MENU CLOSE

連載

#249 #withyou ~きみとともに~

合宿に株主総会…〝ブレスト文化〟の企業「不登校経験は多様性」

「学校に行かない人を増やすには…」

カヤックの「ブレストカード」
カヤックの「ブレストカード」

目次

「ブレストは文化」(ブレスト=ブレーンストーミング)と話し、社内すべての会議室にブレストのためのカードを置く「面白法人カヤック」(神奈川県鎌倉市)。カヤックはこの「ブレスト」を通じて今年、不登校の子どもたちとつながりました。その狙いを聞きました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

「ブレストに始まりブレストに終わる」

「面白法人カヤック」は鎌倉市に本社を置くIT系のクリエイターが所属する会社です。広告やPRの受託開発を行ったり、ソーシャルゲームを開発したりするなど、その事業内容は多岐にわたります。
カヤックには、「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」という考えがあり、会議でも、アイデアを出し合う「ブレスト」を大切にしています。社内のすべての会議室にブレストカードを置き、株主総会でもブレスト体験、ブレストのための合宿、さらには、ある大学の入試にもカヤック流のブレストが採り入れられています。

ブレストカードは、手を洗う様子や、吠えている犬など、行動や「もの」などが描かれている約100枚のカードで、このカードを使いながらブレストをするとアイデアが出しやすくなるそうです。

「あまりルールがない会社なんですが、唯一ブレストだけはみんながやります」と話すのは、広報の梶陽子さん。

「ブレストに始まり、ブレストに終わる文化」だといい、「だいたいすべてのことがブレストで決まり、丸く収まる」のだといいます。

「不登校でもいい」

このようなコミュニケーション手法を生かそうと、今年は不登校経験者を前にブレストのワークショップを開催しました。

きっかけは、カヤックの管理本部長である柴田史郎さんと、不登校新聞の石井志昴さんの交流にあります。
石井さんは、不登校経験者の意見や経験を広く発表できる場を作りたいと今年、「不登校動画選手権」を開催(7月31日までにTikTokに作品を投稿。8月に中川翔子さんらが選考)。

【参考】不登校動画選手権概要

その計画を知った柴田さんが「おもしろいですね」と共感し、参加者に向けたブレストのワークショップを開催する流れになりました。

梶さんは、不登校経験者について「不登校経験者が学校に行かなくなった理由は様々で、かつ、中には不登校であることに引け目を感じている子もいるかもしれない」とし、「でも、私は不登校の子は存在自体が多様性そのものなので、とても『おもしろい』と思います」と肯定します。

「不登校でもいいんだということを、アイデアや考えを引き出すことで実感してもらいたい。そのためにブレストが使えるのではないかと思います」

ワークショップ参加者「視野広がった」

7月初旬に行われたワークショップのテーマは、「学校に行かない人を増やすにはどうしたらいいか」。

「どうして学校に行くのか」から考え、次に「学校に行かなくてもいい理由」をブレスト。
最終的に「学校に行かないことで得られるもの」についてアイデアを出し合いました。

参加者のブレスト内容には「オンラインでも友だちが作れる」「勉強は心配ない」など、様々なものがありました。

参加した16歳は「講座で自分と同じグループの人のアイデアを『いいね』と言いあえる空気がとてもうれしくて、相手のアイデアや好きなものを聞くことも視野が広がる刺激になった」と話しました。

梶さんは「参加した方たちには、自分に価値があることを感じてほしかった。正解とか間違いとかではなく、自分の意見を持ち、それを表明することはいいことだと知ってほしい」

不登校動画選手権のワークショップでの一コマ=高室杏子撮影
不登校動画選手権のワークショップでの一コマ=高室杏子撮影

「引け目を感じる子には…」記者の質問に

記者は5年ほど前から、学校を含めた周囲の環境に生きづらさを感じる10代の取材を続けてきました。

そのため、今回の選手権のような場があったときに、積極的になれる人もいれば、なんだかモヤモヤして一歩踏み出せない・踏み出したくない人のことが脳裏に浮かびました。

そこで、梶さんに「ブレストとかアイデアとかっていうと、とたんにキラキラしたものだと引け目を感じてしまう子もいると思うのですが……」と、聞いてみました。

梶さんは「もちろん、(ワークショップに)来れなかった子もいると思いますが、全然オッケーですよね。流れてきた動画に『何これ』って思うだけでもいいし、そもそも動画をどう受け止めるかも含め、『多様性』がおもしろいんだよってことを伝えたいです」

10代のための相談窓口あります

【10代のための相談窓口】
チャイルドライン
18歳以下の相談窓口。電話やチャットで相談できます。サイト内では、誰にも見られないように「つぶやく」こともできます。
Mex(ミークス)
10代のための相談窓口まとめサイト。なやみに関する記事や動画も見れます。
TEENS POST(ティーンズポスト)
 手紙やメールで相談できます。対象は13〜19歳。

【メッセージ】
国立成育医療研究センター
自分を傷つけているあなたへのメッセージ
 

withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を続けています。
 


みんなの「#withyou #きみとともに」を見る

連載 #withyou ~きみとともに~

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます