MENU CLOSE

連載

#12 凸凹夫婦のハッタツ日記

待ち受けをメモ代わり、用件は三つまで ADHDの夫と暮らす段取り

ASDの西出弥加さん(写真右)とADHDの光さん
ASDの西出弥加さん(写真右)とADHDの光さん 出典: 画像はいずれも西出夫妻提供

目次

お互いの凸凹を補いながら生活している自閉スペクトラム症(ASD)の西出弥加(さやか)さん(33)と注意欠如・多動症(ADHD)の光(ひかる)さん(26)夫妻。スケジュール管理についても得意・不得意が顕著に表れました。妻・弥加さんの視点でつづります。(文・イラスト:西出弥加)

「カッコいい年のとり方」を考えたら、見えにくいモノが見えてきた(PR)
【夫の視点】スケジュール帳が最後まで使えない…ADHDの夫を救ったスマホ活用術【関連記事】

まるでパン食い競走

夫のヒカルくんと出会い、私はスケジュール管理の大切さに気づきました。

結婚してから一緒にスケジュールを立てたりすることが多くなりました。当初、ADHDの性質を持っているヒカルくんとスケジュールを立てると、物事が止まってしまうことが多かったです。

感覚としては、今まで100m走を単純に走りきるだけだったものが、急にパン食い競走のレーンに立って二人三脚でスタートするという感覚でした。走ろうとしてもパンを食べる場所で転んだり手間取ってしまい、なかなかゴールにたどり着けないのです。

この数年間、どうしたらいいのか毎日考えて出た答えがいくつかあります。

まず段取りをスケジュールする

色々な方法を試した結果、スケジュールを立てるときに妻側である私が、まず「段取り」をスケジュールして伝えるとスムーズに進むことが分かりました。目的だけをスケジュールに組み込んで伝えるのではなく、その目的を達成させるための段取りを細かく立て、随時、短い文章で送ります。

段取りに関しては、例えば一緒に料理をするときは「パスタを作ろう」というより「ピーマンを細長く、厚さは1センチくらいに切ってね」と伝えます。終わったら「次は玉ねぎをそれより細長く切ってね」と伝え、一つずつこなしてもらいます。

スケジュール管理もこのような感じで、記事の仕事があるときは「1週間後に、2000文字の記事を一つ提出しよう」など、長期でスケジュールを立てるのではなく「まず3時間後に200文字くらいで起承転結を書いて提出してね」と伝えていました。それを何度も繰り返して一つの記事が書けるようにします。

ここで大事なことは、できるだけ細かく段取りを組むということです。

パン食い競走のように、今、目の前にあるパンだけに集中してクリアするようにします。最終的なゴールは一旦、頭の片隅においておきます。

「一度言ったのにできないのかな」と思わない

一度に頼む用件は一つにします。多くても三つです。

一度にたくさん頼むと、忘れてしまったりして進みません。たくさんの目的を伝えても、ひとつひとつの段取りを組む時点で止まってしまう可能性があります。

そして「一度言ったのにできないのかな」と思わず、3〜10回言って完了したら成功だと思うようにします。

ただ、何度もリマインドしていると、その時点で時間が大幅にかかってしまいます。これに関しては、リマインドする側が精神的にイライラしてしまったらよくないので、予想の3倍時間がかかることが普通だと思って取り組むと楽になります。

100メートル走とパン食い競走ではタイムが違うように、競技が異なるのだと思うようにします。どちらがいい、悪いの話ではないと思います。

用事の「縦積み」と「横並び」

ある日、2人でいたときにイメージが浮かびました。ADHDが強めのヒカルくんは、用事を縦にたくさん積み上げます。ASDの私は用事ができたら横並びにします。

積み上げるタイプは、基本的に一番上に乗っているものだけに集中しています。
横並びにするタイプは終わっていない用事のことがずっと気になっています。

これは一長一短で、私は横並びに記憶を並べている感じで、ネガティブな思い出を反芻したり、色々と考えすぎて腰が重くなるときがあります。ヒカルくんは逆で、今見えているものに一点突破で集中できます。

よく言えば私は忘れることが少ないです。しかしヒカルくんの良いところも、長所もたくさん感じます。

数年前、周囲にスケジュール管理の話をすると「メモをしたら良いよ!」と言ってくれました。私もそう思いました。ただ、ヒカルくんにとってはメモをすること自体が用事になってしまい、「メモをする」が、一番上に積み上がって、メモだけに集中してしまうのです。

メモをしたらOKと思えるタイプの人は、メモがまるで付箋のような便利ツールになっているのだと思います。

ヒカルくんの工夫

ヒカルくん本人も用事を忘れてはならないと思い、7日後までのスケジュールを待ち受け画面で確認できるアプリを携帯に入れているそうです。そして朝は、その日にすることを待ち受け画面に打ち込んでいます。

メモすること自体が負担になってはいけないので、紙に用事を書くことはやめて、携帯の待ち受け画面に打ち込むことだけに絞りました。そして待ち受け画面なら何度も目に入るので、忘れにくいそうです。

私は携帯よりノートや紙切れに書くほうが忘れないので、人によるのだなと思いました。

一緒にいる方と本人、どちらも歩み寄って工夫をし続けたら、少しずつ生活しやすくなるかもしれません。

【夫の視点】スケジュール帳が最後まで使えない…ADHDの夫を救ったスマホ活用術【関連記事】

西出弥加(にしで・さやか)

1988年生まれ。「自閉スペクトラム症(ASD)」の当事者。2019年に「注意欠如・多動症(ADHD)」不注意優勢型の光と結婚。会社組織に所属するのは苦手で、フリーランスのグラフィックデザイナー・画家として文具などを作成している。描く絵は動物が多い。寝る時間が定まらないのが悩み。
Twitter:https://twitter.com/frenchbeanstar
ブログ:https://ameblo.jp/frenchbeanstar/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCSBIRwRWRQJ8apL48KEO8tQ

連載 凸凹夫婦のハッタツ日記

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます