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#15 凸凹夫婦のハッタツ日記

減った額を見るのが怖い…ADHD夫の〝滞納癖〟が治らなかった理由

楽しく貯金しようと思って買った家計簿ノート
楽しく貯金しようと思って買った家計簿ノート 出典: 画像はいずれも西出夫妻提供

目次

お互いの凸凹を補いながら生活している注意欠如・多動症(ADHD)の西出光(ひかる)さん(26)と自閉スペクトラム症(ASD)の弥加(さやか)さん(33)夫妻。光熱費を滞納していた過去からの変化について、夫・光さんの視点でつづります。(聞き手・イラスト:西出弥加)

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滞納が続き電気が止まった

僕は社会人になってから数ヶ月後、光熱費や奨学金などを支払えず、すべて滞納していました。

催促通知が何度かポストに届いてしまいましたが、それすら見ておらずポストはパンパンになり、最終的に電気は止まりました。

電気が止まった日の夜は凍えそうなほど寒い真冬でした。厚手の毛布があったおかげで眠れましたが、電気もつかず真っ暗な山でキャンプしているような状態でした。

滞納した主な理由は、単純に貯金がない状態だったからです。そして不注意がひどく、ポストを見ていませんでした。

奥さんのサヤカさんに話したら驚かれたのですが、貯蓄額が減ることが嫌で、つい先延ばしにしていたせいもあります。嫌というか怖いに近いです。

自分の貯蓄がたくさんあれば、光熱費が引き落とされても気にならなかったのですが、例えば銀行に2万円しかない状態で1万円の光熱費が引かれると、残りは1万円です。この少ない金額の印字がとても嫌だという感情がありました。

「給料の支給日を待って、記載された金額が増えたのを確認してから払おう」などと考えているうちに、ADHDからくる不注意によって滞納してしまうのです。

滞納しないためにしたこと

しかし結婚してから3年、僕は今、滞納しているものはひとつもありません。

なぜADHDの僕がここまで変わったかというと、支払いまでの工程を減らしたからです。

昨年の引っ越し時にクレジットカードを作りました。僕がカードを使うと、いくら使ったか分からなくなり危ないと思ったので、光熱費だけは全てカード引き落としにしようと決めました。

光熱費の金額は大きな変動がないため、いきなり支払額が莫大に増えることがありません。カード払いでも「使いすぎた!」ということにはならないと思ったからです。ちなみにカードで他のものを買うことは滅多にありません。

これでまず支払い用紙がポストに届かないようにすることができました。以前はクレジットカードを作ることすら忘れ、先伸ばししていたのですが、この最初の「クレジットカード登録」の工程だけ頑張ることにしました。

自動で銀行から引き落とされるようになったことで、支払い用紙がポストに届き、それを確認してからコンビニや銀行に行き、支払いをして帰宅するという工程がなくなり、随分変わりました。

滞納は「損をしている」

また、サヤカさんが紙に書いて教えてくれたことがありました。

それは利子についてでした。利子が増え続けたら万単位にもなる、微々たる数円だけど塵も積もれば山となると言われました。

ただ、信じられないことに、そこまで言われても僕は正直あまりピンときていませんでした。しかしそのとき、僕が危機感を感じる計算方法を思いつき、それをサヤカさんに伝えました。

「支払い額が増える」というより「働いているのに、利子のせいで時給が減る」という発想の方が自分としては危機感が芽生えました。これは同じことを想像しているのですが、「未来」を見ているか「今」を見ているかの違いがあります。僕はあまり未来の見通しがつかないところがありますが、今起きている危機なら分かります。

例えば1ヶ月で約3000円の利子が発生し、週5日8時間、1500円の時給で働いた場合、利子があると時給は1500円ではなく、1480円になってしまうのです。

たった20円と感じるこの数字も積もれば大きくなり、これを1年続けていると、36000円分は働けど貯金できない状態になってしまいます。

約3日、働いてもお金は貯まらないことになります。こう思うと、損をしているなと感じることができました。

そして積もり積もって10万、20万円と滞納していたら、10日、20日、働けど貯まらない状態になります。100万円になってしまったら3ヶ月はお金が入らない状態なので、生活が危うくなります。

僕はメリットよりデメリットを感じることができると滞納が減るように思います。まずは、デメリットは何があるか把握しないと先延ばしにしてしまいます。

当たり前のことのようですが、このことを再確認できるかできないかで自分はかなり違いました。

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西出 光(にしで・ひかる)

1995年生まれ。発達障害の一つ「注意欠如・多動症(ADHD)」の不注意優勢型と診断される。2019年に「自閉スペクトラム症(ASD)」のグラフィックデザイナー・弥加(さやか)と結婚。当初は家事が極端にできず、仕事も立て続けに辞めていたが、妻の協力の末、現在はホームヘルパーとして勤務。名古屋と東京で遠距離夫婦生活を続けている。当事者の視点から、結婚生活においての苦悩や工夫、成功について伝えていきたい。
Twitter:https://twitter.com/Thera_kun

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