IT・科学
ニューズピックス黒字化「来年初頭に」 会員増、広告好調の理由は
2014年9月に編集部が本格的に動き出してから1年。ニューズピックスが業績を伸ばしている。多くのメディアがマネタイズに苦戦する中、好調の理由は何か。
IT・科学
2014年9月に編集部が本格的に動き出してから1年。ニューズピックスが業績を伸ばしている。多くのメディアがマネタイズに苦戦する中、好調の理由は何か。
順調に成長を続けているように見えるが、課題もある。
ニュースキュレーションアプリとしてのNPは、ユーザーが自分の気になるニュースを紹介(ピック)し、自由にコメントする機能が人気だった。特に社内のアナリストが自らユーザーとなって経済ニュースに専門的なコメントをしたり、著名人や企業経営者らがそれぞれの見方を書き込んだりすることで「コメントのレベルが高い」「実名でのコメントが多く、信頼できる」などと話題を呼んだ。
しかし、ユーザー数が増えるに従って「コメントの全体的なレベルが下がった」「匿名での個人攻撃が増えた」などと批判も出るようになった。ユーザーによるアンケートでも、コメントへの否定的な意見が目立った。
梅田氏も「自由にコメントしあうだけでは、うまくいかなくなった」と認める。
これまでにも実名でのコメントを重視するようにアルゴリズムを変更したり、専門家と契約してコメントしてもらう「プロピッカ-制度」など、対策をとってきた。今後はこのプロピッカ-を大幅に増やし、より専門的なコメントを優先的に読めるように改良していく計画だという。
サービス当初の「自由な世界」とは逆の発想だが、佐々木氏は「自分は書き込みをせず、コメントを読むだけのユーザーが増えている。そういう人たちにとって快適なのは、書き込みやすい空間ではなく、良いコメントが並ぶ空間」と話す。
梅田氏は「3年後は300万ユーザー、有料会員30万人」と目標を掲げる。ユーザーの10%に有料会員になってもらう計算だが、現状は65万人ユーザーで有料会員は数千人と1%程度にとどまる。経済メディアで日本最大の日本経済新聞は1500人の記者・編集者を抱え、デジタル版有料会員は4月時点で40万人超。圧倒的な規模だ。
好調な広告事業も「マスメディアにも広告を出している企業が、モバイル広告を出稿しようとするときに、まだまだ選択肢が少ない」(杉浦氏)という現状がある。今後、他メディアもモバイル広告にさらに力を入れ、競争は激化していく。
そのときに「経済メディア」としてユーザー層が限られる新興のNPがどこまで成長し、どれだけの広告効果を発揮できているか。「マスメディアや他のキュレーションアプリに比べると、ユーザー層が狭い。成長に限度があるのでは」と見る業界関係者は少なくない。
さらなる成長の起爆剤とするため開発中なのが、NPの親会社であるユーザベースが提供している企業・業界データベース「スピーダ」と連携した新サービスだ。梅田氏らが2008年に設立したユーザベースはすでに中国、シンガポールに進出し、来年はニューヨークオフィスを設立するなど海外展開を進めている。
梅田氏は「これまでで一番自信のあるサービス。年内にも発表したい」と自信を見せる。目指すのは、2020年までに世界の主要な経済情報プラットフォームの一角に入ること。
「ブルームバーグ、トムソン・ロイター、ダウ・ジョーンズ、日経・FT連合、マグロウヒル、ファクトセット。東京五輪までに、この6グループの一角に食い込む。社内では、これを目標として明確に掲げています」
梅田・代表取締役へのインタビュー詳報はこちら。
佐々木編集長へのインタビュー詳報はこちら。
急成長メディアの技術 ニューズピックス杉浦氏「PDCAをまわす」(5日公開予定)
修正:ユーザー数増加のペースを3~4千人から3千人に修正しました。複数の誤字を修正しました。