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ネットの話題

水中を動き回るカラフルな「ちいちゃな花びら」 正体は海の生きもの

この夏、会えるかも……

シャーレの中で動き回るカラフルな「生きもの」
シャーレの中で動き回るカラフルな「生きもの」 出典: でんかさんが投稿した動画から

目次

赤、紫、オレンジがふわふわと舞う――。小さな花びらのような「生きもの」がシャーレの中で動き回る動画がツイッターで話題になりました。投稿者で、海の生きものの魅力をツイッターで発信している、でんかさん(28)に話を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・高室杏子)

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シャーレの中は花畑

「ちっちゃい子ほど落ち着きないかも」と書き添えて、6月下旬にツイッターに投稿された16秒ほどの動画。

瞬く間に6.5万件の「いいね」がつき、動き回る小さな生きものに「かわいい」「花びらみたい」「ドライフルーツが動いている!」などの反応が寄せられました。

投稿者のでんかさんによると、この生きものは「ヒオウギガイ」の稚貝。大きさは2~10ミリで、小さいものほどよく動き回る生態があるようです。鮮やかな色の小さな貝が、あちこち動き回っている様子が目立ちます。

でんかさんは「まだ数ミリの頃からこのカラフルな色合い! 驚きです。大きくなったヒオウギガイの味は、ホタテのような味ですよ」と笑います。

ヒオウギガイの炭火焼き 出典: でんかさんのYouTubeチャンネル「ヤドカリの国」から

でんかさんと海の生きもの

投稿者のでんかさんは東京海洋大学出身。「子どもの頃から海が身近だった」といい、父との釣りや海水浴の思い出が海の生きものへの興味に結びついたそうです。進学後、大学の水産研究会に所属して、日々、ヤドカリなどの節足動物を中心に、カニなどの甲殻類、ヒオウギガイのような貝類、ウミウシなどを観察・採集してきました。

ヒオウギガイの拡大写真
ヒオウギガイの拡大写真 出典:でんかさん提供

ヒオウギガイを初めて知ったのも大学生のとき。貝類を研究対象としていた研究会の仲間から教えてもらい、「天然でこんなにカラフルな貝がいたんだ」と感動したそうです。

水産関係の仕事に就いてからも、磯遊びやシュノーケリングを通して生きものを観察し、ときに採集してスケッチを描いたりしている日常です。

特徴は?

でんかさんによると、ヒオウギガイは千葉県以南の太平洋側の海で、波が落ち着いた磯の岩場から水深60メートルまでの海底に生息しているといいます。生きているヒオウギガイは海に潜ったり、磯の岩をめくったりすることで見つけられますが、貝殻は海が荒れたあとに浜辺に打ち上げられる「貝殻だまり」からも見つけられるそうです。

浜に打ち上げられた「貝殻だまり」(左)からピンセットでより分けたヒオウギガイの貝殻(右)。「時を忘れるような”宝探し”」とでんかさんは語る
浜に打ち上げられた「貝殻だまり」(左)からピンセットでより分けたヒオウギガイの貝殻(右)。「時を忘れるような”宝探し”」とでんかさんは語る 出典:でんかさん提供

数ミリ程度の大きさの貝も、半年後には1円玉ほどの大きさに成長します。成長後は岩などにはりついて暮らしているそうです。

また、カラフルな貝殻は、「保護色になるようにサンゴにあわせて鮮やかになったのではないか」という説もあります。

指先に3つも乗るほどちいちゃい
指先に3つも乗るほどちいちゃい 出典:でんかさん提供
半年後には2センチ大に成長するものも
半年後には2センチ大に成長するものも 出典:でんかさん提供

ヒオウギガイは、九州や四国では特産品になっている地域もあり、許可無く採集すると密漁になるケースもあるので注意が必要です。

海の生きものの魅力

海の生きものの魅力を日々感じてやまないというでんかさん。

多くの海の生きものを観察してきましたが、「好奇心を満たしてくれるのも生物の多様性のおかげ」だといいます。

「海に棲む生きものたちに少しでも興味を持ち続けてもらえたら、海のゴミやマイクロプラスチックによる海洋汚染といった問題を考えたり、自然や生きものと適切な距離感で接したり……という行動につながるんじゃないでしょうか」と話しています。

これからも投稿を通して、少しでも多くの人に海の生きものたちのことを伝えていきたいというでんかさん。「生きもの最高! 私の写真でよければ見てくれ!」と笑顔を見せていました。

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