ネットの話題
本の「のど」「耳」ってどこ? 書籍にまつわる豆知識のしおりが話題
じつは本には「のど」も「耳」もあります――。本の部位の名称を紹介するしおりがネットで話題になりました。「本の豆知識」を集めたしおりを制作し、本を出版している岩波書店に取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・高室杏子)
Xで話題になったのは、岩波書店の「しおり」です。本にまつわる豆知識が紹介されています。
岩波書店営業部の辻内千織さんは「まさかこんなに反響があるなんて、と驚いています」とはにかみました。
辻内さんによると、しおりは岩波書店の社員の多くが知っている本「カラー版 本ができるまで」(2003年出版)を元につくられたそうです。「本づくりの仕事の全体像を知るのにぴったり」な一冊だと言います。
この本では、世界で初めて印刷技術を開発したドイツのグーテンベルクや、読みやすくするための活字のこだわり方などを紹介し、解説しています。
ハードカバーの本の裏表紙に接するページとの境を「のど」、背表紙と表紙の境を「耳」と呼ぶことも紹介されています。
岩波書店では、もともと2017年に「本の豆知識」のしおりを作り、本に挟んで出荷していましたが、そのときのデザインは岩波新書を思わせるオレンジ色で20種類。
2023年2月からは岩波文庫の青帯に似た落ち着いた青色を基調にデザインを改め、種類も24種類に増やしたそうです。
このしおりは、2023年2月以降に出版されたり、重版されたりした岩波書店の文庫、新書、現代文庫に挟んで出荷しているとのことです。
しおりは書籍に挟んだ状態で出荷しています。「本の豆知識」のしおりは24種類ありますが、本に挟むのはランダムで、じつは買った本に挟まっているのは「偶然の1枚」だそう。
また、本屋の店頭に並ぶまでに、もしくはお客さんが本を手にするまでにしおりが落ちてしまうこともあります。
そんな理由で「全種類集めるのはとても大変だと思います」と辻内さんは話します。
本を読む人にとっては、読んでいるページを忘れないためのしおりですが、「本の豆知識」のしおりはどんな目的のもと、本に挟まっているのでしょうか。
辻内さんは「宣伝のためにしおりを使うこともありますが、一番は本を読んでいるときに目に入って一息ついたり、気を抜いたりしてもらえる瞬間をつくりたい。読んでいる本の邪魔にならない程度の内容の、本についての知識なら喜んでもらえるのではと思って挟んでいます」と話します。
ネット上で反響があったことにも「紙の本を好きでいてくれる方がいて、しおりを通して書店のこだわりを受け取ってくださる方がいると思うと温かい気持ちになり、うれしいです」と話しています。
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