あらためて、赤ちゃんの吐き戻しに血が混じることについて、小児科専門医でスマホアプリやSNSで発信する
『教えて!ドクター』のプロジェクトリーダー・坂本昌彦医師に話を聞きました。
まず、坂本医師はその原因について「お子さんの日齢によっても変わってくる」とします。
「出生後、間もなくでは、いわゆる新生児メレナという症状で、<母親の出産時の血液を飲み込んで、それが出てくるパターン>と、<出生時の(胎内からの環境変化の)ストレスが原因で胃などの消化管から出血するパターン>が多いですが、中にはビタミンKの欠乏が原因のこともあります」
私の子どものケース、出生2週後だと、別の原因が考えられるそうです。
「<乳頭や乳管、乳腺が傷ついて母乳自体に血が混じっているパターン>や<吐き戻しのタイミングで胃や食道の粘膜に負担がかかり、出血してしまうパターン>もあり得るかもしれません」
坂本医師は「ごく少量の出血であればそれほど珍しくはない」とした上で、「それが続くかどうかが問題です。1回で治まってしまえばよいですが、哺乳がいまいちで症状が続くようなら受診が必要です。手術が必要な病気や血液の異常が原因の場合もあるので、詳しい検査を行います」と話します。
検査とは、一つが出血傾向の有無について。「出血が止まりにくい病気」が隠れていないかを検査します。また、新生児や乳児はビタミンKが不足し、出血しやすくなることがあるため、ビタミンK2シロップの服用が推奨されています。近医で服用状況を確認されたのは、このためです。
他に、例えば「血液のあるなしに関わらず、嘔吐が続いたり活気や哺乳の低下が続く場合には、消化管閉塞(腸の軸捻転など)など手術が必要な病気がないか調べる必要もあります」とのことでした。
「ただ単に乳頭の傷からの出血を飲み込んでいたのが原因なのか、消化管の病気が隠れているのか、保護者が判断するのは難しいと思いますし、不安なことでしょう」と坂本医師。そのため、「保護者のみなさんは、迷って心配な状況であれば、病院に連れてきていただいて大丈夫です」とします。
「結果的に何も問題なければ安心して帰宅し、育児を続けることができますので。心配なままだと、ただでさえ疲労困ぱいの産後がさらにしんどくなってしまいますから、わからないときは気兼ねなく小児科を受診し、早めにご相談いただいて大丈夫です」
たしかに、わからないことだらけの育児。K2シロップ一つをとっても、単体で飲ませると笑顔のまま吐き出してしまい、大人たちだけが「ぎゃー」と騒ぐ、ということが続きました。
飲めたの? 飲めてないの? 飲めてないならもう一度もらうべき? そんな「?」の連続の日々では、やはり信頼できる専門家の存在が心の支えになります。
これも「大人の薬は食後が多いですが、小児科の薬は“食前か食後か”よりも“飲めるかどうか”が一番大事なので、こだわらず食前でも大丈夫です」「飲んでくれないと思って悩んだら、かかりつけ医に遠慮なく相談して」と坂本医師。
我が家では試行錯誤の末、「ミルクの前にK2シロップを飲ませて、そのままミルクを飲ませれば吐かない」という、独自のメソッドが確立していきました。
何が起きるかわからない育児。こうして「?」に一つひとつ取り組み、折り合いをつけていく日々が続きそうです。