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2018年04月05日

「僕とじっと耐えましょう」悩める人が集まる古書店の「#withyou」

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古書店「一色文庫」=大阪市天王寺区

古書店「一色文庫」=大阪市天王寺区

 withnewsは4月から、若者に「ひとりじゃないよ」と伝えるキャンペーン企画「#withyou」を始めます。個性的なツイートが光る、大阪の古書店「一色文庫」。ある日、店主のもとに「死ぬ前に読む本はないか」とメッセージが届きました。店主が勧めたのは、意外な作品でした。新学期がスタートする春。新しい環境に憂うつな人もいるでしょう。少しでも気が楽になるヒントを探しに、一色文庫を訪ねてみました。

全部読まなくてもいいです、これだけ覚えておいて

【一色文庫さんからのメッセージ】
・ひとりで抱え込まず、誰かに相談してほしいです
悩みのない人生なんてないと思います
・本は読まなくたって生きていける。でも、読むと楽しいですよ

一色文庫の店内。椅子や机が並び、座ってくつろぎながら本を選べる

一色文庫の店内。椅子や机が並び、座ってくつろぎながら本を選べる

なぜか「男はつらいよ」

――ツイッター上に、相談が来たことあるそうですね

 「『死ぬ前に読む本って、何かないですか』。2月、ツイッターのダイレクトメッセージで、いきなりきました」

 「本を読むのも大事だけど、誰かに相談してください。もし相談する相手がいなかったら、うちに来てください。コーヒーでも飲んで、お話ししましょう、と答えました」

 「その日に連絡がなかったから、もう一回メッセージを送ったら、『まさか返信が来るとは思いませんでした。こんな温かい言葉をいただけて、涙、涙です』と」

 「もしよかったら好きな映画を紹介させてくださいと、『男はつらいよ』を紹介しました」

 「そしたら『4作、見ました』と返信がありました。はまったみたいで、元気が出たようでした」


――「男はつらいよ」を勧めたのは意外です

 「明るい作品がいいかなと。あれこれ考えず、ぼぉーっと見られる。でも、なぜか知らんけど勇気づけられちゃう。主人公の寅さんはテキ屋で、放浪して、好き勝手生きて行く。泣いて笑って、最後はハッピーエンドです。苦しい、死にたいときに、難しいもの見てもね、しゃあないと思って」

 一色文庫の店主。大阪生まれ、鹿児島育ち。13年前に古書店「一色文庫」開業。告知用に始めたツイッターにはまり、今では1日2回のツイートを日課にしている。本の話題以外にも、スナックのチーママとの掛け合いなど話題は豊富。独特の世界にファンも

 一色文庫の店主。大阪生まれ、鹿児島育ち。13年前に古書店「一色文庫」開業。告知用に始めたツイッターにはまり、今では1日2回のツイートを日課にしている。本の話題以外にも、スナックのチーママとの掛け合いなど話題は豊富。独特の世界にファンも

一色文庫の店内

一色文庫の店内

――お店で悩み相談にのることもあるそうですね。悩みを抱える人たちにメッセージはありますか

 「悩めるとき、本にできることは限られていると思います。活字を追うのもできないくらい悲しみのときもあるかと思います」

 「そんなときは、ひとりで抱え込まず、誰かに相談してほしいです」

 「近くなら、うちで温かいコーヒーでも飲みながら、僕とじっと耐えましょう。適切なことは何も言えないけど、話は聞けます」

ある女子高校生のことば

――新学期が憂うつな学生に、オススメの作品はないでしょうか

 「なかなか十人十色の悩みを救う本の紹介は難しいです。ただ、真っ先に浮かんだのが、詩が好きな女子高生が書いたフリーペーパー『詩ぃちゃん』です。こんな一節を紹介します」

 <日常生活のふとした片隅に詩を思い出すことがあります。その時にその言葉は、時として文面に向かっている時より大きな効力を発します>

 「毎日、1ページでもいいから読んでいると、悲しい時、うれしい時に聞く音楽があるように、悩める時に心に響く、自分を救ってくれる言葉を見つけられると思います」

 「悩みのない人生なんてないと思います。そんなときに、本はほんの少しだけ、心の支えになってくれるかもしれません」

 「本は自分では言葉にできない感情を文章にしてくれたり、誰もわかってくれない自分の気持ちを代弁してくれたりします」

フリーペーパー「詩ぃちゃん 」

フリーペーパー「詩ぃちゃん 」

「詩ぃちゃん」の一節。「日常生活のふとした片隅に詩を思い出すことがあります。その時にその言葉は、時として文面に向かっている時より大きな効力を発します」

「詩ぃちゃん」の一節。「日常生活のふとした片隅に詩を思い出すことがあります。その時にその言葉は、時として文面に向かっている時より大きな効力を発します」

徒歩で北海道から鹿児島へ

――ご自身が、若い頃に影響を受けた本はありますか

 「大学時代に読んだ植村直己さん『青春を山に賭けて』は、衝撃の一冊でした。古本屋でたまたま出会って、夢中になって読んだ。」

 「植村さんは、世界ではじめて五大陸最高峰に登頂した探検家。最後は北米マッキンリーで消息を絶ちました。すべてを投げ捨てて、自分のしたいことに突き進んでいく生き方に、ビビッときました」

 「自分には最高峰制覇は、無理やなあと。でも、日本縦断ぐらいならできるんじゃないかと思った」

 「いても立ってもいられずに、休学届けを出しました。発作的な感じで。北海道・稚内市から、鹿児島まで90日かけて縦断した。テントで野宿しながら、1日40キロ歩きました」


――「発作的に旅」とは、すごいですね。当時はどんな気持ちでしたか

 「大学はおもしろくなかったし、訳もなく、もんもんとしていました。縦断は現実逃避でしたが、そういう時、人を動かすような本に出会えたのは幸せでした」

植村直己「青春を山に賭けて」

植村直己「青春を山に賭けて」

ひとりでなにがわるい

――大学卒業後のサラリーマン時代も、憂うつでしたか

 「うつうつと言うことはないですが・・・。僕ね、友達みたいな人いないんですよ。何というか、連絡する人っていないんですよ。」

 「だから他人との関わりが、できないんじゃないかと思っていた。ずーっと」

椅子がたくさん並ぶ一色文庫。座って、くつろいで本を選べる

椅子がたくさん並ぶ一色文庫。座って、くつろいで本を選べる

人生を変えた雑誌

2003年創刊の旧「ku:nel」。「ストーリーのあるモノと暮らし」がテーマ。2016年にリニューアルされた

2003年創刊の旧「ku:nel」。「ストーリーのあるモノと暮らし」がテーマ。2016年にリニューアルされた

――古書店を始めたきっかけは何ですか

 「大学時代からずっと会社勤めとかはしたくなかった。何か自分でやるんだと考えていました。大学卒業後に会社員になりましたが、長く続けるつもりはなかった」

 「その時、『ku:nel』という雑誌に、ある女性が200冊くらいで古書店を始めたと、記事に載っていた」

 「その女性は本を売るだけでは足りないから、郵便局でアルバイトしていた。慎ましく生活している。『すごいな、こういう人生もあるんや』と思いました」
 
 「まもなく、会社に辞表を出しました。本で人生が変わったことは確かなんですよ」

 「本を読むべきだとか、読むとよいことがあるとか、あまり教訓的なことは言いたくないです。読まなくたって生きていける。でも、読むと楽しいですよ」

コーヒー好きな一色文庫の店主。1日に14杯くらい飲む。開店前にYouTube で音楽を聴きながら、まず一杯。たまにお客さんに振る舞う

コーヒー好きな一色文庫の店主。1日に14杯くらい飲む。開店前にYouTube で音楽を聴きながら、まず一杯。たまにお客さんに振る舞う


 withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。

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行政なども、複数の相談窓口を設けています

・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト
・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト

学校で高評価だったのに…なぜ社会で通用しない? 解説漫画に大反響
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出典:ベニガシラさん提供
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