連載
#14 特別じゃない日
「やだわ~」に怒ったおじいちゃん 言葉の意味を教わり照れちゃった
「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。ツイッターで発表して注目を集めた漫画「女子トーク」に込めた思いを聞きました。
孫娘「これ、おばあちゃん? やだかわいい~」
おばあさん「やだなの?」
孫娘「かわいすぎるって意味!」
おばあさんは、孫娘と一緒に昔のアルバムを見て盛り上がっています。
おじいさんの写真が少ないことをぼやくと、孫娘が「これが私の一押しおじいちゃん!」と、スマホで撮影した写真を見せてくれました。
それを見たおばあさんは「やだわ こんなおじいちゃん!」と言います。
すると、ちょうど帰ってきたおじいさんが「やだとはなんだ」「俺の写真なんて撮るからだ」と不機嫌になってしまいました。
孫が撮った写真は、ハンバーガーを食べながらピースしているおじいさん。
おばあさんは気にせず、「やだもう これなんてピースしてくれてるわ やだわ~」とニコニコしています。
「『やだー かわいー』って意味だからね、おじいちゃん」
そう説明する孫に、おじいさんは照れて黙ってしまうのでした。
こちらのお話は単行本「特別じゃない日」の1巻発売後、ツイッターにて「特別じゃない日の幸せ体験談」として読者の皆様に募集したエピソードの中のひとつになります。
ご投稿いただいたのはyae_fto様で、お父様のかわいらしい勘違いのエピソードです。
お母様がお父様の若い頃の写真を見て、かわいいという意味合いで「やだこれー」と言っていたところ、お父様が「やだとはなんだ!」と怒ってしまったそうです。
その後、お母様に「『やだ』はかわいいって意味よ」となだめられてしまう、というなんともほっこりエピソードでした。
個人的なエピソードとしては、自分が子どもの頃に覚えたての言葉(特に小難しいかっこいい響きのもの)を無駄に使いたがり、「使い方、間違ってるよ」と親に指摘されたことを思い出しました。
今思うと恥ずかしいですが、楽しい思い出です。
◇
〈稲空穂=いな・そらほ〉 静岡県出身・在住の漫画家。会社員を経て2017年に「おとぎ話バトルロワイヤル」(KADOKAWA)でデビューし、「特別じゃない日」で日常をテーマにした作品に挑戦中。老夫婦や女子高校生、主婦、バイトの青年……それぞれの小さな幸せがつながっていく物語を描いていて、実業之日本社から第1集が書籍化され、7月に第2集「特別じゃない日 猫とご近所さん」が発売された。Twitterアカウントは@ina_nanana
withnewsでは原則隔週水曜日に、稲さんの漫画とともに作品に込めたメッセージについてのコラムを配信しています。
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