MENU CLOSE

連載

#19 「健康にいい」の落とし穴

お腹周りの脂肪、落としきるには 「浮き輪」解消に成功でも〝誤算〟

「浮き輪」解消成功も〝誤算〟が……。※画像はイメージ
「浮き輪」解消成功も〝誤算〟が……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

健康診断の結果が返ってきたことを機に、お腹周りの脂肪を落としきってみることに。どのくらいから腹筋は見えてくる? “シックスパック”になった? 一般的なダイエットの注意点とあわせて、その一部始終を紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)

「浮き輪」を解消したい

医療を主なテーマとして取材する記者である私は、身長175cm・体重75kg前後で、筋肉質な体型です。しかし、健康診断で肥満の判定の基準の一つとして用いられるBMI(体格指数)でみると、これは肥満に当たる数字。

この頃の写真を見ると、肥満というほどではないと感じますが……実感として、座ったときや自分で摑んでみたときなど、お腹周りにいわゆる“浮き輪”(お腹周りの脂肪)の存在を感じるのも事実でした。
 

<5月末のスタート時点の私の体型(右)。左はかつて体重115kgだった頃の私。>

かねてからいわゆる“シックスパック”、腹筋が割れていることが外目にもわかる状態になってみたいと思っていたこともあり、春の健康診断の結果が返ってきたのを機に、まずはこのお腹周りの脂肪を落としきってみることに。

BMIは国際的に用いられる肥満度を表す指標で、体重(kg)÷身長(m)の二乗で求められます。日本肥満学会の定めた基準では、18.5未満が低体重(やせ)、18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満です。

厚生労働省によれば、成人の標準体重は「BMI(体格指数)=22になるときの体重」と定義されています。そして、医学的には標準体重がもっとも病気になりにくい状態であるとされます(BMIは約200年前に開発された指標であり、実態にそぐわなくなっていることも近年は指摘されています)。

そこで、ひとまずは標準体重を目指して、余分な脂肪を落としていくことにしました。私の場合は67~68kgがBMI=22になる標準体重なので、お腹周りの様子を見ながら最大で合計8kgの減量をしていくプランです。

ただし、もともと筋肉質な体型であることから、筋肉ばかりが落ちないように、体の筋肉と脂肪の割合にも気を配っていきます。

5月末、スタート時点の体重は76.3kg、体脂肪率は15.5%。後者の体脂肪率は、測定方法により誤差が大きいものの、大手体組成計メーカーのオムロンによれば、「健康的」な体脂肪率は男性10〜19%、女性(15歳以上)20〜29%とされます。

気をつけなければいけないのは、肥満だけでなく、やせすぎもまた健康によくないこと。くれぐれも前述の基準に照らして、過度なダイエットは絶対にしないようにしてください。私の場合はあくまで、BMIでは肥満に該当するため、余分な脂肪を落とすことが目標でした。

やせすぎを避けるために、体脂肪率はこの範囲を下回らないようにすることにも注意します。

腹筋が見えてくる体脂肪率については、しばしば15%前後からなどとされますが、個人差が大きく、また腹筋の筋肉の状態にもよるため、そして前述したように測定の誤差も大きいので、一概には言えないはずです。

少なくとも、スタート時点で15.5%だった私は、腹筋が見えてきているとは言えない見た目です。こうした情報はあくまでも目安にとどめることも、覚えておく必要があります。
 

3カ月で目標達成のコツ

結論から言うと、3カ月で体重と体脂肪率の最低値はそれぞれ69.5kgと10.5%になりました。それぞれの推移は以下のグラフのとおりです。
3カ月間の体重の推移。
3カ月間の体重の推移。
3カ月間の体脂肪率の推移。
3カ月間の体脂肪率の推移。
これはあくまで私の事例です。体の変化には個人差があり、参考程度にとどめてほしいものですが、実際に行ったことは以下のとおりです。

・目標とする体重や、身体活動レベルを食事管理アプリに入力して、日々の食事の摂取カロリーやPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)バランスをチェック。
・1日平均45分ほど(週合計で約5〜6時間)の有酸素運動を継続して、アクティビティトラッカーでその内容を連動するアプリに記録。
・毎日体組成計で体重を測定し、結果を連動するアプリに記録。

ポイントは大きく二つで、「テクノロジーの力を借りること」と「見える化すること」。例えば食事管理アプリは最たる例で、有名なものでは管理栄養士の知見を集めたAIによるアドバイスなど、かなり高機能になっています。

アプリやガジェットでの「見える化」によって、主観と客観の差をなるべく減らすことも心がけました。これは「食べすぎていないつもりで食べすぎている」「動いたつもりで動いていない」ことが、往々にして起こり得るからです。

「食事」と「運動」どちらも取り組んだ方が減量効果は大きくなります。ただし、エネルギー収支の観点からは、食事の方がインパクトが大きいことが指摘されています。私たちは1週間に約20回の食事をしますが、運動はたとえ毎日がんばっても7回。頻度からして、食事を改善する優先度は高くなるからです。

というのも、例えば300kcalを消費する運動は、体重60kgの人で約1時間のゆっくりしたジョギング。なかなか大変な印象ですが、食事なら1回の食事ごとに100kcal分のメニューを減らせば3食で達成できることになります。

また、脂肪をエネルギー源にする効率がいいのは、やはり有酸素運動です。特定の部位の脂肪だけを落とす「部分やせ」はできないため、お腹周りの脂肪を落としきりたいなら、全身の脂肪を落とす必要があります。そこで、有酸素運動に取り組むことにしました。

有酸素運動を1日平均45分ほどにしたのは、世界保健機関(WHO)が2020年に発表した「運動・身体活動と座りがちな行動に関するWHOガイドライン」を参考にしてのことです。このガイドラインでは、すべての成人について、ウォーキングなどの適度な強度の有酸素運動を「週に150~300分以上」行うことが勧められています。

脂肪は落としきれたが…

さて、スタートから3カ月後の自分の写真を見ると、目に見えて体に変化があったことがよくわかります。

私の場合は体脂肪率が12%前後から、お腹周りの脂肪が落ちきり、腹筋の線が見えるようになりました。
 

<7月末の途中経過の私の体型(右)。この頃の体脂肪率は12%前後。>

<8月末のゴール時点の私の体型(右)。>

一方で、これは本来、当たり前のことなのですが、上記のメニューだけではいわゆる“シックスパック”にはなれないという誤算もありました。

前述したように、腹筋の筋肉の状態も関係するのに、ルーティンに筋トレを取り入れていなかったから、と考えられます。

正直なところ、有酸素運動だけで手いっぱいで、余裕がなかったという面もあり、“シックスパック”をあらためて目指すための筋トレは、これからの課題だと言えそうです。

また、標準体重よりは現時点で2kgほど重いことになりますが、体脂肪率を見る限りは十分に脂肪が落ちており、これ以上の減量は見た目にも不健康に感じられるでしょう。

実際、通っているジムで信頼を置いているインストラクターさんには「やつれている」「無理しているのでは」と心配されてしまいました。これには単に見た目の問題だけでなく、「元気がない」といったコミュニケーションのときの印象も影響しているはずです。後半にはたしかに疲れがでていたようにも思います。

健康診断など、数字で語られることの多い健康。でも、「健康的」は数字だけでは決まらないことを、身をもって知った経験になりました。
 
今回のような「健康にいい」の落とし穴をまとめた書籍が発売中です。詳細はリンク先から▼

健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本

【連載】「健康にいい」の落とし穴
世の中で「健康にいい」と言われていることや、イメージされることは、よく考え直してみたり、正しい知識を持ったりすると、実は“そうでもない”ばかりか、かえって健康から遠のいてしまうことも――。身近なトピックをフカボリします。

連載 「健康にいい」の落とし穴

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます