途中、徒歩圏内のかかりつけのクリニックへの通院があったものの、基本的には家から出ずに、それぞれ回復と成長に努めていた妻子。
そんな私たちにとって、1カ月健診は、初めて家族でする「おでかけ」になりました。というのも、母(妻)の健診時には産婦人科では子どもを預かれないとのことで、私の付き添いが事実上、必須だったのです。
仕事は休みを取って、子どもが生まれた病院に向かいます。ここでも「仕事が休めなかったらどうするんだろう」という疑問が生じました。
ベビーカーの取り回しもまだハラハラ。今回はタクシーではなく、移動に慣れるためにも、電車に乗ることにしました。最寄駅では「優先席にたどり着きやすいのはX番ドアからX号車」、乗換駅では「エレベーターはホームのあのあたり」と、今後必要になりそうなことをメモ。インフラを見る目も変わります。
苦労しながらも病院に到着。緊急帝王切開になった妻の経過は順調でした。そして、子どもの方を診察してくれたのは、出産後、分娩室に子どもと二人になったときに、診察に来てくれた小児科のお医者さんでした。
【参考】「お産は安全」と思い込み 一人になった分娩室 予防難しいトラブル 緊急帝王切開「10人に1人」の実際
まず問診、次に反射の検査。反射の検査は、自然な反射を得るために仕方のないことであるものの、やや勢いよく急に頭を下げるなどするため、親としてはちょっとドキドキします。
そして最後、体のチェックのときにお医者さんの手が止まったのが、「おへそ」のところでした。「あ、ここ」と指さします。
「ぷっくり盛り上がっていますよね。ここは本当は要らない部分で、取らないといけないんです。ほら、周りに血がにじんでいるでしょう。このあと処置しますから」
お医者さんによれば、これはへその緒の一部が赤ちゃん側に残ってしまう臍肉芽腫(さいにくげしゅ)という病気。うちの子の場合、治療は「糸でくくって自然と脱落するのを待つ」というものでした。
手先が器用でないと難しいそうで、若手のお医者さんたちも見学に訪れ、衆人環視の中で糸を操ります。一発で糸がかかると、「おお」と小さく歓声が。やや盛り上がったのがちょっと面白くもありました。
ただし、糸が外れてしまうこともあるので、このまま様子を見て、翌週にもう一度、通院とのこと。生まれた病院はやや遠く、電車の乗り換えもまだ大変なので、次も同席を申し出ましたが、「また仕事を休むのか」と、ややウッとはなりました。