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食べられる?イヌサフランやスイセンで食中毒、死亡例も 防ぐには…
これはギョウジャニンニク?イヌサフラン? これはニラ?スイセン――? 見分けにくい有毒植物を誤って食べ、食中毒で亡くなってしまった事例が発生しています。行政も注意を呼びかけています。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
札幌市で4月下旬、有毒成分を含む植物「イヌサフラン」を誤って食べたとみられる2人が食中毒で亡くなりました。山菜「ギョウジャニンニク」とよく似ているため、間違えて食べた可能性が指摘されています。
ギョウジャニンニクはネギやニラなどによく似た風味があり、栄養価も高いことから根強い人気がある山菜です。ゆでる、炒めるといった調理の他、生のまま味噌などをつけて食べることもあるそうです。
一方、ギョウジャニンニクによく似た「イヌサフラン」は、アルカロイドの一種を含む有毒植物です。
イヌサフランを園芸用に改良した品種は「コルチカム」の名で知られ、身近な植物でもあります。
厚生労働省によると、イヌサフランを食べてしまった場合、嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状が現れ、重症の場合は死亡することもあるそうです。
イヌサフランの他にも、ニラやノビルと間違えやすいスイセン、葉がモロヘイヤ、実がオクラに似ているチョウセンアサガオなど、食用と間違えやすい有毒植物は多くあります。
厚生労働省の統計によると、2013年から2023年までの10年間で、有毒な植物を食べたことによる食中毒の患者は831人にのぼり、うち17人が死亡したとのことです。
リーフレットやSNS、公式HPでの啓発活動を続けていますが、札幌市の事件を受け、改めて注意喚起に力を入れているといいます。
「日常的に山菜採りをしている人でも間違えることがあり、毎年被害が出ています。よく分からないものは採ったり食べたりしないでください」と訴えています。
農林水産省でも生産者や消費者に向け、注意喚起を行っています。
担当者は「一般家庭で育てることがある観賞用植物にも有毒なものがあるため、山菜採りをしない人も注意してほしい」と話します。
ニラとスイセンのように、どちらも身近な植物の場合は、家庭菜園の食用植物と園芸用の観賞植物が混ざってしまう危険もあるそうです。
「畑や菜園では、野菜類と園芸植物を明確に区分しておく必要があります」
農水省のHPでは「ニラには特有の匂いがあるが、スイセンにはない。ニラの葉は薄く断面が扁平だが、スイセンの葉は末端まで厚く、断面は中央がへこんだV字形」といった具体的な見分け方も示しています。
ただ、担当者は「植物が持つ特徴は、育った環境などによっても異なります。HPを見て『この情報を参考に食べられるものを探してみよう』と考えるのではなく、厳格に管理されていて、確実に食用だと分かるもの以外は食べないことを基本にしてほしい」と話しています。
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