう人生もあるんや』と思いました」
「まもなく、会社に辞表を出しました。本で人生が変わったことは確かなんですよ」
「本を読むべきだとか、読むとよいことがあるとか、あまり教訓的なことは言いたくないです。読まなくたって生きていける。でも、読むと楽しいですよ」
13年前、古本屋を開業しました。こんばんは。僕は断崖絶壁に立ち、この古本業界の空を羽ばたくことができるか、それとも奈落の底へ叩きつけられるかの覚悟を持って飛び立ちました。13年かけてゆっくり奈落の底へ落ちていき、今にも軟着陸しそうです。まだ飛び続けたいです。本お売りください。
— 一色文庫 (@isshikibunko) 2017年9月18日
人生で困難なことがある時、答えを出すために、ある人は聖書あるいは哲学書を開きます。友に頼る人もいます。漱石先生や百閒先生、吉本ばななさんならどうするだろうと考えて書物を紐解く人もいます。こんばんは。僕が数多の困難を乗り越えることができたのも、ひとえに、しいたけ占いのおかげです。
— 一色文庫 (@isshikibunko) 2017年11月11日
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