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#138 ○○の世論

参政党の訴え、どの層に刺さった? 参院選で1議席、出口調査で分析

参院選の選挙戦最終日、都内の芝公園には大勢の参加者が訪れた=2022年7月9日、東京都港区、角詠之撮影
参院選の選挙戦最終日、都内の芝公園には大勢の参加者が訪れた=2022年7月9日、東京都港区、角詠之撮影 出典: 朝日新聞

目次

10日に投開票を迎えた第26回参議院選挙は、自民党が改選125議席の過半数(63議席)を単独で押さえて勝利しました。自民が改選前から8、維新が6とそれぞれ議席を増やす一方、野党第1党の立憲は6、共産と国民はそれぞれ2減らしました。主要政党の議席の増減とともに注目されたのは、比例区で1議席を獲得した参政党です。国政選挙初挑戦。いったい参政党は、どのような有権者層に「刺さった」のでしょうか。朝日新聞社などが全国の投票所で実施した出口調査の結果から分析してみました。(朝日新聞記者・四登敬)

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無党派層で国民、れいわ、共産に次ぐ規模

参政党は重点施策として「子供の教育」「食と健康、環境保全」「国のまもり」の三つを掲げ、新型コロナ対策についても、マスク着用の自由やワクチンを打たない自由などを訴えました。

そうした参政党について、比例区で投票した有権者を支持政党別に見てみました。

最も割合が高かったのは「その他の政党」支持層の71%でした。既存の主要政党に不満を持つ一定の層の受け皿になったようです。

次いで割合が高いのは、無党派層の6%でした。

「その他の政党」支持層は、調査全体の2%にとどまるのに対し、無党派層は15%を占めます。参政党を押し上げる原動力になったのは、無党派層からの支持とも言えそうです。

この無党派層からの支持割合は、国民とれいわの8%、共産の7%に肉薄し、同じく比例区で1議席を獲得した社民とNHK党の3%を上回ります。

 

18,19歳でれいわや国民、維新と競り合う

次に、年代別の比例区投票先を見てみます。

参政党に投票したのは18・19歳が7%、20代6%、30代と40代は5%で、若年層ほど多くの人が投票する傾向がありました。18・19歳の7%という割合は、公明と同率で、れいわの6%、国民と維新の9%と競り合う数字です。

逆に、弱点となっているのは高齢者です。全体の3割弱を占める70歳以上の年代では1%、2割弱だった60代と50代はそれぞれ3%と4%で、公明や共産に水をあけられています。

70歳以上が弱点であることは、比例区で参政党に投票した人の年代別構成を見ても分かります。構成割合が最も大きいのは40代の23%で、50代22%、60代16%、30代14%、20代12%、70歳以上10%、18・19歳3%と続きます。

今後の国政選挙で議席をさらに増やすためには、有権者が多い高齢者層にいかに浸透するかも課題になりそうです。

比例で当選し、会見する参政党の神谷宗幣事務局長=2022年7月11日、東京都港区、小林一茂撮影
比例で当選し、会見する参政党の神谷宗幣事務局長=2022年7月11日、東京都港区、小林一茂撮影 出典: 朝日新聞

他党にも目を転じてみましょう。自民党は各年代で36~38%を占め、投票先政党として最も高い割合になりました。

公明は今回、比例区で1議席減らしました。年代別の支持は比較的安定しているものの、60代以上がやや厚めです。

 

参政党と同じ野党では、改選議席を倍増した維新は、働き盛りの世代を含む30~60代の支持が厚めなのが特徴です。特に40代は16%(前回12%)、50代は15%(同11%)、60代は14%(同10%)と支持を広げました。

逆に立憲は、18・19歳は前回とほぼ同数でしたが、50代は11%(同17%)、60代は13%(同20%)と支持を減らし、70歳以上は16%(同19%)と比較的が高かったものの、やはり下落しています。共産、社民は60代以上の支持が比較的厚くなっています。

れいわの勢いは前回より落ちましたが、20代以上の支持はおおむね参政党を少し上回っています。NHK党は、18・19歳は3%(同5%)、20代は2%(同4%)と支持がやや減りましたが、60代以上では勢いを保ちました。

内閣不支持層の1割近くが投票

岸田内閣を支持する人、支持しない人の比例区投票先も見てみました。岸田内閣不支持層では、その8%が参政党に投票していました。

内閣支持層で投票したのは2%にとどまっており、無党派層からの支持とともに内閣不支持層の票が同党を国政に押し上げた形です。

内閣不支持層の比例区投票先は、同じく比例区で1議席を獲得した社民の4%やNHK党の3%を上回ります。野党第1党を維持した立憲の21%には及ばないものの、国民7%、れいわ10%と同程度です。

この内閣不支持層を年代別で見ると、20代以下は11%で、維新とれいわの11%や国民の12%とほぼ並んでいました。40代と50代も10%で、比較的厚めです。

さらに、この年代別を男女別でも見てみました。すると、男性は20代以下の13%が最も厚く、その比例区投票先は維新の11%を上回り、国民の13%と並びます。一方、女性は40代と50代の10%が最も厚く、れいわ(40代11%、50代10%)とほぼ並んでいました。

 

今後、岸田政権とどのように向き合い、またどのような主張を展開していくのか、それによって支持がどのように変わるのか、注目していきたいと思います。

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