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連載

#242 #withyou ~きみとともに~

連休明けの不登校、理由問う前にできること 戦闘モード後の落とし穴

「ただ、最初は『どうして?』って聞いちゃいますよね」

長女が中学1年生の時に土橋さんが長女に向けて書いた手紙=本人提供
長女が中学1年生の時に土橋さんが長女に向けて書いた手紙=本人提供

目次

ゴールデンウィークや夏休みなど、長期休暇が明けるタイミングは大人にとっても、つらいもの。もちろん、子どもたちにとっても心の負担が大きい時期でもあります。中学3年、高校2年の時と、2度にわたり長女がゴールデンウィーク(GW)明けに不登校になったという母親は、「戦闘モードでがんばった4月のあと、GWで一回風船の空気が抜けてしまうのでは。親は、どうかおおらかな気持ちで見守ってあげて」と話します。

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一度目のGW明け不登校は中学2年

埼玉県に住む土橋秀子さんは、長女が中学3年のときと高校2年のときの2回、GW明けの不登校を経験しています。

一度目の不登校は中学3年生のGW明けのこと。

長女は「学校にはもう行けない」と訴え、部屋に閉じこもってしまいました。理由を聞くと、「(6月にある)修学旅行の班がいやだ」。

学校側から学校を休む理由を求められることもあり、学校に行きたがらない長女に対し土橋さんは「どうしたら行けると思う?」などと問い詰めてしまうこともあったといいます。

「何か理由があるはずで、その理由に対処できれば行けると思ってたんですよね」と当時を振り返り、こう付け加えます。

「いま思えば、理由は複合的だったんだと思います。不登校は最終手段ですから」

不登校の「理由」だった修学旅行後も…

長女が休む理由として挙げた「修学旅行」。土橋さんは、この行事が終われば彼女が学校に行きたがらない理由は解消されるものと思っていました。

ところが、長女の不登校は、修学旅行後に本格化しました。

精神的にも荒れ、兄弟にケガをさせてしまったり、自分を傷つけてしまう行動をとろうとしたこともありました。

その時期に土橋さんが長女との関係性で考えたのは、「まず対話ができるようになりたい」ということでした。
当時、二人は落ち着いた話し合いができない状況で、お互いに怒りをぶつけあってしまうこともありました。

そんなとき土橋さんは、「私の『何か』がこの人を追い詰めているんだ」と考えたといいます。「穴の空いた壁を見つめながら、何がダメなんだろう…ってさんざん振り返らざるを得ないですよね」

土橋さんは「このままじゃいけない」と思い、自分の行動を改めようと考えます。
それは、「長女が本当に伝えたいことはなんなのか」を聞くことでした。

「いま思えば、それまでは『聞いているふり』をして、子どもの訴えを正論で諭そうとしていたんだと思う」と振り返り、「言葉にできず『暴れる』という行動になっている子どもが何を訴えたいのか。まずは相手の言い分を聞こうと思いました」。

「長女が本当に伝えたいことはなんなのか」を聞こうとしたという女性。写真はイメージです=Getty Images
「長女が本当に伝えたいことはなんなのか」を聞こうとしたという女性。写真はイメージです=Getty Images

テープで修復された、ビリビリの手紙

また、「私もすぐカーッとなってしまう」という土橋さんは、落ち着いた状態で自分の気持ちも伝えたいと「手紙」という手段を取り始めました。

大げんかをした後に、「私はすぐに怒ってしまうけど、本当はあなたのことをとても大事に思っている」「心底あなたの将来を支えたいと思っている」――。そんな内容の手紙を書き、長女の机の上に置いておきました。

ただ、翌日にはその手紙もビリビリにやぶかれ、ゴミ箱に。

「でも、やぶかれた手紙を、長女がテープで貼って元に戻しているっていうことを次女が教えてくれたんですよね」

それを知っていたからこそ、「大事なとき」にはその後も何度か手紙を書きました。

そんなやりとりを重ねるうちに、長女も徐々に落ち着き始めたといいます。

高校2年で再度不登校、かけた言葉は

親子関係は安定したものの、長女は高校2年生のときに再び不登校に。

1年生の2月ごろから「だるくて動けない」「涙が止まらない」と訴えるようになりながらも、4月は「新しいクラスならいける」と意気込んで学校に行き始めた長女。

ですが、「無理していた、がんばっていたことに気付いたんでしょう」(土橋さん)と、GW明けには再び不登校になりました。

このときは、中学3年の時の葛藤を踏まえ「複合的なものなんだろうと思って、理由は聞きませんでした」。

その代わり、こんな声掛けをしたといいます。

「行けないんだね」

「どうしたいんだと思う?」

「もし学校をやめても、将来なんとかなる方法を一緒に考えるから大丈夫!」

土橋さんは、「4月は『節目効果』があり、自分に期待するんですよね。でも、戦闘モードでがんばった4月のあと、GWで一回風船の空気が抜けてしまうのではないでしょうか」と推し量ります。

このとき土橋さんは、長女が在籍していた受験に特化したクラスから、ゆるやかに高校生活を送れる学級への転籍を提案しました。

長女と話し合い、長女は悩んだ末、3年生の進級時に後者を選びました。「そこからは表情が柔らかくなった」(土橋さん)
環境を変えることも有効だと感じたといいます。

母もまた苦しい日々、救われた「うんうん」

土橋さんに、「学校に行きたくない」という子どもに親ができることを聞くと、「やっぱり、親が朗らかにしているのが大事かな」。「ただ、最初は『どうして?』って聞いちゃいますよね」と、子どもに「不登校の理由」を問う親心に理解を示します。

子どもとの対話の中で「何かがかみ合わない」と感じたときには「相手を変えるのではなく、自分の方が相手に合わせるのが先だと思ってほしい」と話します。

そして、長女の苦しさに寄り添い続けた土橋さんもまた、苦しんだ日々でした。
土橋さんの場合は、実母のサポートがあったからこそ乗り切れたといいます。

きっかけは、「かんしゃく」を起こした長女が、妹にケガをさせてしまった場面を土橋さんの実母が目撃したこと。そのときに「あなたの家の深刻さがわかった」と受け止めてくれた実母には、その後信頼して話をできるようになったそう。

「『うんうん』と聞いてくれるだけでしたが、否定せず聞いてくれることが本当に支えになりました」

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