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駅弁「峠の釜めし」に〝ファン待望の新商品〟 開発に2年の力作とは

駅弁の定番、「峠の釜めし」。陶器製の釜に入っているのが特徴です。
駅弁の定番、「峠の釜めし」。陶器製の釜に入っているのが特徴です。 出典: 株式会社荻野屋提供

目次

これはめっちゃほしい――。発売後、SNSなどで大きな反響を呼んでいる商品があります。「峠の釜めし」で有名な荻野屋が、容器の「釜」専用の「フタ」を単体で売り出したのです。担当者に話を聞いてみると、長年愛されてきた「釜めし」にまつわる商品ならではの誕生秘話がありました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)

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新商品はまさかの「フタ」

駅弁で知られる「峠の釜めし」を販売する荻野屋(群馬県安中市)がXに投稿したのは、5月末のこと。

投稿は49万回も表示され、ユーザーから多くの返信が寄せられていました。

「食べた後も楽しめるなんて最高じゃないですか!」「こんな素敵なお弁当箱、見たことない」

荻野屋の担当者によると、購入した人からの反応も上々のようです。

「空き容器の活用方法が広がったとお声をいただいております。フタができたことでインテリアとしても使っているという方もいらっしゃいました」

66年のロングセラー

峠の釜めしが発売されたのは1958年。今から66年前のことです。

発売以来、駅弁の定番の一つとなり、これまでに1億7千万個以上を売り上げたそうです。

最大の特徴の一つが、ご飯を収めている容器が栃木県の「益子焼」でできていること。手に持つと感じるしっかりとした重みは、他の駅弁にはない要素です。

発売当初から陶器を使っているという釜めしですが、この容器がヒットの要因の一つになりました。

1974年の峠の釜めし。包みのデザインなど、時代に応じて少しずつ変わっているそうです
1974年の峠の釜めし。包みのデザインなど、時代に応じて少しずつ変わっているそうです 出典: 株式会社荻野屋提供

釜めしを作る時には、衛生管理のために容器も高温で加熱消毒されます。

陶器製の容器は保温性が高いため時間が経っても冷めづらく、お客さんに中身が温かい状態で届けることが可能だったそうです。

「当時の駅弁は冷たいのが当たり前。味付けも『冷めても美味しい』ことが重要視されていました。そんな中、冷めにくく温かいまま提供できた峠の釜めしは空前のヒット商品となりました」

食べ終わった後にも需要あり

荻野屋のサイトには、釜めしを食べ終わった後の「空き釜の利用方法」というページがあります。本物の陶器を使っていることを生かして、実際にご飯を炊くなどの活用方法が掲載されています。

「他にも、小物入れとして使うなど、釜めしを食べ終えた後の容器を色々なことに活用している方が多いというのは存じておりました」

そんな中、「しっかりと閉められ、容器ごと重ねられるフタがほしい」という要望が寄せられたことが商品開発のきっかけだったそうです。

フタをはめた釜めしの容器。寸法がぴったりなのはもちろん、竹の質感がよく似合っています
フタをはめた釜めしの容器。寸法がぴったりなのはもちろん、竹の質感がよく似合っています 出典: 株式会社荻野屋提供

担当者は「実は、フタの商品化には2年ほどかかっています」と明かします。

密閉できるパッキンがついているほか、フタ上部のくぼみは、別の釜をそのまま重ねられるようにという工夫だそうです。

このフタは、荻野屋のオンラインストアのほか、高速道路のサービスエリアの一部などでも販売されているとのこと。

「喜んでいただけたようで嬉しく思っています。容器やフタともども、これからも峠の釜めしをご愛顧いただけたらありがたいです」と話しています。

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