早産となる危険性が高い、早産の一歩手前の状態を、医学用語で「切迫早産」と言います。
厚生労働省の資料(※)によると、妊婦の約14%(約7人に1人)に切迫早産が発生するということです。この言葉自体は、身の回りで聞いたことがある人もいるかもしれません。私自身もそうです。
しかし、実際に家族が当事者になると、この言葉からディテールまでは想像がつかないような、困難な状況がありました。
※「第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」2019年3月15日
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000488885.pdf
そもそも、なぜ早産は望ましくないのでしょうか。
日本産科婦人科学会は、公式サイトの「早産・切迫早産」のページ(※)で<日本の新生児医療は世界でもトップレベルにあり、早産児の多くが生存して退院できるようになっています>とした上で、<中にはハンディキャップが残り、退院後も医療的ケアが必要な赤ちゃんがいることも事実です>としています。
同会によれば、日本における早産の割合は5.7%で、世界でもっとも少ない部類に入ります。一方、<諸外国における早産の割合は5~18%で、世界中で毎年100万人の早産児が亡くなっています>と説明します。
早産の要因は、大きく分けて「これまでの病気(既往)」と「現在の病気などの要因」の2つ。
過去の病気には、過去の早産や後期の流産、子宮の手術、自己免疫疾患、糖尿病、子宮内膜症・子宮腺筋症、元々のやせた体格があるそうです。また、現在の要因には、双子や三つ子の妊娠、子宮の出口(子宮頸管)が短いこと、腟や子宮頸管・尿路などの感染症、妊娠中の体重増加が少ないことがあるといいます。
また、同会は<仕事も続けていただいて構いませんが、重労働や長時間労働、ストレスのかかる仕事は、早産のリスクを高めることがわかっています>と説明します。
こうした自分の状況を正確に理解し、妊娠する前から体調を整えておくこと(プレコンセプションケア)で<早産のリスクを減らせる可能性があります>。
切迫早産の治療では、そのままにすると出産が進行することもある「お腹の張り」を抑える目的で<子宮収縮抑制薬を使用することがあります>。
「子宮の収縮の間隔が短く多い」「子宮の出口が2cm以上開く」など、早産の危険性が高い場合は、入院した上で、子宮収縮抑制薬の点滴治療が行われます。
※早産・切迫早産 - 公益財団法人 日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/citizen/5708/