野坂昭如が慕った「エロの師匠」 闇市・吉原が育てた「裏文壇」

売春防止法違反「第1号」。選挙事務所は地元のゲイバー。野坂昭如さんが慕った風俗ライター、故・吉村平吉さんの、破天荒な人生とは?

四畳半襖の下張り事件の最終弁論に出廷する作家の野坂昭如さん=1976年1月22日

 1963年に「エロ事師」で文壇デビューした作家・野坂昭如さんには、色にまつわる世の営みを教えてくれた人がいた。東京・吉原の旧赤線地帯で暮らしていた風俗ライター、故・吉村平吉さん。エロ事師の草分けとして、野坂さんからも高く評価された人だった。「火垂るの墓」や「戦争童話集」で知られる野坂さんだが、作家の原点には、インモラルでいかがわしい世界があった。

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