ネットの話題
「館長が組み立ててます」〝メダカ愛〟感じる、水族館のお土産が話題
館長さんのメダカ愛を感じる――。SNSで、ある水族館のお土産が話題になっています。
メダカの形をした紙の箱に入っているのは、卵を模したキャンディ。細部へのこだわりを感じる、話題の商品が生まれるまでの経緯を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
SNSで話題になっていたのは、愛知県蒲郡市の竹島水族館で販売されているお土産です。
メダカの姿が印刷された立体的な紙のパッケージが目を引きます。鱗(うろこ)の光沢などを再現したなかなかリアルな見た目です。
そして、紙のメダカのお尻からは、卵を模した飴(あめ)が出てきます。
さらに、この飴をよく見ると、一つ一つに受精卵や胚、稚魚の姿が描かれており、卵が孵化するまでの段階を表現していることが分かります。
商品名は「メダカの産卵#16」。
館長の小林龍二さんによると、この商品は5年ほど前に販売開始されたものだそうです。
「売り出した当初はそこまでの反響はなかったのですが、購入された方のSNS投稿がきっかけになったようで、最近になって急に売り上げが伸びています」
メダカの箱は、毎日小林さんが組み立てているそうです。
SNSでは「こだわりがやべえぞ」「これはガチの愛やで」「印刷のクオリティも高い」「館長さんが組み立てているのが竹島水族館らしい」といった反応がありました。
商品名についた「#16」という数字は、完成までに作った試作品の数を示しており、16回目でようやく商品化にこぎつけたそうです。
箱の絵柄は小林さん自らが撮影したメダカの写真を元に、地元のメーカーに依頼して作ったそうです。撮った写真はなんと100枚以上とのこと。
「水槽で泳ぐメダカを1枚の写真で捉えるのは難しいので、頭がよく見える写真やひれがよく映っている写真など、各部位の写真を合成して1匹のメダカにしています」
同館ではこれまでも、深海生物のオオグソクムシを材料に使った「超グソクムシ煎餅」や、カピバラのお尻からお菓子を取り出せる「カピバラの落とし物」などの特色あるお土産を販売してきました。
「館内の生き物のなかでメダカを選んだのは、完全に私の趣味です。メダカのフォルムや体の光沢、体の各部位のバランスなどにもこだわりました」
ちなみに、卵の成長段階に応じた飴は4種類あり、それぞれソーダ、コーラ、オレンジ、ヨーグルト味になっているそうです。
竹島水族館は深海生物の展示で有名です。10月には新館がオープンし、深海生物用の新しい水槽も完成したそうです。
小林さんは「冬は深海生物のシーズンなので、ご期待ください」と言いますが、なぜ冬なのでしょうか。
「水族館が入手する深海魚の多くは、漁船などで捕獲されたものです。水面近くの海水温が高い季節だと、網に深海魚がかかっても、引き上げられた際の水温の変化で死んでしまう。冬は海面近くと深海の水温差が小くなるため、元気な状態で水族館に運び込むことができるのです」
竹島水族館は職員によるユニークな手書きの展示解説でも知られています。
「お土産をきっかけに興味を持ってくれた方がたくさんいたようで、ありがたいです。小さな水族館ではありますが、ぜひ生き物たちの魅力に触れてもらえたらと思います」
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