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ネットの話題

「大人だけずるい」投票できずすねた息子 父が考えた「おかず」選挙

当選したのは……

おかず総選挙「候補者」の選挙ポスター
おかず総選挙「候補者」の選挙ポスター 出典: 山口良太さんのツイッターより

目次

子どもと参議院選挙の投票に行ったら「大人だけずるい!」と言われたので、「おかず総選挙」をやってみたーー。参院選後、こんなツイートが話題になりました。「候補者」はウィンナー、唐揚げとなんとも魅力的。参院選当日の「もう一つの選挙」について取材しました。

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「おとなだけずるい!」


「5才児と選挙に行ったら『おとなだけずるい!』とのことなので、今夜のおかず総選挙を実施しました」。7月10日、そんな文言とともに、3候補のポスターや投票箱、投票用紙の写真がツイートされました。

「日本ハム党シャウエッセン」「グリーンマーク党ポークウィンナー」「ニチレイ党特から」、いずれもキャッチフレーズとともに候補が描かれ、それをじっと見つめる子どもの後ろ姿も写っています。

「アイディアが素敵すぎてほっこりしました」「うちもやってみよう!」「私も投票したい」などとコメントが寄せられ、いいねは17万を超えました。

そうだ、「おかず総選挙」をしよう

ツイートを投稿したのは、大阪府でグラフィックデザイナーをしている山口良太さん(38)です。参院選当日の午前中、保育園年長の息子(5)と妻(38)の3人で近所の投票所に行きました。

投票所からの帰り道、自分も投票したいと言う息子に、妻は「大人になったら投票できるよ」と教えていました。

しかし、納得せず「大人だけずるい」とすねる息子。どうしようかと考えた山口さんは、なだめるように「今夜のおかずを投票で決めようか」と提案しました。

これまでも毎回家族3人で投票に行っていましたが、今回初めて選挙に興味を持ったようでした。

「息子は食べることが好きなので、今夜のごはんのおかずを投票で決めるのだったら食いついてくれるのではないかと思いました」と山口さんは話します。

帰宅後さっそく、コピー用紙と色鉛筆で選挙ポスターと投票用紙を、空き箱と銀色の折り紙で投票箱を作りました。

選挙ポスターの下には投票箱と投票用紙が用意されています
選挙ポスターの下には投票箱と投票用紙が用意されています 出典:山口良太さんのツイッターより

いずれの候補も家にあったおかずで、ウィンナーも唐揚げも「甲乙つけがたい」ほど家族みんなが好きなものです。

ただ、「ポークウィンナー」はいつも買っている食卓の定番。「特から」も常備していてたまに登場する一品。「シャウエッセン」はスーパーの特売時にしか買わない特別品でした。

1時間ほどで全て用意し、部屋の端に投票箱を置いて壁にポスターを貼りました。

選挙ポスターを紹介する山口良太さん
選挙ポスターを紹介する山口良太さん 出典: 山口良太さん提供

いざ、投票のとき!

投票は家族3人が2票ずつできるようにしました。

「こんにちは」とあいさつをして、「本人確認」をするところから始まります。参院選の投票所で投票用紙を渡すスタッフを見ていた息子が、そこからまねをしたいとリクエストしたそうです。

息子が投票所のスタッフになりきり、山口さんや妻に投票用紙を渡します。さらに、投票後、開票作業を担当したのも息子です。一つ一つ読み上げると、シャウエッセンと特からが3票ずつという結果に。

見事、息子が投票した2品が、それぞれ食卓に並びました。

息子が選んだのは「シャウエッセン」と「特から」でした
息子が選んだのは「シャウエッセン」と「特から」でした 出典:山口良太さんのツイッターより

このほか息子の提案で「デザート総選挙」と「飲み物総選挙」も実施し、上位に選ばれた「ハーゲンダッツ」のアイスと炭酸飲料の「スコール」を楽しんだそうです。

そのときのポスターは、息子と妻がそれぞれ描いたといいます。

”デザート総選挙の候補者一覧”
・ハーゲンダッツ(めったに家にない)
・R-1(いつも家に常備している)
・ぶどう(たまに冷蔵庫にある)
・どらやき(いただきもの)
”飲み物総選挙の候補者一覧”
・スコール(家族全員が好きな炭酸飲料)
・梅ジュース(山口さん手作りのシロップ)
・しそジュース(山口さん手作りのシロップ)
デザート総選挙のポスターは、5歳の息子が描きました
デザート総選挙のポスターは、5歳の息子が描きました 出典: 山口良太さん提供

「やりたい」と言ったときがチャンス

「5歳になってやれることが増え、何でも自分もやりたいと言うようになってきました。『やりたい』と言ったときがチャンスだと思います」

山口さんはそう話します。

最近では「1人で献立を考えて料理したい」と言って、豚肉とプチトマト、ピーマンの炒め物を作ったそうです。

「親がサポートしましたが、買い物、調理、盛り付け、全て息子1人でやり、自信になっているようでした。今回も『投票したい』という興味を何かしらの形で生かしてあげたいと思いました。大人になるまで我慢しなさいと言ったらそこで終わってしまいます」と山口さん。

ノリノリで模擬選挙をやる息子を見て、とてもうれしかったと振り返ります。

「選挙は堅苦しくなく、楽しくできる。自分の声が届いた実感を18歳になっても覚えていてくれたら、面倒くさいとかネガティブな印象ではなく投票に行けるのではと思います」

「政治や社会、自分の生活に対して、こうあってほしいということを声に出す。声に出せなくても投票という形で社会は良くなるかもしれない、自分が素敵だと思う世界に近づくことができるかもしれないと実感させられたらいい。今後の選挙も、引き続き子どもと家族と行こうと思います」

山口良太さんのツイッター:@slow_camphttps://twitter.com/slow_camp

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