ネットの話題
ペーパーで拭いたら傷が…トイレの便座の掃除方法、メーカーの見解は
トイレの温水洗浄便座をトイレットペーパーで拭いたら、傷がついてしまった――。
SNSでこんな投稿が話題になりました。この掃除方法、ついやってしまいそうですが、推奨されないやり方だそうです。メーカーに話を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
温水洗浄便座のフタや便座部分をトイレットペーパーで拭いたら、傷がついてしまったという投稿がSNSで話題になりました。
SNS上では「知らずにやってしまっていた」といった反応のほか、「気にせずゴシゴシやってしまう」「遅かれ早かれ傷はつくので諦めている」といった声もありました。
温水洗浄便座の掃除方法について、メーカーに聞いてみました。
温水洗浄便座の国内シェア1位のTOTO株式会社の担当者は「乾いた布や紙などで便座を拭く方法は推奨しておりません」と話します。
記者が調べたところ、メーカーや製品にもよるものの、一般的に、現在、便座やフタの部分に使われている素材は、ポリプロピレン樹脂が多いようです。
「ポリプロピレン樹脂は薬品や腐食などに強い反面、表面が柔らかく、細かな傷がつきやすい性質があります。そのため、濡らした柔らかい布などでそっと汚れを拭き取る方法がおすすめです。汚れが落ちづらい場合は中性洗剤を使って下さい」
SNS上では「昔の便座は割れやすかったけど傷には強かった」といった声もありました。
昔と今の便座に、何か違いがあるのでしょうか。
TOTOの担当者は「確かに、便座の素材は変更されています。素材によって一長一短があるのですが、加工のしやすさや薬品への耐性、経年劣化のしにくさなどを総合的に判断した結果、現在の仕様になっています」と話します。
実際に、素材の性質が原因で便座が割れるような事例は過去にあったのでしょうか。
記者が調べたところ、1997年の朝日新聞福井県版では「温水洗浄便座が割れるトラブルが増えている」として、注意を呼びかける記事が掲載されていました。
この記事では、「便座の約9割はABS樹脂製である」としたうえで、「ABS樹脂は傷がつきにくく衝撃にも強い反面、トイレ用洗剤の中に含まれる成分が付着すると劣化が進み、便座が割れやすくなる」と説明されていました。
一般社団法人・日本レストルーム工業会によると、ABS樹脂に比べて、現在広く使われているポリプロピレン樹脂は、洗剤に含まれる成分をはじめ、薬品による変質に強く、掃除や消毒がしやすいという特徴があるそうです。
もしも便座に傷がついてしまった場合、見た目以外に問題はあるのでしょうか。
SNS上では「傷が付くと菌が繁殖しやすくなるのでは」と心配する声もありました。
TOTOの担当者は「表面に傷がついても、衛生・健康上の問題はありませんので、そのままご使用いただけます」と話します。
TOTOのホームページでは便器や便座の部位ごとに、具体的なお手入れの方法や、掃除に使える道具などを紹介しています。
「素材の特性にあった道具や方法でお手入れをすることで、長くご愛用いただければと思います」
1/5枚