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新学期の子どもは「悩みてんこもり」…視野が狭くなった時の解決法は

「困っているあなた」と「寄りそってもらいたいと思っている誰か」のため

田村節子さんが監修し、漫画をしろやぎ秋吾さんが担当した「10代のつらさに寄りそう本」(Gakken)
田村節子さんが監修し、漫画をしろやぎ秋吾さんが担当した「10代のつらさに寄りそう本」(Gakken)

目次

「新しいクラスに仲の良い友だちがいるかな」「勉強についていけるかな」――。新学期を迎える前の子どもたちは、不安でいっぱいです。その不安を一人で抱え続けると、「ぐるぐる思考」に陥り、悩みを深めてしまうと専門家は指摘します。不安な子どもたちに、どんなサポートが有効なのでしょうか。

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信頼する相手に話を

不登校の子どもたちなどのカウンセリングをしている心理学博士の田村節子さんは、「特に、年度が替わる4月は「悩みがてんこもり」だといいます。

一番多いのは、「新しいクラスに仲の良い友だちがいるか心配」「新しいクラスにいやな子がいる」といった友だち関係です。

他にも、勉強についていけるか、部活はうまくやれるか、相談内容は尽きることがないといいます。

相談を受ける中で、「こんな思いをしているのは自分だけ」と思ってしまう子どもたちの姿を見てきました。

「つらい思いをしたとき、『自分だけ』と思ってしまうことは当然のことです。ただ、そう思ってしまうと、自分ひとりでぐるぐると考え続け、視野が狭くなってしまいます」

その状態を「ぐるぐる思考」といい、この状態が続いていき視野が狭くなってしまうと
心理学の用語では心理的視野狭窄と呼ぶそう。
ぐるぐる思考の結果として、自分自身を傷つけたりしてしまうこともあるそうです。

そんな「ぐるぐる思考」を手放せる方法の一つに、「話す」という行為があると田村さんは指摘します。

「信頼する相手に話をすることで、視野が『わっ』と広がります」

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「まずは知る」の重要性

悩みを抱える子どもたちにとって必要なもう一つの要素が、自分が抱えている悩みに関する情報や対処の仕方を「きちんと知ること」。

たとえば、いじめに関する悩みであれば、全国でどれだけのいじめが認知されているのか、いじめの加害者になったことや被害者になったことがある人はどれだけいるのか。相談先はどこにあるのか。そして、いじめを目撃したとき、自分にできることにはなにがあるのか――。
実は多くの情報がデータとしてもみることができ、自分自身の状況を俯瞰してみることができます。

田村さんは「悩みを抱える人にとって、『まずは知る』ということがものすごく大事」と強調します。「具体的な数字を知り、俯瞰的に『自分の悩み』をみることができると、気持ちが楽になる部分もある」といい、逆に知識がないときには「ふりまわされてしまうこともあります」。

「困っているあなた」と「寄り添ってもらいたい誰か」のため

田村さんは今年刊行された、「10代のつらさに寄りそう本」(https://hon.gakken.jp/book/1450145600)の監修を手がけています。「図書館向け書籍」として刊行されており、学校や公共図書館などでの活用が見込まれている本です。

「いじめ」「ひとり親家庭」「LGBTQ」「障害」――。この本は、一つのテーマに対して、マンガ化されたエピソードと解説がセットになって構成されています。

マンガはイラストレーターのしろやぎ秋吾さんが担当。10代の子どもたちの8つのエピソードに続き、その悩みの背景にある社会的な問題や、公的な調査で明らかになっているデータなどを田村さんが解説しています。さらに、悩みを抱える本人や、それを知った周りの人ができることもあわせて紹介し、相談先も掲載しています。

田村さんは、本の冒頭、「この本は『困っているあなたに寄りそうために』、そして『あなたに寄りそってもらいたいと思っている誰かのために』あります」とつづっています。

田村さんは「発達段階によっては、マンガで感情移入するだけで終わる子どももいると思います。ただ、マンガを読んだあとに問題意識が出た人は、その後の解説で現状をきちんと知ることができます」と話します。

「最近、子どもたちの気持ちに『大変だね』と共感するだけの本も見受けられ、事実や現状を伝える本が少なくなっていると思います。子ども扱いせず、事実や現状をきちんと伝える姿勢が大切だと感じます」といいます。
 
「10代のつらさに寄りそう本」(Gakken)の巻頭に綴られている田村さんの言葉
「10代のつらさに寄りそう本」(Gakken)の巻頭に綴られている田村さんの言葉

10代のための相談窓口あります

【10代のための相談窓口】
チャイルドライン
18歳以下の相談窓口。電話やチャットで相談できます。サイト内では、誰にも見られないように「つぶやく」こともできます。
Mex(ミークス)
10代のための相談窓口まとめサイト。なやみに関する記事や動画も見れます。
TEENS POST(ティーンズポスト)
 手紙やメールで相談できます。対象は13〜19歳。

【メッセージ】
国立成育医療研究センター
自分を傷つけているあなたへのメッセージ
 

withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を続けています。
 


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