話題
衆院選、なに検索した? ズドン型の希望、じわじわ立憲 データ分析
衆院選から1カ月。ソーシャルメディアで存在感を見せた立憲民主党ですが、ネットで検索されたデータを調べたところ、希望の党と「主役交代」する形で、関心を集めていたことがわかりました。実際の選挙戦で、終始、リードしていた自民党は、投開票日が近づくにつれ検索の数が上昇。マニフェストについても、希望の党とともに他党を圧倒する検索数を集めていました。
自民党、希望の党、立憲民主党、公明党、共産党、日本維新の会、社民党、日本のこころ、幸福実現など、新党大地について、検索大手のヤフージャパンのデータを分析しました。
当初、検索回数で圧倒的に多かったのは希望の党でした。
9月25日に小池百合子知事が会見で「希望の党」の立ち上げを発表すると同時に検索数が急増。192人の第1次公認を発表した公示1週間前の10月3日、最初のピークが訪れます。
検索が増えた背景には、自民党に対抗する存在として注目され、小池氏自身が知事から衆院選に出馬をするのか関心を集めていたこと。加えて、小池氏が安全保障法制に反対する民進党議員を「排除する」と明言するなど、選挙報道の中心に居続けたことが、背景にあると見られます。
立憲民主党が結成を発表したのは10月2日でした。
検索量は、結成発表と同時に急増。10月4日には、それまで話題の中心にいた希望の党を抜き去ります。
希望の党と立憲民主党で起きた10月4日の「主役交代」後、両者は10月10日の公示日で再び競り合いますが、選挙戦が進むにつれ、立憲民主党が引き離していきます。
選挙期間中のグラフの形状から、両者の特徴が見て取れます。
希望の党は、小池氏の発言などで瞬間的に関心を集めましたが、その後、急速に落ち込みます。結果、グラフは10月3日の検索量が「針のように」ズドンと突き抜けた形になっています。
立憲民主党は、誕生とともに急増しますが、上下の変化があまりないのが特徴です。ネット上の関心が「じわじわ」と高まっていった様子がうかがえます。
両党とも投開票日で二つめの山をを迎えますが、ここでも違いが出ます。
立憲民主党は、投開票日である10月22日に最も多く検索されたのに対し、希望の党は投開票日より翌日の10月23日の方が多く検索されました。
自民党は、投開票日が近づくにつれて検索量が増えました。
希望の党や立憲民主党などが注目された一方、報道各社の世論調査では、終始、リードを保っていた自民党。検索データからも、自民党が勝利した後の行方など、投票先として考えた場合の関心の高さが見えてきます。
例えば、「マニフェスト」という単語と一緒に調べられた政党名を比べたところ、トップは自民党、小差で希望の党が関心を集めていました。一見、マニフェストも関心を集めたように見える希望の党ですが、政党名だけの検索量は、選挙戦が進むにつれて急減していきました。終盤はピーク時の5分の1以下に。投開票日が近づく中、政権与党としてどんなかじ取りをするか、人々が調べたくなったのは、自民党だったようです。
また、立憲民主党について「マニフェスト」という単語と一緒に調べた数で見ると、自民党と希望の党の5分の1程度でした。ツイッターのフォロワーが、自民党を抜き短期間で10万を超えるなど、ネット上で存在感を発揮した立憲民主党でしたが、政策の中身で、浸透をはかるまでにはいかなったようです。
各党ごとに、選挙期間中の検索の動きを見ると、解散の発表や公示日、投開票日以外で「関心の山」を作れたのは、希望の党と立憲民主党だけでした。
期間中に最も検索された日とその後の急落の幅をみると、立憲民主党は約2倍でした。一方、希望の党は10分の1までに落ち込んでいます。
結果的に立憲民主党が話題を集める形になった今回の衆院選。一度、盛り上がったムーブメントを、どこまで継続的に維持できるかが、重要になってきそうです。
1/6枚