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#170 ○○の世論

能登半島地震、政府の対応「評価しない」の声 大きく下落した年代は

過去の震災 世論の評価は

能登半島地震で被災した石川県輪島市の輪島港を視察する岸田文雄首相=2024年2月24日午後0時53分、石川県輪島市、代表撮影
能登半島地震で被災した石川県輪島市の輪島港を視察する岸田文雄首相=2024年2月24日午後0時53分、石川県輪島市、代表撮影

目次

朝日新聞社が2月に実施した全国世論調査で、岸田内閣の支持率は21%となり、自民党の政権復帰以降で最低でした。不支持率65%も過去最高の水準です。自民党派閥の裏金問題で、岸田首相の対応に「評価しない」との声が多数を占めています。そんな中で、1月1日に発生した能登半島地震に対する政府の対応を評価するか尋ねると、「評価しない」の声が大きくなっています。大規模災害が起きたときの内閣はどうだったのか。当時の世論調査とともに見ていきます。(朝日新聞記者・石本登志男)

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「支持する」が多い60代でも大きな下落

2月の調査では、能登半島地震に対する政府の対応を「評価する」42%、「評価しない」45%で、1月の調査の「評価する」48%、「評価しない」41%と比べて、逆転現象が見られました。

男女別では、男性は「評価する」52%(1月)→48%(2月)、「評価しない」41%→43%と差が少し縮まったのに対し、女性は「評価する」45%→38%、「評価しない」41%→48%と逆転が起きていました。

 

年代別でも30代と60代以上に大きな下落が見られ、「評価しない」の方が上回る逆転が見られました。岸田内閣を「支持する」と答える人は60代以上に多いため、今後の震災対応が岸田政権にとってのアキレス腱となってくるかもしれません。

東日本大震災の政府対応 当時の世論は

次に、震災が起きた当時の政権について見ていきます。

2011年3月の東日本大震災は、民主党政権の菅直人内閣の時にありました。菅内閣の支持率は同年2月に20%と低迷。震災後の4月も21%と横ばいでした。

2月と4月に、「菅さんに首相を続けてほしいと思いますか。早くやめてほしいと思いますか」と同じ質問をしたところ、「早く辞めてほしい」49%(2月)→43%(4月)、「首相を続けてほしい」30%(2月)→36%(4月)と、やや続投派が増えました。

震災が起きたことによって、首相を交代するのは今ではない、と思う人が増えたのかもしれません。

 

一方で、「菅内閣の東日本大震災への対応を評価しますか。評価しませんか」と聞くと、「評価する」は22%にとどまり、「評価しない」60%が大きく上回りました。

年代別で菅内閣の支持が高かった70歳以上でも、「評価する」29%、「評価しない」47%だったのが特徴的でした。

その後、菅内閣の支持率は20%台から10%台を推移しました。首相は6月に辞任を表明し、9月初めに退陣しました。

阪神・淡路大震災「支持率低下の一つの要因」

1995年1月の阪神・淡路大震災は、自民党・社会党・新党さきがけの3党連立政権、村山富市内閣の時にありました。

震災の前後で、村山内閣の支持率は41%(94年12月)→38%(95年3月)、不支持率は38%(94年12月)→43%(95年3月)と逆転が見られました。

95年3月の調査で「阪神大震災に対するこれまでの政府の対応について、どの程度評価しますか」と4択で聞くと、「評価する」42%(「大いに」4%、「ある程度」38%)で、「評価しない」55%(「あまり」39%、「全く」16%)が上回り、当時の紙面では村山内閣の震災対応が支持率低下の一つの要因となったと分析していました。

 

年代別で村山内閣の支持が高かった70歳以上では、「評価する」55%が「評価しない」35%を上回っており、コアな支持層は評価していたことがうかがえます。

その後、村山内閣は支持率30%以上をキープしていましたが、96年1月に首相が突然、辞意を表明し、退陣しました。

災害対応、政治とカネの問題とともに注視

今年1月30日の施政方針演説で、岸田首相は「政府・地元が一体となって被災者に寄り添い、生活と生業(なりわい)をしっかり支えていく」と述べています。

政府は、能登地域の被災世帯に最大300万円の交付金を出す制度をつくるほか、北陸地域の観光需要を取り戻すための「北陸応援割」を始めることにしました。一方、初動対応や情報収集の遅れが問題になりました。

岸田内閣の災害対応が今後の政権運営にどのような影響を与えるのか。政治とカネの問題などとともに注視していかなければいけません。

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