SNSで「よくわかってる」と話題になった、海外の“ぽっちゃり”体形のデザインの男性用マネキン。国内でも、あるメーカーが製造・販売しています。どのような意図で開発されたのか、取材しました。(朝日新聞withHealth)
X(旧Twitter)で「このマネキンを作ったメーカーよくわかってるな」と投稿された、“ぽっちゃり”体形のデザインの男性用マネキンの写真。これにネットでは「こんなマネキンあるんだ」「このマネキン置いてる服屋は信用できる」といった称賛の声が上がりました。
その投稿のマネキンは海外のものとみられますが、国内でもこうしたマネキンを開発した企業があります。
その企業とは、マネキンおよび各種ボディの製造・販売を営む株式会社七彩(ななさい)。“ぽっちゃり”体形のデザインの男性用マネキン「パム」を開発、2023年10月に発表しました。女性用の同様のマネキンはすでに国内にありましたが、男性用については、同社としては「日本初ではないか」ということです。
開発のきっかけは「取引先の要望」でした。全体的に丸みを帯びたデザインが採用され、服のサイズはXXLが合う、30〜40代の男性を想定。マネキン自体のサイズは身長181センチ、胸囲105センチ、ウエスト105センチ、ヒップ112センチとなっています。
「従来は大きなサイズの洋服をディプレイする時に、着せ付けるマネキンは身長が190cm以上ある外国人体型のマネキンか、海外製のマネキンを活用していたことを受けて、もっとターゲット層に寄り添ったディスプレイで販売促進を狙うため、日本人体型を意識したマネキンとなっています」
参考販売価格は税抜21万1200円、参考レンタル価格は月1万7000円です。同社によれば、国内の店舗に納品されており、東日本を中心としたショッピングセンターチェーンにリピート受注されているそうです。発表後に雑誌のイベントで使用されたり、多様性のある商品開発の中で問い合わせや要望があったりしたということでした。
また、アジアの他の国からも注目され、担当者は「台湾の百貨店よりセレクトコーナーにとご来社いただき受注につながりました」「台湾でも多様性を意識した動きが加速しているようです」と話します。
ネットで「“ぽっちゃり”体形のデザインの男性用マネキン」が話題になっていることについては、次のようにコメントしました。
「モデル体型のマネキンが一般的で、ある意味で普通として認知されていましたが、『多様性』が求められる時代となり、ぽっちゃり体形のマネキンに対する違和感も薄れ、SNSのコメントにあるような共感を生み、愛くるしいキャラクターとしての好感度もあり話題を生んでいるのでは、と感じています」