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桜の開花、1200年前からデータ分析 早まる「満開日」の理由は…

気候変動の指標のひとつに

満開となった名古屋市・山崎川沿いの桜並木。昨年は3月末には満開になっているスポットも各地でありました=2023年3月27日、名古屋市瑞穂区、溝脇正撮影
満開となった名古屋市・山崎川沿いの桜並木。昨年は3月末には満開になっているスポットも各地でありました=2023年3月27日、名古屋市瑞穂区、溝脇正撮影 出典: 朝日新聞

目次

春の訪れを知らせてくれる桜ですが、今年の東京での開花は遅れているようで、「いつ咲くんだろう」とそわそわする今日この頃。実は、桜の満開日をなんと1200年以上前から集めたデータがありました。古来私たちの生活に寄り添ってきた桜のデータから分かったのは、現代の深刻な気候変動でした。(デジタル企画報道部・中山美里)

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1200年以上前の満開日、出典は「日本後紀」

データを集めたのは、開花予想の計算式を発表したこともある大阪公立大学の青野靖之准教授(生態気象学)です。

【関連記事】桜の開花予想、国が認めた“魔法の公式”「福岡バッチリ、大阪は…」
https://withnews.jp/article/f0180319001qq000000000000000W08e10701qq000016960A

京都では遷都以来、当時の人たちが書いた日記をまとめた年代記が数多く残っています。

こうした史料の中から、「桜が満開になった」「花見をした」といった記述を手がかりに、京都のヤマザクラの満開日を調べたそうです。

一番古いデータは812年。史書「日本後紀」から確認されました。今から1212年もさかのぼる記録です。当時から、満開に咲き誇る桜は特別なものだったようですね。

過去1200年以上にわたるデータを基に、桜の満開日の変化をグラフにしました。

温暖化で早まる満開日

グラフでは、1820年代から、満開日が早くなる傾向がみられます。

昨年は1212年の記録上、もっとも早い3月25日を記録し、その次は2021年の3月26日でした。

青野准教授によると、812年から始まって約1000年間は、太陽活動による気温への影響などで、満開日が周期的に早くなったり遅くなったりする変化がみてとれました。

しかし、1820年代以降は、「アジア全体の広域や都市で起きた温暖化によって気温が3度以上上昇したことなどを受けて、満開日が早まっています」。
昨年の目黒川の満開の桜。あいにくの雨の中ですが、国内外からの花見客が写真を撮って楽しんでいました=2023年3月25日午前、東京・中目黒、福留庸友撮影
昨年の目黒川の満開の桜。あいにくの雨の中ですが、国内外からの花見客が写真を撮って楽しんでいました=2023年3月25日午前、東京・中目黒、福留庸友撮影 出典: 朝日新聞
というのも、桜の満開日は、3月あたりの気温の変化によって予測できるといいます。

逆にいうと、過去の満開日から、当時の気温を推定することができるため、1200年以上を記録した桜のデータは、気候変動の指標の一つになるとされています。

ボストン大などの研究者らは桜のデータについて、「生物季節学における世界最長の年間データだろう」と述べています。

今年の桜の開花 例年より遅れ

さて、今年の桜の開花はというと…。3月に入り寒さが戻った影響で、例年より開花が遅れているといいます。

気象庁のデータによると、最も早くソメイヨシノが開花したのが、高知の3月23日です。

青野准教授は「開花時期に近いほど、気温の影響は大きくなる」と話しています。

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