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PTA「理想的な運営」の落とし穴「恐怖のペナルティー」から逃げろ!

PTAで「理想的な運営」ができたのには理由があった
PTAで「理想的な運営」ができたのには理由があった 出典: https://pixta.jp/

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PTA役員をやったら、会議が週1でひどい目に……。そんな記事を書いたところ、「それまでの活動を整理して、負担を減らすことに成功したところもある」という感想を頂きました。そんなPTAが存在するの?と思ったら、ママ友の学校が、かなり効率的に活動していました。LINEを駆使した省力運営。理想的に見えた活動でしたが「ペナルティーの恐怖」という落とし穴がありました。

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会議は年5回だけ!話し合いはLINEで

新興住宅地に住むママ友(30代共働き)のお子さんが通うのは出来て10年ほどの新しい学校で、PTAもかなり合理化されていたと言います。

「私は学校行事の手伝いと、お祭りを運営する『祭り委員』で、副委員長をやりました。委員長に立候補した人がとてもキビキビしていたので、やりやすそうだなと思って」。役員はほぼ立候補で決まるそうです。

まず、会議は年5回だけ!その代わり、連絡は全てLINEで取り合い、細かな進行具合も全て報告したそうです。

「PTAだけで12のLINEグループに入っていました 。委員長グループから、お祭りのチョコバナナ担当者のグループまであって、本当に細かかった。とにかく学校に行く手間をかけたくない!という考えが徹底していたPTAでした」

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ホームページで情報共有

といっても、会話を全部追うのはさすがに大変すぎて不可能だったとか。それでも特に支障はなく、「できる人ができる時間に」が徹底されていたそうです。

LINEで決まった内容は、PTAホームページの掲示板にアップ。各係の予定やお手紙なども共有され、ストレスは少なかったとか。

「毎年、ちゃんとITに強い人がメンバーに入っていて、きちんと引き継がれていきます。広報誌も、編集経験のある保護者がしっかりまとめてました。逆に、PCが使えない人は、そういう係には入りにくいです」

個人のIT能力の差は仕方のないこととはいえ、よくPTAで問題になります。こちらの学校のように、PCを使えない人と使える人の仕事が棲み分けされていれば、お互いにもめることも少なそうです。

バナナ700本の調理

「私は副委員長だったので、運動会とか行事のたびに集めるボランティアをまとめたり、お祭りの食材を手配して、その後の指示を出すのが仕事でした」

一番の大仕事はPTA主催のお祭り。模擬店で出すチョコバナナ用のバナナ700本を特設テントの下に積み上げ、朝から延々と皮をむくのだとか。

「むいたバナナを6つに切る」「上にかけるチョコクリームは3往復」など、細かいやり方を守って作ります。彼女に見せてもらったマニュアルには、生々しいチョコレートのシミが…苦労の跡が忍ばれました。

「これPTAでやらなきゃいけないことなの?と思うこともあったし、大変だったけど、まあやりやすかったです。とにかく集まる方式の学校だったらできなかったし」

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「もう理想的じゃない?」と思ったら……

学校が違えば、全く違うんだな…と実感しました。できる人ができるときに、ITを使って効率的に子どものための仕事をこなす。しかも、誰かが苦労して改革したわけでもなく、はじめから環境が整ってる。

「もう理想的じゃない?」と彼女に振ると、意外な答えが返ってきました。

「とにかく早く済ませたかった。だって役員をやらないと、6年生の時、『卒業委員やってね』って言われちゃうんですよ?それは絶対ムリ!」

卒業委員とは、卒業記念品を決めて手配したり、卒業式の後の謝恩会を運営する係のこと。私の小学校ではPTAとは切り離されていますが、こちらではPTAの中で最も大変な係として認識されているそうです。

「子どもの謝恩会の時くらい、ビデオ回してゆっくりしたい。そこでせっせと働かなきゃいけないなんて、絶対にイヤ!だからさっさと普通の役員やっちゃった方が、絶対マシ!」

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「恐怖のペナルティー」

あーこれ、うちの学校でも聞くパターンだ…と思いました。

前回、会議が週1という非効率な組織の見本のようだった我がPTAの校外委員会ですが、実はほとんどが立候補で決まります。

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住んでいる地区ごとに定員が決まっているのですが、希望者が多くてジャンケンで取り合うこともしばしば。

私がくじ引きで当たったのは、私の住む地区からの立候補がたまたまいなかった (他地区は定員オーバーでジャンケン) という本当に稀なケースで、実は大人気なのです。例え会議が週1でも!

なぜかって?それは…

とにかく、何か役員をやっておかないと、とんでもないことが起こる。つまり、PTA会長を決めるくじ引きにエントリーされてしまうからです。

くじ引きは「平等」に

うちの小学校の学区は、平成になってから整備された新興住宅地。PTA会長から選挙へ打って出る!みたいな人もおらず、会長は男性に…というような慣習もなく、全世帯が「平等」にくじ引きの俎上に上がります。

任期は1年。仕事も、介護も、病気も、家族の状況も、全部無視。くじ引きのご案内の手紙には、ご丁寧に「個人の事情を全て汲むのは不可能。だから全員に可能性があります」という一文まで…。あくまで「平等」であるという姿勢を貫き通します。

下っ端ならともかく、500世帯を超える保護者を代表するPTA会長ですよ?

くじ引きでは15人ほどが当たり、そこからは会長&副会長3人程度が決まるまで、15人が延々と話し合いを行います。

今年クラス役員に立候補する!と意気込んでいた近所のママ友は「15人に入っちゃうと、病気とか、子供の大変なこととか、『できない理由』としてプライベートなことをみんなの前で発表しなくちゃいけなくなる。それだけはイヤ!」と叫んでいました。

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「やらないと、もっとひどいことが」

「子供のため」のPTAですが、親を突き動かすのは、効率化云々よりも、結局「やらないと、もっとひどいことが待っている」という恐怖感でした。

記事で紹介したママ友のPTAは、理想的に上手く回っているように思えました。LINEの活用など、効率化できることはたくさんあることも教えてもらいました。

私の記事に対して寄せられた感想のように、負担減を実現させて、よりよい活動をめざしているPTAがあることは事実です。

でも、そこに「やらない人へのペナルティー」があったとしたら?

これではいくら効率化を進めても、PTAが親にとって恐怖の存在であることは変わりません。まだ、モヤモヤは晴れないのです。

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