twitter facebook hatebu line LINE! IT・科学 2024/11/16 みんなの感想 私がCOP29に行く理由 アニメ「もののけ姫」を見て受けた衝撃 SWiTCH代表理事の佐座槙苗さん。COPでは各国の企業や研究機関がブースを出していて、まるで〝環境フェス〟とも呼べるような、ポジティブなにぎわいなのだそう 斎藤 健一郎 共同編集記者 水野 梓 SDGs 地球温暖化 気候変動 目次 「COP」は難しい会議のイメージだけど… 「森と人と、争わずに生きる方法はないのか」 〝環境フェス〟のリアルな様子を伝えたい 各国の人が集まって地球温暖化対策について話し合う国連の会議、COP29(国連気候変動会議)が始まりました。今年は中東のアゼルバイジャンで開催されます。この会議に日本政府団の一員として参加するのが、環境団体の代表理事を務める佐座槙苗(まな)さん(29)。「若い世代の代表だと思っているので頑張ってきます」と語ります。COPでどんなことをしてくるのか、聞いてきました。(朝日新聞be編集部・斎藤健一郎) 【PR】指点字と手話で研究者をサポート 学術通訳の「やりがい」とは? 佐座槙苗(さざ・まな):循環型の社会づくりに取り組む環境団体、一般社団法人SWiTCH代表理事。1995年生まれ。高校卒業後、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学で学び、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン大学院へ。COP26・COP28・COP29に日本代表として参加 「COP」は難しい会議のイメージだけど… ――出発前、お忙しそうですね? いろいろ調整とか国内でのイベントがあって、毎日帰宅は終電、みたいな感じですが寝られていますから元気です。 最初にCOPに参加した2021年は何もわからなかったので、右往左往していましたが、今回は3度目。開催国は毎年変わりますが、だいたい様子はつかめてきたので、楽しみですね。 ――COPって各国の政治家や政府代表らが集まって難題噴出の地球環境や温暖化対策について詰めて話し合っているイメージです。 そう思いますよね。ニュースを見ていると、みんながむずかしい顔で会議をしているイメージです。私も最初はそう思っていましたが、実際に行ってみると意外と雰囲気が違うことに驚きました。 約200の国・地域の代表が一堂に会して、温室効果ガスを出す化石燃料をどうやって減らしていくかとか、途上国支援の資金目標を決めるとか、厳しい議論や交渉をしているのは確かですが、実はそれはCOPのごく一部です。 例えると、環境の国際フェスみたいな感じでしょうか。本来は政府間交渉の場なのですが、最近は企業関係者やNGO、研究者も参加するようになっていて、コンベンションセンターのような会場にはたくさんの人が行き交っています。 昨年ドバイであったCOP28では参加登録者が10万人を超えたそうです。会場では各国がブースを開いていて、そこで展示があったり、イベントが開かれていたりします。 ブースにはその国の企業や研究機関などが、環境問題解決に対してどのようなアプローチができるか、商品や研究成果、モデル事業を展示しています。展示しているのは、その国が世界中の人たちに見てもらいたい「最新」のものや「イチ推し」ですから、見応えがありますよ。 COP29の会場敷地内に設置されたロゴ=2024年11月10日、バクー、市野塊撮影 出典: 朝日新聞 今歩いていた人、どこかで見たことあるなあと思ったら「あっ、ビル・ゲイツだ!」ということもありました。 ほかにも北欧家具のIKEAの環境分野のトップが来ていたり、その国を代表する環境企業が集まってきていたりします。普段はなかなか会えない世界中の環境分野の重要人物、ステークホルダーが一堂に会する会場、気が抜けません。 「森と人と、争わずに生きる方法はないのか」 ――そんなCOPに関わるようになったきっかけは? さかのぼれば、小学1年生の時、福岡の友達の家で「もののけ姫」を見たことです。衝撃を受けました。 ――宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」ですか? そうです。主人公のアシタカが、森と人間が争わずに生きる道はないのか、というようなことを言うのですが、そのメッセージをダイレクトに受け止めて、それから自然と人間との共生を考えるようになりました。 徐々に国連を目指そうという気持ちが定まってきて、大学はカナダに留学。 イギリスの大学院でサステイナブル開発を学んでいたときに、140カ国の若者が気候変動について議論する「Mock COP26」の立ち上げに参加したのがCOPとのつながりの始まりですね。 2023年にドバイで開催されたCOP28にも日本政府団の一員として参加した。写真左が佐座さん=SWiTCH提供 ――そこで注目を集めて2021年にCOP26の日本ユース代表になり、日本で循環型の社会づくりに取り組む環境団体「一般社団法人SWiTCH(スイッチ)」を設立したのですね。 持続可能な社会をつくるために、若者が企業や自治体と連携し活動することをサポートする団体です。 スイッチという名前には、環境に対する考えや取り組みを思いきって切り替えて、新たなムーブメントを起こしたいという気持ちを込めています。 サステナブルな活動に力を入れている国の大使や企業とトークセッションを開いたり、自治体や企業と連携して小学校で脱炭素ワークショップを開いたり。普段は世代や業界、国境を越えて持続可能な社会を実現する活動に力を入れています。 ――地球の温暖化や環境破壊のことを考えると恐怖や怒り、無力感にさいなまれる気候不安(エコ不安)が世界中に、それも若者を中心に広まっていると言われています。 私も「大人たちの対応が遅すぎる」「なぜ大人はわかってくれないのか」と怒ったり、不安でいるときがありました。 でも、帰国してスイッチの活動を通じて、日本にも環境問題に対して、それぞれの分野で一生懸命、真剣に活動している人がいることに気がついたのです。 ネガティブなことを提示するって一瞬は盛り上がって、課題意識をあおるにはいいのですが、不安やネガティブな感情ばかりをシェアし続けると互いに不安ばかりが支配してしまって、あまり良くない。 何年も頑張ってきた人を批判することなく、それぞれの分野で頑張ってきた人を見つけて、ちょっとずつ手を携えて、さらにその輪を広げていって応援するというポジティブな活動を広げたいと思って活動しています。 〝環境フェス〟のリアルな様子を伝えたい ――COPではどんな活動をしますか? ジャパン・パビリオンでセミナーを主催するために日本政府団として参加しています。 それから、日本のいくつかの小中高校や大学と現地をオンラインで結んで、私がCOP会場リポートをしようと考えています。COPの雰囲気をひとりでも多くの若い世代の人たちと味わってもらいたいのです。 世界中から環境問題のステークホルダーがやってくる環境フェスですが、まだまだ限られた人しかその様子を見られないですから、テレビや新聞ではなかなか見られないリアルなCOPの姿を、若者たちと共有したいと思います。 英国のブースで参加者と交流する佐座さん=SWiTCH提供 日本人は海外に出ると日本人だけでつるむという傾向があると思いますけど、各国のブースも回って、いろんな国の人とコミュニケーションをとって、日本の人たちに、メッセージももらおうと考えています。 遠い国で起きていると思っている森林火災も洪水も、自分の友人や知人がそこに住んでいれば「大丈夫かな」「心配だな」と思いますよね。そんなつながりをつくっていきたいと思います。 ――アゼルバイジャンは初めてですか? 初めてです。私は食いしん坊なので、食べることが大好き。現地のものを食べるようにします。出されたら何でもおいしいと言って食べます。 ――好きな食べものは? 福岡出身なので、めんたいこです。 ――ザ・日本ですね。 海外で日本食が恋しくなったときは、日本の食べものの動画を見て、おいしそうって言って寝たりしていました。 アゼルバイジャンでは中東系の料理が多いみたいですね。ピラフとか。食べものも楽しみです。 佐座さんと斎藤記者。佐座さんにはCOP29の現地のようすをリポートしてもらいます COP会場での活動や現地の様子を、佐座さんからwithnewsでリポートしていただきます。不定期配信でお届けします。 【ほくほく】やればできる!再エネ100%のエコハウスのつくりかた 1/28枚 withnews