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#1 宇宙天文トリビア
8月のペルセウス座流星群、ピークはいつ? おすすめの観測方法は…
8月13日、ハワイから「星空ライブ」中継予定
毎年多くの流れ星が見られる三大流星群の「ペルセウス座流星群」が今年もピークを迎えます。国立天文台によると、もっとも多くの流れ星が見られる「極大」の予想は8月13日午後4時半ごろ。13日未明か14日未明が最も多くの流れ星を見られそうです。ピーク時の夜空を見てみたい人には、ハワイから「星空ライブ」での中継も予定しています。(朝日新聞デジタル企画報道部・東山正宜)
ペルセウス座流星群は、約130年かけて太陽を回っているスイフト・タットル彗星が放出した塵(チリ)の帯に、通りかかった地球がぶつかって起きる現象です。
自転車に乗っていて蚊柱に突っ込んでしまった状況に似ています。
ただ、虫は顔面を直撃しますが、地球は大気の層で覆われているため、よほど大きな天体でないと地上まで落ちてはきません。
チリのほとんどは、大気と衝突することで高温になって光り、上空で消えます。これが流れ星です。
例えば、降っている雨を見上げると、あたかも空の一点から雨が放射状に広がりながら落ちてくるように見えるでしょう。
それと同じで、流星群も地上から見ていると、流れ星が空の一点から広がるように飛んで見えます。この点を放射点といいます。
放射点は流星群ごとに位置が変わり、放射点がペルセウス座にある流星群だからペルセウス座流星群と呼ばれています。
流れ星を観測するとき、最も重要なのが観測する場所の暗さです。周りにビルや街灯といった明かりがあると、夜空の明るさに流れ星の光が埋もれてしまいます。
目も暗闇に慣れることができないため、せっかく流れ星が現れても目が認識できません。
ですから、できるだけ暗くて空が開けた場所に行き、少なくとも15分間はスマートフォンや明かりなどを見ずに目を暗闇に慣らして、夜空を眺め続けるのが観察のコツです。
ただ、夜の屋外は危険が伴います。天体観測中に高いところから落ちたり、移動中に交通事故に巻き込まれたりした死亡事故も実際にありました。国立天文台も注意を呼びかけています。
ところで、もっとも多くの流れ星が見られるだろう「極大」が予想されている13日午後4時半ごろは、日本ではまだ日が高いですが、地球上にはすでに日が沈んでいる地域もあります。
例えばハワイでは午後10時半ですから、最高の条件で観察できそうです。この夏、ハワイに旅行に行く人がいたら、ぜひ夜空を見上げてみましょう。
特に、ハワイ諸島最大の島であるハワイ島には、富士山よりも高い標高4200mのマウナケア山があり、世界中の大型望遠鏡が集まる天体観測の聖地になっています。国立天文台の「すばる望遠鏡」もその一つです。
ハワイに行けなくても、この星空ライブを見ることで、世界最高の星空をクーラーの効いた部屋で眺めることができます。
星空ライブは、超高感度カメラ「ソニーα7S3」と明るいレンズ「SEL24F14GM」を組み合わせていて、肉眼を超える数の星を観察できます。
標高4200mの山頂は、素晴らしい星空が広がる一方、空気が地上の6割しかない過酷な環境ですから、一般の人が夜中まで滞在することは許可されていません。
高山病を気にすることなく、世界最高の星空を夜通し堪能できるのは、世界でこの星空ライブだけです。
2年前のペルセウス座流星群の際には、兵庫県明石市の中学2年生がこの星空ライブを夏休みの自由研究にしていて、研究者もびっくりの大発見をしました。
毎晩きっかり1時間ずつライブを見て流れ星を数えていたところ、ピークの翌日に誰も予想していなかった大出現があったのです。
国立天文台天文情報センター広報普及員の佐藤幹哉さんは「誰も想定していなかった大出現を中学生が独自に発見したとは驚きだ」と話しました。
佐藤さんの計算では、この大出現をもたらしたとみられるチリのかたまりは、今年だと8月15日未明に地球にぶつかるはずだと言います。
佐藤さんは「ただ、昨年は不発だったので、今年再び現れる可能性は低いと考えられます。それでも、何が起きるか分からないのが自然の面白いところ。念のため頭に入れて観測の参考にして欲しいです」と話していました。
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