連載
#249 #withyou ~きみとともに~
合宿に株主総会…〝ブレスト文化〟の企業「不登校経験は多様性」
「学校に行かない人を増やすには…」
「ブレストは文化」(ブレスト=ブレーンストーミング)と話し、社内すべての会議室にブレストのためのカードを置く「面白法人カヤック」(神奈川県鎌倉市)。カヤックはこの「ブレスト」を通じて今年、不登校の子どもたちとつながりました。その狙いを聞きました。
「面白法人カヤック」は鎌倉市に本社を置くIT系のクリエイターが所属する会社です。広告やPRの受託開発を行ったり、ソーシャルゲームを開発したりするなど、その事業内容は多岐にわたります。
カヤックには、「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」という考えがあり、会議でも、アイデアを出し合う「ブレスト」を大切にしています。社内のすべての会議室にブレストカードを置き、株主総会でもブレスト体験、ブレストのための合宿、さらには、ある大学の入試にもカヤック流のブレストが採り入れられています。
ブレストカードは、手を洗う様子や、吠えている犬など、行動や「もの」などが描かれている約100枚のカードで、このカードを使いながらブレストをするとアイデアが出しやすくなるそうです。
「あまりルールがない会社なんですが、唯一ブレストだけはみんながやります」と話すのは、広報の梶陽子さん。
「ブレストに始まり、ブレストに終わる文化」だといい、「だいたいすべてのことがブレストで決まり、丸く収まる」のだといいます。
7月初旬に行われたワークショップのテーマは、「学校に行かない人を増やすにはどうしたらいいか」。
「どうして学校に行くのか」から考え、次に「学校に行かなくてもいい理由」をブレスト。
最終的に「学校に行かないことで得られるもの」についてアイデアを出し合いました。
参加者のブレスト内容には「オンラインでも友だちが作れる」「勉強は心配ない」など、様々なものがありました。
参加した16歳は「講座で自分と同じグループの人のアイデアを『いいね』と言いあえる空気がとてもうれしくて、相手のアイデアや好きなものを聞くことも視野が広がる刺激になった」と話しました。
梶さんは「参加した方たちには、自分に価値があることを感じてほしかった。正解とか間違いとかではなく、自分の意見を持ち、それを表明することはいいことだと知ってほしい」
記者は5年ほど前から、学校を含めた周囲の環境に生きづらさを感じる10代の取材を続けてきました。
そのため、今回の選手権のような場があったときに、積極的になれる人もいれば、なんだかモヤモヤして一歩踏み出せない・踏み出したくない人のことが脳裏に浮かびました。
そこで、梶さんに「ブレストとかアイデアとかっていうと、とたんにキラキラしたものだと引け目を感じてしまう子もいると思うのですが……」と、聞いてみました。
梶さんは「もちろん、(ワークショップに)来れなかった子もいると思いますが、全然オッケーですよね。流れてきた動画に『何これ』って思うだけでもいいし、そもそも動画をどう受け止めるかも含め、『多様性』がおもしろいんだよってことを伝えたいです」
1/13枚