連載
#2 #わたしと学校
制服も体育祭も決まった教室での生活も苦手…「登校拒否」したその後
「学校というシステム」が合わずバランスが崩れ…
「高校2年生の時、一度だけ登校拒否をしたことがある」。イラストレーターのオムスビさんはずっと、自分には学校生活が合わないと感じていました。なぜ学校へ行くことを「拒否」して、その後何を考えたのでしょうか?
福岡県に住むイラストレーターのオムスビさん(30代)は、高校生の頃に3日間「登校拒否(不登校)」をしたことがあります。
自身の体験をマンガに描いて振り返りました。
いつもと同じく制服を着て、学校に向かっていたオムスビさん。しかし、校門の前に立つと〝異変〟が表れました。突然学校を後にし、逃げ出してしまったのです。
それまで当たり前に着ていた制服は、本当は「着るのが苦手」でした。
みんなに合わせて取り組んでいた体育祭も、文化祭も、「何やらされてるの私……」と感じて負担になっていました。
短い時間内で食事をとらなければいけないことも、決まった教室で過ごさなければならないことも……。
オムスビさんは、「学校というシステム」自体が向いていなかったと気が付きました。
「ほんの少し我慢すれば普通にやっていける」「ほんの少しを毎日毎日上手に積み上げて……」
そう思ってやり過ごしてきたことが、その日ついに崩れてしまったそうです。
3日間、登校せずにどうしたらいいのかを考えたオムスビさん。
結局、また学校に行くことを選びました。
しかし、以前と違い自身の中で決めたこともあります。
「心をちゃんと見る」「私は私のこと、もう無視しないよ」
最後まで、「やはり学校生活は向いていなかった」と感じますが、学校が合わないと認め、自身と向き合うことで上手にバランスが取れてきたそうです。
オムスビさんは、「自分の本心を誤魔化せば、だんだんと歪みが生まれるのだと思いました」と振り返ります。
学校が向いてない、本当は行きたくないという思いを抱えながらも、「ずっと平気なフリ」をしていたオムスビさん。「私が私の心を無視すればするほど、精神的な状況は悪化していきました」
マンガには、「自分の心をちゃんと見る・自分を知ることは、生きる上で大切」という思いを込めました。
オムスビさんが「自分の心を見る」ために取り組んだことは、「向いていないことを自覚する、認めること」だといいます。
その後、「日々のストレスをどうしたら軽減できるだろうかと考えてみた」そうです。
オムスビさんにとっては、「毎日帰りに好きなジュースやお菓子をひとつ買って、駅のベンチでまったり飲むという本当に小さなこと」がストレスをやわらげるのだと気付きました。
「1日の中でホッとできる時間を毎日作るようにしたのです。その後は夢中になれるものと出会って、だんだん心が安定してきました」
もし今、学校に行きたくない子どもたちへ伝えられることがあるとしたら? 筆者がそう尋ねると、オムスビさんは次のように話してくれました。
「私の場合は、登校し続けるという選択をしましたが、10人いれば10通りの正解があると思います。視野を広げると、『ない』と思っていた道があったり、仲間に出会えたりすることもあります。あんまり心配しすぎないでくださいね」
「直接何かすることはできませんが、マンガをひとつ描きました。伝わるものがあればうれしいです」
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