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連載

#243 #withyou ~きみとともに~

学校に行っていない我が子「かわいいと思えない」行政も頼れず…

「いまの自分の状況を受け入れない親といることほど、つらいことはない」

料理にハマっているという長男作の目玉焼き=女性提供
料理にハマっているという長男作の目玉焼き=女性提供

目次

「最初の頃は、『家にいても学校と同じことをしよう』と張り切っていました」。
1年前のGW明け、女性の長男は学校を休みがちになりました。「GW明けは新しい環境で頑張った糸が切れてしまうタイミング。親子で悩む中で、楽に過ごせる方法がみつかるはず」と振り返ります。手探りだった1年前から、様々なサポートにつながり、現在にいたるまでを聞きました。

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「休みたい」の訴え、忘れ物も増えたGW明け

始まりは1年前のGW明けでした。

現在小学2年生になった長男は、4月の入学式から約1カ月後のGW明けから「(平日のうち)週に1回は休みたい」から始まり、「週に2回は休みたい」と言うように。
「かんしゃく」もひどく、「キーって声を出したり、宿題をぐちゃぐちゃにしたり、物を投げたりしていました」。

そんな長男の様子も鑑み、「休んだら他の日に行けるなら、休んでいいよ」と休ませていると、「宿題が嫌だ」「給食が嫌だ」「子どもが走り回る音が嫌だ」と、徐々に「嫌なもの」についての訴えも口にできるようになってきました。

それと同時に、忘れ物も増えていきました。
学校から持ち帰った筆箱の中に鉛筆が1本も入っていなかったり、上履きを全く持って帰ってこなくなったり。長男は「早く帰りたいから持って帰ってくるのを忘れちゃう」と理由を話し、女性もさほど気にしていませんでしたが、「『いっぱいいっぱい』のサインだったのかもしれない」と振り返ります。

長男の登校はいったん諦め、5月はオンラインで授業に参加することに。
6月になり復帰しようとしましたが、それは叶わず、オンラインでの参加も6月末には途絶えました。

その後、学校には「行ける気配がないので、行けるときには連絡します」と伝え、長男は自宅での生活にいったん切り替えることにしました。

自分一人が暗い海の底にいるような気持ちに

それから、女性と長男の手探りの日々が始まりました。

「家にいても学校と同じことをしようと張り切っていた」という女性。実験やお料理を二人でしたり、プリントを見たり――。

「本人は楽しんでいたように思います」と振り返りますが、そこで直面したのは、女性自身の葛藤でした。

「学校と同じことをさせようとしているっていうことは、学校に行っていない状態の子どもを認めていないってことなのでは?」

女性は「本来、子どもなにもしていなくても愛おしい存在なはずなのに、学校に行っていない子どもを見てかわいいと思えない瞬間がありました」と打ち明けます。

「私は、子どもに『何者かでいてほしい』と思っていたんだろうか」「ありのままの子どもを愛していなかったのかな」

そんなことを考えていると、長男に対しても「なんで行かないの?」とイライラした気持ちで当たってしまうこともありました。

また、長男の同級生のお母さんたちと話した日には、「みんなの子どもは普通に学校に行っているのに、うちの子はいっていない」と、「自分一人が暗い海の底にいるような気持ち」になっていたといいます。

女性は「自分がこの精神状態ではいけない」と考え、外部に頼ることにしました。
それが、6月中旬頃のことでした。

長男の不登校初期「自分一人が暗い海の底にいるような気持ち」になっていたという女性。写真はイメージです=Getty Images
長男の不登校初期「自分一人が暗い海の底にいるような気持ち」になっていたという女性。写真はイメージです=Getty Images

ネットで調べた「不登校 相談」

不登校についての知識が豊富だったわけではない女性は、まず、ネット検索から始めました。
当時住んでいた福岡市の行政に頼ろうと、検索窓に「不登校 福岡市 相談」と入力。

ただ、相談窓口の電話対応には親身に話を聞いてくれる印象を持つことができず、「私もメンタルが弱っているときだったのでこれ以上は話せないと思った」と、「結構です」と途中で電話を切ってしまいました。

路頭に迷った女性は、不登校に関する本を読みあさる中で、不登校の子の「親の会」があることや、不登校の子の親専用のカウンセリングがあることを知り、そこにつながることで、女性自身の精神状態が安定してきたといいます。

「不登校の子どもにとっては、親がカリカリしていたり、自分のいまの状態を受け入れない親といることほどつらいことはないと思います。まずは親のマインドを変えることが必要です」と女性は話します。

そのために効果的だったのが「悩みを共有する場とつながる」ことでした。

女性はいまも親の会に参加し、カウンセリングも2週間に1回のペースで受けています。

フリースクールで感じた「学校が合わなかっただけ」

8月になって、長男はフリースクールの見学へ。

算数が得意なこと、科学館によく行くこと、ボードゲームのモノポリーが好きなこと――。

長男が得意なことや好きなことを話し、フリースクールのスタッフと話すうちに、女性は「息子はなにも悪くなくて、学校という場所が合わなかっただけだったんだ」と思えるようになりました。

一方、長男は「子どもがたくさんいるところには行きたくない」と、そこに通うことはかないませんでしたが、気の合う先生がいたことから、その先生とは毎日30分程度、オンラインで雑談をしたり勉強をみてもらう関係が続いています。

オンラインのため、11月に福岡市から東京都に引っ越しをしてからも、そのフリースクールにはオンラインで通い続けることができています。

フリースクールで自己紹介を求められ、母親のiPhoneで作成した長男の自己紹介画面(名前の部分を加工しています)=女性提供
フリースクールで自己紹介を求められ、母親のiPhoneで作成した長男の自己紹介画面(名前の部分を加工しています)=女性提供

楽しく過ごす息子を見て「わだかまりはゼロ」

いま、女性は長男の様子をみていて「いつも楽しそう」と感じています。
近所には友だちもいて、勉強やゲーム、最近はまっている料理をしたりしながら楽しく過ごしています。

「学校行っていないことへのわだかまりは0に近いですね」

最近になって女性は改めて「そういえば、学校の何がいやだったの?」と長男に尋ねてみたそう。
すると、いまになって口にしたのが「クラスにいじめっ子がいたんだ」ということでした。
長男は女性に「いじめっ子が他の子をいじめているのを見るのも嫌だし、いじめっ子が先生に怒られている様子を見るのも嫌だった」と教えてくれました。

1年前の当時は「休みたい」と言う回数が増え、「いやなこと」をたくさん列挙していた長男でしたが、さらにそんなことがあったのだと知り、女性は「安心して過ごせない場所だったんだと思います」と慮ります。

同じ立ち場の親へ「つらいですよね」

一方、いまも勉強面の不安は残ります。
「タイピングはできるので、文章の意味などは理解できているのですが、鉛筆を握ることがあまりないので、教科学習が不安です」

ただ、女性はその不安も親の会で共有し、他の不登校の家庭の様子などを知ることで、その先につなげられればいいと考えています。

最近になって、長男にも変化の兆しが。
「昨年の12月ごろ、初めて自分から『フリースクールに行きたい』と言い始めました」

「不登校初期に比べて本人の意欲が育ってきたのかな」と感じるという女性。いまは息子と一緒にフリースクール探しの真っ最中です。

1年前の女性のように、今年もGW明けに「学校に行きたくない」と子どもに打ち明けられ戸惑う親がいるかもしれません。メッセージをお願いすると、「つらいですよね…」と言葉を詰まらせ、少し考えたあと、こんなメッセージを考えてくれました。

「そのときは混乱するし、それが当たり前です。子どもにひどいことを言っちゃうと思いますが、何かのきっかけで親が変われば、子どもも変わります。一緒に悩む中で、楽に過ごせる方法が見つけられると思います」

10代のための相談窓口あります

【10代のための相談窓口】
チャイルドライン
18歳以下の相談窓口。電話やチャットで相談できます。サイト内では、誰にも見られないように「つぶやく」こともできます。
Mex(ミークス)
10代のための相談窓口まとめサイト。なやみに関する記事や動画も見れます。
TEENS POST(ティーンズポスト)
 手紙やメールで相談できます。対象は13〜19歳。

【メッセージ】
国立成育医療研究センター
自分を傷つけているあなたへのメッセージ
 

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