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温室で「エーックス!!」紅に染まったこの植物 実は渋谷から

頭の中で「あの名曲」が流れ出す

温室で育った植物。国民的ロックバンドのあの歌が心をよぎる
温室で育った植物。国民的ロックバンドのあの歌が心をよぎる 出典: とちぎ花センター【公式】のツイッター

目次

アルファベットの「X」のような形をした、この植物を見て、頭の中で流れたメロディーはないでしょうか? 栃木県の植物園が、国民的ロックバンドの曲が思い浮かぶような植物の写真を添えてツイートしました。ユーモアあふれるつぶやきの裏側と、謎めいた植物の正体を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・高室杏子)

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重なりあった2本の「紅」の植物

関東地域一帯が猛暑日だった7月11日の午前中、とちぎ花センターはツイッターで蒸し暑い温室の中、すくすくと育った植物の写真を投稿しました。

「#チーマー上がりの」「#トラフアナナスが今年もイキり立ってます」「#オラオラ系アナナス」と強くて悪そうなイメージの言葉がハッシュタグに並びます。

「チーマー」とは1980~90年代に渋谷などの繁華街に集まり、ファッション文化を盛り上げた若者たちのこと。「チーム」と呼ばれるグループに所属し、リーバイスのジーンズや、革のバッグ、いかついシルバーアクセサリーといったアメリカンカジュアルを着こなし、「不良文化」の象徴のひとつにもなりました。

温室の植物の世話をする永島安紀さんは「赤い色といい、重なり合って『X』の形になっていることといい、まさにX JAPANの『紅』を思い浮かべますよね」と話します。

正体は?渋谷も「故郷」?

植物の名前は「トラフアナナス」。永島さんによると、トラ柄(虎斑)をした葉っぱの真ん中から出ている赤い槍のような部分は「花苞(かほう)」と呼ばれるつぼみです。

葉っぱは地表から20センチくらいの高さに茂っていて、赤い花苞の部分は長さ約60センチ、先端は地表から高さ110センチです。

葉っぱの模様が「トラフアナナス」の名前の由来。パイナップルの仲間で、熱帯もしくは亜熱帯の南アメリカ大陸のギアナ周辺が原産だそうです。

やや傾きが少なく育ったとちぎ花センターの「トラフアナナス」。センターは「栃木アナナス」と呼ぶ
やや傾きが少なく育ったとちぎ花センターの「トラフアナナス」。センターは「栃木アナナス」と呼ぶ
出典: とちぎ花センター提供

実は、「エーックス!!」の2株は、2021年から長期休園中の渋谷区ふれあい植物センターから、とちぎ花センターが昨年2月に譲り受けたもの。もとから同種を育てていましたが、赤い部分はさほど傾かずに、まっすぐ伸びていました。

渋谷から栃木に来た昨年5月下旬の「トラフアナナス」2株
渋谷から栃木に来た昨年5月下旬の「トラフアナナス」2株 出典:とちぎ花センター【公式】のツイッター

まるでメンチを切り合っているような「X」になることは「これまでなかった」と永島さん。今のところそれぞれの花苞が折れてしまう危険はなさそうとのことで、添え木などは必要ないそうです。

「トラフアナナスは、年間通して夏の暑い時期に特にいきいきとしています」と話す永島さん。

「赤いつぼみからはこれから約1、2カ月の間に黄色い細長い花が咲いて、虎柄の緑に、赤、黄色と特に鮮やかに、派手になります」と声を弾ませます。

トラフアナナスの花。赤い花苞に黄色の細長い花がつく
トラフアナナスの花。赤い花苞に黄色の細長い花がつく 出典: とちぎ花センター提供

植物への興味の入り口には「ユーモア」

とちぎ花センターでは、「少しでも植物に興味を持ってもらいたい」と、思わずクスッとするようなユーモアを交えたSNS投稿や企画にも日々取り組んでいます。

この夏の目玉は「食虫植物」を紹介する企画展「食虫戦隊タベンジャー」。「気味が悪い」「怖い」などのイメージをもたれやすい食虫植物を「もしも、ヒーローになったら」という発想から企画したそうです。

16日から始まる企画展のポスター。「ヒーローショーではありません」と注意書きも
16日から始まる企画展のポスター。「ヒーローショーではありません」と注意書きも 出典:とちぎ花センター提供

担当の稲葉英雄さんは「ハエトリグサやウツボカズラといった食虫植物をヒーローに見立てて、それぞれの必殺技も、虫を挟んだり、溶かしたりする食虫植物の特徴にちなんでいます。子どもたちにも楽しんでもらえたら」と話しています。

企画展は今月16日から9月3日まで開催します。

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