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政治資金規制法改正、自民案の受け止めは…世論調査の質問作成に苦心

「総合評価」が最も知りたいけれど

政治資金規正法改正案を自民党単独で提出したことなどに関して記者の質問に答える岸田文雄首相=2024年5月17日午後6時20分、首相官邸、岩下毅撮影
政治資金規正法改正案を自民党単独で提出したことなどに関して記者の質問に答える岸田文雄首相=2024年5月17日午後6時20分、首相官邸、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

目次

政治とカネの問題を引き起こした自民党の法案に対する世論の評価は――。朝日新聞社が毎月実施している全国世論調査ですが、5月の18,19日に実施した調査では、直前まで質問文を確定させることができませんでした。各党の動きとともに、経緯を振り返ります。(朝日新聞記者・渡辺康人)

政治資金規制法 「条件付け」の多い自民党の改正案

5月の定例世論調査(18~19日、電話)の設問と原稿作りの担当をしたのですが、調査日の直前まで質問文を確定させることができず、いつになく冷や汗をかきました。

自民党派閥の裏金問題をきっかけに国会で議論が始まった「政治資金規正法」の改正が注目点でしたが、法案の要点を電話で伝えるのがただでさえ難しいうえ、自民党案などがぎりぎりまで決まらなかったためです。

自民党が独自の政治資金規正法改正案を単独で国会に提出したのが、調査前日の5月17日、金曜夜のことでした。野党案についてはその翌週となりました。

土日の調査に向け、質問文は作業日程などから木曜日にほぼ決めておくことが多いのですが、今回は違いました。

やはり最も知りたいのは、政権の中枢にあり、今回の政治とカネの問題を引き起こした張本人である自民党の作成した法案に対する世論の評価です。

国会の審議日程を考えると、調査前には法案提出または内容が示されそうだったので、前週から全ての全国紙やテレビなどの報道、各党のホームページに目を通しながら、世論に問うポイント探しと質問文の表現を練っていました。

自民党は、最初はあまり熱心でなかった「政治資金収支報告書不記載への連座制」「政策活動費の使途公開」について、公明党との協議を経て法案に盛り込む姿勢を見せ始めました。

出典:「改革の本丸」への着手、避けたい自民 政治資金規正法の審議始まる
自民党の再修正案の主な内容
自民党の再修正案の主な内容 出典:「10年後に領収書公開」説明責任果たされない 自民再修正案に識者

それだけを聞くと、「不記載があれば議員が連帯責任で罰を受ける」「政党から幹部議員らに渡される政策活動費の使い道を公開する」とイメージされそうですが、中身が判明するにつれ、そうでもないことがわかってきました。

自民党案では議員が連座制に問われるのは「収支報告書を十分確認しなかった場合」。政策活動費の「公開」は「大枠の項目ごと」、つまり具体的に何にいくら使われたかはわからないのです。

ほかにも「政治資金パーティー券購入者の公表を従来の20万円超から10万円超とする(他党は5万円超や廃止を主張している)」、「企業・団体献金の廃止は盛り込まない(他党は廃止を求めている)」など、自民党案の概要を表すポイントは多岐にわたるうえ、「条件付け」が多くて一般の人にはわかりにくいのです。

電話で伝えるには内容が多すぎて…

法案の中身全体に対する「総合評価」が最も聞きたいとはいえ、たとえば次のような質問文で尋ねたらどうなるでしょう。

自民党は、政治資金パーティー参加者の公表をこれまでの20万円超から10万円超に引き下げたり、政治資金収支報告書に不記載があれば議員本人も刑事罰を受ける『連座制』を導入したり、公開義務のなかった政策活動費の使い道を公開したりする政治資金改正法改正案を国会に提出しました。この法案を評価しますか。

やはり電話で伝えるには内容が多すぎるにもかかわらず、抜け道のある条件設定や他党と比べた踏み込み不足が伝わらず、法案の概要を客観的に紹介したことになりません。

中身を知る回答者ならまだいいのですが、質問文だけから連想してしまうと「連座制の導入はいいことじゃないか」などと反射的に回答する人が不当に多いように思えます。

といって、内容の紹介を一切せずに「中身の評価」を尋ねるのも乱暴なので、結局、全体評価の質問は「自民党が法案を提出した」と断ったうえで、その中身ではなく、法改正に向けた同党の「取り組み」への評価を尋ねました。

実際の質問はこうです。

派閥の裏金問題を受けて、自民党は政治資金改正法の改正案を国会に提出しました。あなたは、政治資金規正法の改正に対する自民党の取り組みを評価しますか。評価しませんか。
 

結果は「評価する」が29%で、「評価しない」62%が多数でしたが、部内からは「法案内容を示さない一方で、『改正案を提出した』という要素のみを回答者に伝えたのだから、本来と比べ『評価する』にいくぶん寄った結果になっているかもしれない」との意見が出されました。

確かに年代ごとの回答を見てみると、自民党の取り組みを「評価する」との答えは、40代以上のどの世代も20%台なのに、18~29歳と30代では4割前後と高く出ています。

若い世代の自民党支持率はむしろ低めなので、「えこひいき」ということもありません。

回答者に「法案が提出された」という基本的事実を断ったうえでないと質問が唐突で、尋ねられている問題を想起しづらいとの考えからこの質問文にしましたが、年代による「政治とカネ」問題の知識や経験の差が結果に影響を与えた可能性があるかもしれないと感じています。

政策活動費の使い道、全面公開or項目ごと?

そして、法案の中身については、別の質問で個別に尋ねました。焦点の政策活動費については次のような質問としました。

政党から議員に渡される政策活動費について、うかがいます。これまで政策活動費の使い道は公開されていませんでした。あなたは、政策活動費の使い道を全面公開する方がよいと思いますか。それとも、おおまかな項目ごとに公開する方がよいと思いますか。
 

使い道の公開方法を2択で尋ねたところ、「全面公開する方がよい」が70%を占め、自民党が改正案に盛り込んだ「項目ごとに公開」への支持は26%でした。

こちらは質問文の中で法案のポイントを短く紹介しました。そのためなのかは確かめようがないですが、年代による結果の違いは、自民党の取り組み評価ほどきれいではありません。

これからも熟慮を重ねながら、質問作りを続けていきます。

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