千葉県の富津岬にあるピラミッド型の建造物は、「まるで超古代文明の遺跡」「別の星にいるよう」とネットで話題に。一体これは何なのか、管理を担当する千葉県君津土木事務所を取材しました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
千葉県富津市、房総半島西部に位置する県立富津公園。東京湾を挟み、神奈川県横須賀市の向かい側にあります。広い敷地は、かつて軍用地であり、今も多くの自然を残しています。ここにあるのが明治百年記念展望塔です。
この明治百年記念展望塔、ネットでは「まるで超古代文明の遺跡」「別の星にいるよう」と形容されています。どうしてこんな建物になったのか、管理を担当する千葉県君津土木事務所に話を聞きました
明治百年記念展望塔は1971年に完成。設計者は東京都台東区の入谷南公園に「石の山」を設置したことでも有名な池原謙一郎さんです。
ピラミッド形を構成するのは、1辺7mの鉄筋コンクリート製デッキ。全部で36枚が階段でつながれ、独特の雰囲気を醸しています。五葉松をイメージしたものということです。
そのSF然とした佇まいから、乃木坂46の『アナスターシャ』(2020)のミュージックビデオにも登場しています。
最上階は10階で、高さは21.8m。「展望塔」と言うと、もっと高さがあることを想像しますが、この明治百年記念展望塔は横に広い、意外な形状。
これは、視界の開けた空間の中では、高さを競う必要がなかったため。周辺と調和しながら、非日常的、意外性のあるものを設計したということです。
実際に、明治百年記念展望塔からは、東京湾や対岸の景色、房総丘陵を一望するパノラマビューが楽しめます。
空気の澄んだ日には富士山がくっきりと見られ、関東の富士見百景に選定されています。また、明治から大正まで首都防衛のために造られた第一海堡(ほう)・第二海堡を確認できるほか、夕景も人気の場所だということでした。
明治百年記念展望塔は2004、17年に改修されており、22年11月21日から再度、改修工事が始まりました。その間は立ち入り禁止で、工事は23年3月末に終了予定。
担当者によれば、「施設を修繕し、安全に利用できるようになるための工事なので、大きく形が変わることはありません」とのこと。再整備された姿をぜひ、実際に足を運んで見にいきたいものです。